愛知県豊橋市で振袖や学生服・学校用品、着物、七五三衣装を取り扱う(株)山正山﨑「お知らせ」ページです。

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2022.06.14
季刊誌やまやま

やまやま【vol.17 2022.06 summer 夏号】

 

=特集=
人間国宝 北村武資の羅と経錦

能や雅楽、歌舞伎、工芸品など、伝統芸能の世界にはさまざまな人間国宝がいます。重要文化財のような日本にとって歴史的かつ、芸術上価値が高く、工芸技術のように形のない"重要無形文化財"に指定されている"わざ"を高度に体得・体現している人のことを人間国宝と呼びます。そして「羅」と「経錦」の2つの人間国宝に認定されている、日本工芸会の織りを代表する作家の一人北村武資。生きるために始めた織りが、人間国宝に認定されるまでのストーリーを綴ります。  北村武資は幼くして父親を亡くし、中学卒業とともに西陣織の世界に飛び込みました。生きるためにさまざまな織元を巡り、織りの技術と世界観に引き込まれました。そして、独自の織りを生み出し認められ、1965年には日本伝統工芸染色展に出品。初出品で日本工芸会会長賞を受賞し、同年の日本伝統工芸展に初出品で入選をしました。  「羅」との出会いは1972年。羅織りとは、紀元前の中国で始まったと伝えられ、日本には4世紀前半に渡来し、奈良・平安時代に盛んに織られていましたが室町時代中期に途絶えてしまいました。1 972年に開催された「長沙馬王堆漢墓(ちょうさまおうたいかんぼ)」で、中国で発掘された羅の写真を見て興味を持ち、写真のみから憶測をして組織を復元。探究心と特有の技術、工夫により繊細な羅に挑戦し続けました。そして1995年に重要無形文化財に指定されました。次に挑戦したのが「経錦」の復元と制作です。「経錦」とは、唐の時代に日本へ伝わりましたが、奈良時代以降は衰退していった織物です。北村武資は、古代製織技法の調査・研究はもちろんのこと、特徴的な技法を考案。洗練された「経錦」を創り上げました。  繊細な織りが風情あふれる味わいとなりいろんな表情が見える「羅」と、古くからの技術をベースにしながら糸を操り、個性的な文様や色合いに仕上げた「経錦」。どれも北村武資ならではの世界観を感じることができるでしょう。

▲北村武資の格調高い、洗練された帯。合わせる着物を選ばず、さまざまな場面でお楽しみいただけます。 左/気品に満ち溢れた煌彩錦。美の表情を演出し、合わせる着物の魅力を引き立てます。 右/品格のある模様と色彩が特徴の経錦。紬にもコーディネートすることができます。

〈写真提供〉 株式会社細尾
PROFIRE
1935年 京都市に生まれる 1995年「羅」で重要無形文化財保持者に認定 2000年「経錦」で2つの目の重要無形文化財保持者に認定 2005年 旭日中綬章受章 2022年 3月永眠

越後上布
〈えちごじょうふ〉

(写真提供:株式会社細尾)
日本各地に伝わる伝統的織物 最高級の麻織物、"上布"
柔らかく、そして美しい–。夏の着物として古くから愛され続けているのが上布です。そもそも上布(じょうふ)とは、上等の麻布=上布のこと。古くは2000年以上前からつくられているとされており、江戸時代には武士の正装が麻織物ということから、幕府への上納品となりました。そして全国に上布がつくられるようになり、新潟県小千谷地方で織られている越後上布や、石川県能登半島の能登上布、滋賀県近江市の近江上布、鹿児島県の薩摩上布、宮古上布、八重山上布といったように、各地で生産されています。原料は芋麻(ちょま)。芋麻(ちょま)とは、イラクサ科の多年草でからむしの別名です。茎の外皮の下にある柔らかい内皮を細く裂き、1本ずつつなぎ合わせて糸にします。薄くて上質な上布を織り上げるには、上質な糸が必要となるため、高い技術を要します。  写真は、越後上布の雪晒し。越後上布とは、新潟県中越地方に位置する南魚沼市、小千谷市を中心に織られています。上布の中でも最高級品として"東の越後、西の宮古"と言われています。昭和 年に国の重要無形文化財に指定され、平成 年にはユネスコ無形文化遺産登録に指定されました。こちらの雪晒しは、越後上布の最大の特徴でもあり、越後上布の代表的な景色として知られています。雪晒しとは、雪で覆われている田んぼに上布を広げ、天気と反物の様子を見ながら 日間ほど雪にさらして布の風合いを良くする工程です。南の島の八重山上布では、風土を活かし海晒しをしており、海の中に布を5時間ほど晒し染めた色を鮮明にさせる効果を出したりと、各地で特色のある晒しを行っているのが上布の特徴でもあります。

=エッセイ=
私が 着物を着る理由
着物業界のそっち側ではなく、 本音を綴るエッセイ。 なぜ私がきものを着るのか。

和装と洋装のはざまで生活をしている私にはいつの間にか身に付いた感覚があります。それをお伝えするための表現を調べておりましたら、[ハレ(晴れ)とケ(褻)]といった言葉にたどり着きました。 古来より日本人は祭礼などを行う特別な日や事を"ハレ"、普段の日やことを"ケ"と呼び日常と非日常を使い分けていました。着物では晴れ着と普段着。贅沢で華やかなお料理と毎日のつつましいおかず。お花の伝統的な生け方と自由な花形など。このように生活にはバリエーションがあります。とはいえ、日々は圧倒的に"ケ"が多く、そんないつも通りのことが私を支えています。  もし毎日がパーティーやお祝いでご馳走三昧、そんな生活を送っていてはバランス感覚が失われてしまうので「ケの中のささやかなハレ」のように実際には何層にも分かれた感覚を身につけ、普段のほんのりとした美しさや輝きに気付きながら日々を大切に過ごしたいと思っています。とりわけ、まとうものの効果は思っている以上で特に着物に袖を通した途端、繊細な二十四節気の移ろいに敏感な自分自身がおります。  この[ハレとケ]に文化の知恵のようなものを感じました。その根幹にはバランスのとれた循環があり、「ハレとケ」のリズムを心得れば心得るほど、メリハリのある生活を楽しみ日々の暮らしを豊かにできるのではないか。 着物生活の深みを見つけてしまったような気がします。

▲小さな蕾が日に日に少しづつ綻んで可愛らしいお花を咲かせました。こんなにも愛おしく、優しい気持ちにさせてくれる存在に愛と感謝が溢れてきます。

▲まもなく桃の節句ひと足お先に桃花を愛でて。紅白の源平桃花と共に今月も素敵なお出会いに恵まれました。

▲久しぶりの訪問着。大好きなおばさまとの2ショット。フォーマルな装いこそ着物がサイコー。

▲レッスン前のおもてなし。今日は中国茶を絞り出しで。お菓子は定番の香り白玉。穏やかな時間が流れました。

▲京都の魅力は尽きることなく、四季折々の景色はもちろん、文化や歴史の背景を知ることでその魅力は深く深く。とても良い機会に恵まれた1日でした。

私の再開した着物中心の インスタアカウント
@kimono_saori_ooyama
職人さんとの交流や日々の着物コーデなどを紹介します。ぜひフォローしてくださいね。
スタッフ 大山 沙織

=やまやまプレミアム=
日本三大紬のひとつ 「本場黄八丈」 洗練された漆黒は 見るものを魅了する
石野 あかり さん

祖母、母ともに着物が大好きで、自宅にはたくさんの着物があります。今回は、黄八丈の着物と、北村武資の煌彩錦帯の極上の組み合わせでコーディネートしました。まずは、目をひく黄八丈の着物から。八丈島で自生する草木で染色された糸を手間ひまかけて織り上げ、独特の輝きと艶、着続けるごとに身体に馴染む着心地が特徴です。現代の街並みに合う洗練されたこの黄八丈は山下芙美子作。着物好きの中では垂涎の一着で希少価値が高く、着物好きなら一度は着てみたい"憧れの一着"を着ることができてとても嬉しいです。そして、重要無形文化財保持者(人間国宝)として活躍されている北村武資の光彩錦袋帯は、高度な技術と現代的デザインが融合した、自慢の一本。黄八丈は紬ではありますが、洗練されたスタイルは北村武資のこの帯にぴったり合っているなと思います。子どもが2人いるので、卒・入学のタイミングでも着物を着る機会をどんどんと増やしていきたいです。

骨董を愉しむ

山正山﨑が運営する裏山文庫ではなるべく花を欠かさないよう日々、道端に咲く花などを見逃さないように目を光らせています。何か一輪でも良いので空間に花が無いとちょっと落ち着きません。どこかの流派に属している訳では無いので勝手気ままにお気に入りの骨董の壺や瓶に投げ入れています。花自体ももちろん好きですがやはり手持ちの道具に心底惚れ込んでいるのでその道具が良く映えるようにするにはどうすればいいのか自問しています。  お酒もほどほどに嗜みますがこれも先程の話と同様、自分の好きな骨董の徳利や盃を使うために飲んでいるというのも一理あります。持っているモノは金額や希少価値に関係なく使い倒したいですね。  着物でも大切で高価なものほどつい箪笥に仕舞われがちですが、やはり着るべきかなと思います。着物を置き物にするなとはよく言ったものです。そのモノを身に纏ったり、使ったりすることによってその人も物も輝きを増してくるのではないでしょうか。何よりもその瞬間が純粋に愉しいじゃありませんか。愉しいというのが一番です。と言いながらも貧乏性の私はやはり元を取りたいと言う気持ちもあったりもしますが。出来ることなら毎日使いたい、さらにお出かけするときにも連れまわしたいほど。ちなみに徳利や盃などはよく居酒屋に持ち込んでは酒を移し替えて楽しんでいたりもします。実は骨董好きの比較的スタンダードな楽しみ方であります。ちょっと変わった人だと壺と一緒にお風呂に入る人、徳利を股に挟んで布団に入る人などもいるらしいです。その気持ちわからないでもないですね。  少し前に地元の博物館さんより難しい学術的な事は置いといて骨董をベースに自身の新たな価値観の発見と観に来られた人への愉しみ方の提案をして欲しいと企画のお手伝いの依頼がありました。私一人では役不足なので最も古い付き合いの数奇者数名にお声がけをして協力させて頂いております。企画タイトルはストレートに「骨董を愉しむ」。なるべく日常の骨董との付き合いかたを表現出来たらいいなと思っていますが、普段は実際に手に触れたり口につけたりするものが多いのでガラス越し、無機質な空間でどのように表現をしたらよいのだろうかと悩みますが、そんなことを考えているときも愉しいものです。

裏山文庫おすすめイベント

8月27日(日)〜10月2日(日) 田原市博物館にて
◆ 骨董を愉しむ[企画展示室2]
◆ ふるさとの歴史 近現代の渥美半島[企画展示室1]
◆ 渡辺崋山とゆかりの人たち[特別展示室]
裏山文庫の名前の由来は、山正山﨑の裏にあることから名付けました。文庫というので書庫と思われていますがそうではなく、我々呉服商の「文庫」というと大事な物を包むものという意味もあります。
※通常営業、公開はしておりません。イベントの際などはSNS等で告知いたします。

=連載= 古物に遊ぶ ② 
時空を超えた 旅への切符

表紙題簽に「千家十職」とある。かつて岡崎市に存在した日刊紙「新三河新聞社」の小田冷劔が同紙上に連載した、茶の湯・千家に仕え道具づくりを手掛ける京都の十の職家(※)の訪問記をまとめた一冊である。昭和5年刊、印刷は豊橋日日印刷部による。  毎月二三度づつは上洛して、名勝旧蹟も略ぼ見尽くしたので、何か変わつたものを見たいと考えて居た折柄、日本自由画壇の松村梅叟画伯から「千家十職めぐり」といふやうな事は何うか、と勧められたままに、昭和三年の二月から、黒田正玄を始め、略ぼ年一杯に十職をめぐり終つた(後略)  著者は、千家十職の作の出来栄えや価額はもとより、現前にあらわれた主人ひとりひとりの姿、矜持、そしてものの考え方といったものを軽やかにスケッチしてゆく。「若い主人は、絶へず謙遜しながら、ぼつぼつと、而もはつきりと答へるのであつた。奥床しさの極みである」(黒田正玄)、「純京都ッ児としてのしとやかさを見せて居た」(中村宗哲)、「体格の立派な主人公は、いと慇懃に我々を請じて呉れた。しかし座敷へは通さない。正玄でも、宗哲でも同じであつた。そして何処に商人らしい所も工匠らしい所も見せない」(土田友湖)、「『苦心談を聞きたいと仰しやつても、さて、是と申してお話し申す程の事もありませんのです』」(永楽善五郎)。  すぐれた「紀行」とは何か。それは優雅で感傷的な旅の記録にあるまい。三河から京都を訪ねる小田冷劔は当地で見聞した物事を、あるときは写実的に書き記し、あるときは自らの眼と精神をたよりに鋭い批評を加えている。そのように「紀行」に必要不可欠な客観性の裡に、戦前期の京都を生きた「千家十職」主人たちが息づいている。本書をひもとく者はみな、時空を超えた旅への切符を、そう、在りし日の京都を歩き、千家十職を訪ねる切符を手にすることになる。

※黒田正玄(柄杓師)、中村宗哲(塗師)、土田友湖(袋師)、奥村吉兵衛(表具師)、駒澤利斎(指物師)、樂吉左衛門(茶碗師)、飛来一閑(一閑張細工師)、大西清右衛門(釜師)、中川浄益(金物師)、永楽善五郎(焼物師)

小田冷劔『千家十職』昭和5年 新三河新聞社刊
〈表紙写真提供〉 株式会社細尾

PROFILE
1980年生。早大仏文科卒。古物商。文筆家。国内外の古書・古物を扱うギャラリー「かたちのきおく」主宰。
antique dealer
早崎 主機(はやさき しゅき)


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