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2022.12.08
コラム

振袖|成人式でのマナー

待ちに待った成人式までいよいよあと1ヶ月。振袖も無事に決まって、あとは本番を迎えるだけ! という人も多いかと思います。そこで今回は、成人式準備の総仕上げとして、式典におけるマナーや振袖を着用した際の所作、着崩れの直し方について確認していきます。大人にふさわしい立ち居振る舞いを身に着けて成人式に臨みましょう。


【目次】
1 成人式における基本的なマナー
2 振袖姿を美しく見せる所作
3 振袖着崩れの応急処置
4 まとめ

成人式における基本的なマナー

成人式は大人の仲間入りを果たしたことをお祝いする一生に一度の式典です。久しぶりに再会する友人と話が弾むこともあるでしょう。しかし羽目を外しすぎるのはNGです。大切な節目の時だからこそ最低限のマナーは守りつつ、楽しいひとときを過ごしてください。

成人式の服装

成人式には必ず振袖やスーツを着なければならないというルールはありません。ただし成人式は格式高いセレモニーであるため、TPOをわきまえたフォーマルな服装を選ぶことが重要です。公共の場でもあるので、少なくとも周りを不快にさせない清潔感のある格好を心がけましょう。
女性に人気なのはやっぱり振袖。日本人の未婚女性の第一礼装であり、華やかさと気品を兼ね揃えているためお祝いの席にぴったりです。成人式に参列する女性の9割以上が振袖を選ぶというデータもあります。その他だとドレスやスーツもOK。悪目立ちするような奇抜なデザイン、カジュアルシーン向け、露出度の高いものは避けてください。


 男性は一般的にはスーツを着用することが多め。大学の入学式用にあつらえたスーツを着ても問題ありません。色はネイビーかグレーが定番。フォーマル感のあるブラックも人気です。ジャケットの前ボタンの1番下は開けておくのがマナー。シルエットを美しく保つためにジャケットのポケットには何も入れないようにしましょう。スーツは社会人になると着る機会も増えるため、あえて袴を選ぶ人もいます。日本男児らしい硬派なイメージの黒や白が主流です。


振袖に合わせたメイクを

「着付けとヘアセットは美容院にお願いするけれど、メイクだけは自分でやりたい」という人もいるかもしれません。その場合は、TPOを意識した上品なメイクを心がけることが大切です。成人式だからと気合を入れすぎて、やりすぎメイクにならないよう気を付けて。ただ、普段通りのメイクだと振袖に負けて地味に見えてしまうことも。濃すぎず薄すぎず、華やかなメイクにすることがポイントです。メイクを直す時は、お手洗いなど別室で行うようにしましょう。公衆の面前で直すのはマナー違反です。

持ち物はコンパクトにまとめる

振袖に合わせるバッグはとても小ぶりです。伸縮性もないため、あれもこれもと詰め込むことはできません。お財布は小銭入れサイズにして、カードなど余計なものは家に置いていきましょう。
その他の必需品は、成人式の招待状、スマホ、ティッシュ、ハンカチ、必要最低限のメイク直しグッズ(ファンデーション、リップ、綿棒など)。余裕があれば、着物用クリップも持参するとお手洗いの際に便利です。また、成人式では記念品が用意されているので、持ち帰り用にサブバッグもあると良いでしょう。コンパクトに畳めるタイプなら、小さな着物バッグにもしまっておきやすいですよ。

 式典中はお静かに

懐かしい友人と再会して話が尽きないかもしれませんが、式典の最中に私語やスマホを操作するのは厳禁です。式典の所要時間はだいたい40分~1時間半程度。この時間は静粛にスピーチに耳を傾け、終わってから存分におしゃべりや記念撮影を楽しんでください。

振袖姿を美しく見せる所作

成人式に振袖を着ることは、多くの女性にとって憧れです。しかし普段着ている洋服と同じような感覚で立ち居振る舞うと、なんとなく上品さに欠けるだけでなく、着崩れの原因になってしまうこともあります。せっかくの振袖姿をより美しく見せるために、正しい所作を身に着けて本番を迎えることをおすすめします。


 基本の立ち姿

まずは肩の力を抜いてリラックス。上に引っ張られているようなイメージで背筋をすっと伸ばし、お腹に力を入れてまっすぐ立ちます。手はブラブラさせずに、帯の下で重ねましょう。足元はつま先が八の字になるようやや内股気味にくっつけると上品です。ときどき片足に重心が偏っていないか、猫背になっていないかなど、正しい姿勢が保てているか意識してみてください。

 歩き方

洋服の時よりも歩幅は小さめにするのがポイント。「1歩=足幅」くらいの感覚で内股気味に踏み出すと優雅に見えます。加えて、右手で軽く着物の端を持つようにして歩くと裾が広がらなくて安心です。草履は指で引っ掛けるように浅く履きます。この際、かかとが1~1.5cm程度はみ出るくらいが正解。鼻緒を親指と人差し指ではさむようにすると、パタパタ大きな音を立てずに歩けます。

 階段の上り下りの仕方

振袖の袖丈はおよそ100cmにもなります。長い袖を引きずらないよう、階段を上り下りする時は特に注意が必要です。両袖を重ね合わせ左の腕に袖をかけるようにそれぞれの腕で抱えるようにしてかけるように、地面につかないようにしてください。ふくらはぎが覗くと見苦しいので大股はNG。足首がむき出しにならない程度に右手で少しだけ裾を持ち上げて、体をやや斜めにするとスマートに見えます。家族がそばにいる時なら、手を取ってもらってエスコートしてもらうと良いでしょう。

 車の乗り降りの仕方

体の前で袖を合わせて、ドアに引っかかったり引きずらないように準備します。車に乗り込む時はまず座席に腰を下し、次に髪型を崩さないよう気をつけながらそっと頭を入れ、最後に足を揃えて90度回転させて入ります。下りるときは、足→頭→腰と逆順で動きましょう。乗車中は帯がつぶれないように背筋を伸ばして浅く座ります。なにかにつかまっておくとバランスが取りやすいです。

 座り方

成人式の会場のほか、移動中の車や電車、お祝いの食事の席など、椅子に腰かけるタイミングは多くあります。ゆったり寛いでも問題ない洋服の時と違い、振袖の場合は帯がつぶれないようかなり浅めに座って背筋をピンと伸ばすことが肝心です。バッグを背もたれと背中の間に置くと座りやすくなります。また、太ももやひざの裏側の生地が偏っていたり重なっていたりすると、座りジワになってしまいます。腰を下す前に左右の両脇を引っ張り、生地がもたつかないようにしましょう。袖は床につかないよう、左右重ねてひざの上へ置いておくこと。

 物の拾い方

うっかり落とし物をしてしまった時も、あわてずゆったり動くことが大切です。かがむ前に袖を引きずらないよう右袖は右腕にかけ、左袖を右手でまとめつつ、着物の袂(たもと)を押さえながらしゃがみます。少し体を傾けながら腰を落とすとエレガントです。前かがみになると着崩れの原因にもなるので、無理して自分でなんとかしようとせずに周りの人に頼るのもありです。

 写真を撮る時

せっかくなら振袖をきれいに見せて写りたいもの。さっと衿を整えるだけでも品の良さが増すので意識してみてください。全身撮影の場合は、基本の立ち姿を意識し、柄が多く入っている左肩前と上前をしっかり正面に向けるのがコツ。腕を上げて袖の柄を見せるのも素敵です。顔やバストアップの写真なら、お顔に手をさり気なく添えると小顔効果が期待できるほか、襟元が乱れていたとしても自然に隠せます。

食事の仕方

なるべく食べこぼさないために、一口サイズに料理を切り分けて口へ運ぶようにしましょう。冷たいドリンクを飲む時は、結露したしずくが着物に落ちないようグラスの底に紙ナフキンを添えると◎。自然と両手で持つことにもなり上品に見えます。大きめのハンカチを用意しておいてひざや衿元にかけておくと、食べこぼしから振袖をガードできて安心。周囲に心配をかけないのも大人のマナーの1つです。乾杯などでグラスを掲げる時には、反対の手で袖の袂(たもと)をそっと押さえましょう。そのまま腕を上げてしまうと、袖がダラリと下がって腕や肘が露出してしまうので気を付けてください。見せて良いのは手首までと意識しておくと良いでしょう。離れたところにある物に手を伸ばしたり、電車で吊革につかまる際も同じテクニックが使えます。

 お手洗いの済ませ方

振袖を着ている時は、広めの個室や洋式トイレを選びましょう。この時にクリップを持っていると非常に便利。まずは帯締めの間に袖を下から通してはさみ、床につかないよう引き上げます。その後、振袖、長襦袢、裾避けをまとめてまくり上げ、クリップで帯締めに留めておきます。後ろも同様に留めておくと用を足しやすいので、クリップは2つあるとベスト。終わったら裾避け、長襦袢、振袖を1枚ずつ整えながら下すと着崩れ防止になります。手を洗う際も両袖をクリップで留めておけば濡らさずに済みます。クリップを持っていない場合は、両袖を帯締めに挟みこんでもOKです

振袖着崩れの応急処置

成人式の1日は思いのほか長丁場になりがちです。式典自体は1時間前後で終わるものの、久しぶりに会った友人や恩師とおしゃべりや記念撮影を楽しんだり、そのまま二次会に繰り出したりすると、あっという間に半日は過ぎてしまいます。「半日なら大したことなさそう」と感じるかもしれませんが、振袖を着慣れていない人にとっては長い時間です。時間が経つにつれてどうしても、生地がゆるむ、シワがつくなどの乱れが目立ってきます。せっかくきれいに着付けてもらった振袖も着崩れてしまっては台無しです。自分でも簡単にできるお直しの方法をいくつか押さえておいて、大人のレディらしく品良く1日を過ごしましょう。


着崩れしやすい5つの場所

1.衿元がゆるむ
振袖は下に肌着、長襦袢と重ねて着るため、長襦袢と衿あるいは重ね衿と振袖の衿の間が浮いてきてしまうことがあります。もしゆるんできたなと思ったら、左の身八ツ口に左手を入れて、衿を引っ張ります。胸元にもゆるみがある時は、前側のおはしょりを下に引っ張ってください。また自分では見えにくい部分ですが、後ろ衿も乱れやすい部分です。振袖を着る時、こぶし1つ分くらい後ろ衿を引き下げて間を空けることを「衣紋を抜く」といいます。こうすることでうなじを美しく見せられるのですが、動いていると徐々に衿が浮いてきて首元が詰まった印象に。もし気が付いたら、おはしょりの背中心辺りを両手でつかんで軽く下に引き下げましょう。

 2.背中や腰の部分がゆるんだりシワが寄る
立ったり座ったりを繰り返すうちに、だんだん背中や腰にゆるみが起こってきます。自分ではなかなか見えない部分なので、時折お手洗いの鏡などでチェックしましょう。着崩れに気が付いたら、背中側のおはしょりを下に軽く引っ張ります。これだけでもゆるみとシワが解消されます。

3.上前がズレて裾が下がってくる
振袖の裾を踏んでしまったり、階段を上り下りしていると、徐々に上前が下がってきてしまうことがあります。そのまま放っておくと、思い切り裾を踏んで修復不可能な状態に陥ることもあるので、早めに直しましょう。まず真っすぐ立った状態で上前のズレを直し、下がってきた部分だけおはしょりの下に入れて隠します。前が整ったら後ろも同じ手順でお直ししてください。

 4.おはしょりが崩れる
いろいろいじっているうちに、おはしょりが出過ぎてしまうことがあるかもしれません。そんな時は、余分な部分を帯の下に入れ込むだけでOK。ただし適当に押し込むのではなく、きちんと縫い目を合わせてシワにならないよう丁寧に行うようにしましょう。

 5.帯が下がってくる
着付けの際に補正が不十分だったり、帯の締め付けが弱かったりすると、少しずつ帯が下に落ちてきます。上げ直す時は、上からだけでなく下からもしっかり持ち上げるのがポイント。帯の下に両手を差し込んでぐっと持ち上げた後、帯の上を持って引き上げると仕上がりがきれいです。何度直しても落ちてきてしまう場合は、小さめのタオルかティッシュを帯の下に挟み込みましょう。厚みが出て締まりがしっかりします。

まとめ

成人式は無事にハタチを迎えられた喜びと、大人としての責任を実感できる大切な式典です。だからこそマナーをしっかり守って、みんなで気持ちよく過ごしたいですよね。成人式で初めて振袖を着る人にとっては、着物独特の所作は難しく感じるかもしれませんが、マスターすればいつもの何倍も美しく見えます。着崩れも案外簡単に自分で直せるので、本番までに対処法を頭に入れておくことをおすすめします。準備万端で素敵な成人式を迎えてください。