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お知らせCOLUMN

2023.05.04
コラム

着物の扱い方

着物を長く美しく着るためには、お手入れがとても大切です。今回は着物を着終わった後にやっておきたいルーティーンを解説します。最初は少し手間に感じるかも知れませんが、一度慣れてしまえばそれほど難しいことではありません。また、着物をクリーニングに出すタイミングや、安心してメンテナンスをお任せできる専門店を選ぶポイントについてもご紹介します。

【目次】
1 着物を脱いだ後にすべきルーティーン
2 着物をクリーニングに出すタイミング
3 安心してお任せできる専門店を選ぶポイント
4 まとめ

着物を脱いだ後にすべきルーティーン

「着物が吸い込んだ湿気を飛ばすために陰干しする」「きれいに畳んでからしまう」といった基本はご存じの方も多いかと思います。しかし、小物1つ1つのお手入れ方法や、着物の状態を把握しやすい保管方法はどうでしょうか。実はよく分かっておらず、自己流でなんとなく済ませているという方もいるかもしれませんね。ここでは、着物を脱いだ後にすべきルーティンについてご紹介します。

着物の湿気を飛ばす

まずは着物、帯、長襦袢といった大物を広げて干し、汗などの湿気をしっかり飛ばしましょう。

着装道具のシワをのばす

着付けに不可欠な腰紐や伊達締め。水洗いに向いていない素材がほとんど。着用後、しわくちゃのまま収納していしまうと、道具本来の良さが活かせず使い勝手の悪い物になってしまいます。そのため収納前に陰干しして、シワを伸ばすことが非常に重要です。とはいえ、なかなかシワが取れないからといって無理にアイロンがけすると、生地が縮んでしまうことがあるので注意しましょう。

帯周りの小物も丁寧に収納

帯揚げはシワが気になる場合のみ、あて布(白い薄手の木綿生地が◎)をしてさっとアイロンをかけます。この時アイロンの温度は、必ず生地に合った温度にすること。絞りの帯揚げはアイロンをかけると独特の凸凹がつぶれてしまうのでNGです。それほどシワが気にならないようなら、陰干ししてきれいに伸ばしてからたたんで収納します。積み重ねると折りジワができやすいので、スペースに余裕を持って収納しましょう。帯締めを収納する時は、房を美しく整えることがポイント。形が崩れないようにする透明なカバーを利用すると便利です。「房カバー」や「帯締め収納カバー」などの名前で販売されているので、気になる方はチェックしてみてください。

半衿を取り外す

半衿とは、着物の下に着る長襦袢に縫いつけて使用する短めの衿のこと。汗やファンデーションで汚れやすい衿元をカバーするための必需品です。着物を脱いだ後は、忘れずに半衿を外してお手入れしましょう。一番確実なのは、着物や長襦袢と一緒にクリーニングに出すことですが、ポリエステルなどの化学繊維や麻でできたものであれば、自宅でお洒落着用の洗剤を使って洗濯することも可能です。やさしく手洗いするか、ネットに入れて洗濯機の手洗いモードでほかのものと分けて洗うようにしてください。正絹、縮緬(ちりめん)、金箔や銀箔が入ったもの、レース、刺繍入りのもの、麻素材でもシボが入ったもの、何の素材なのか分からない半衿は、専門店でクリーニングしてもらうのが無難。お手入れが済んだらすぐに半衿を付け直しておくと、次に着る時スムーズです。

着物をたたみながら同時に点検も

着物がしっかり干せたら、シミやほつれなどがないか隈なくチェックします。気になる点があれば、「どの箇所に」「どんなダメージがあるか」を「着用日」や「その日の天気」と共にたとう紙にメモしておきましょう。こうすることでメンテナンスのし忘れを防ぎ、お手入れやお直しの参考にすることができます。全ての着物を引っ張り出して一気に点検するのは大変ですが、着終わった後に一つ一つ済ませておけばそれ程手間ではありません。帯や長襦袢も同じように点検・覚書しておくことをおすすめします。

入念にチェック!特に汚れやすい4つの場所=
■衿
先にも述べた通り、半衿は汚れやすいので着終わったら必ずきれいにしましょう。

■袖口
長襦袢のほうが着物の袖より短く作られているので、着物の袖口は常に直接お肌に触れています。そのためどうしても皮脂汚れが付着しがち。食べ物や飲み物のシミ、雨の日であれば水ジミなども付いていることがあります。

■前身頃
食べこぼしによるシミが最も多い箇所。飲食物とひと言でいっても、ドリンク類の水性の汚れからマヨネーズなどの油性の汚れまで内容はさまざま。とても目立つ場所なので、早急にクリーニングに出してきれいにしてもらうのがベストです。

■裾
砂埃や泥ハネが付きやすい箇所です。特に雨の日に着た際は、隅々までチェックしましょう。

草履のお手入れも忘れずに

意外とおざなりにしがちなのが草履の汚れです。履物だから汚れるのは当然と、スニーカー感覚で扱っていては寿命は縮むばかり。汚れを残したままにしておくと、カビの原因になります。軽い汚れなら乾いた布で拭き取る、頑固な汚れなら固く絞った濡れ雑巾でやさしく拭き上げましょう。また、草履は台が厚く、中にも湿気が入り込む構造になっているため、台の裏側や中までしっかり乾燥させてから収納することが肝心です。晴れた日でも湿気は案外たまりやすいので、履き終わったら毎回行うのがおすすめ。干し方は、底に空気が通るように壁に立てかけておけばOK。エナメルや皮など直射日光に弱い素材も多いため、陰干しが安全です。

着物をクリーニングに出すタイミング

「ぱっと見きれいでも毎回クリーニングに出したほうが良いの?」「すぐ出すのが良いのか、日が経ってからでも良いのか?」と、専門店に持っていくタイミングは悩ましい問題です。着物のクリーニングの頻度は、汚れの状態や着る回数によって変わってきます。ぜひ今後の参考にしてみてください。

シミを付けてしまった時

汚れやシミを見つけた場合は、ただちにクリーニングに出すのがベスト。汚れやシミは時間が経つごとに落ちにくくなる=シミ抜きの料金も高くなってしまいます。また、暑さが増すこれからの季節は、汗ジミも要注意です。汗は乾くと見えなくなるので着用後すぐは分かりにくいですが、時間の経過と共に黄ばんできたりカビが生えてくることがあります。暑い日、徒歩での移動が多かった日、お酒をたくさん飲んだ日などは、早めに専門店で汗抜きしてもらうのがおすすめ。

1シーズンに1度はクリーニング

普段着や軽いお出かけ着として頻繁に使うようなお気に入りの着物は、目立つ汚れや汗ジミがなければ1シーズンに1度まとめてクリーニングに出せばOKです。ただし、着終わった後は必ずお手入れすること。そうすることでクリーニングの頻度を減らしても、きれいに着続けることができます。季節物の着物は、しまう前に1度クリーニングに出すようにしましょう。

着物の着用シーズン=
■10月~翌年5月頃
生地を2枚合わせて仕立てた袷(あわせ)を着ます。

6月、9月
1枚の生地で作った着物を単衣(ひとえ)と呼びます。主に季節が切り替わるタイミングで使用。

■6月下旬~8月
気温が高い時期は、絽(ろ)や紗(しゃ)、薄物(うすもの)など涼しげな夏の着物を着ます。

あまり着ない着物は、使ったら毎回クリーニングが吉

振袖や留袖など、冠婚葬祭で使うような礼装用の着物は、なかなか着る機会がありません。「成人式以来、1度も振袖を着ていない」「最後に喪服着物を着たのはいつだっただろう」という方もいるのではないでしょうか。たった1度の着用でも着物には、目には見えにくい汚れが付着し時間をかけて少しずつ変質していくもの。カビや虫食い、黄ばみなどのトラブルを少しでも避けるため、着用した着物はしまう前にクリーニングに出すようにしましょう。

安心してお任せできるクリーニング店を選ぶポイント

せっかくクリーニングに出すのなら、信頼の置けるお店にお願いしたいですよね。クリーニング店を選ぶ際に重視したいポイントをご紹介します。

着物クリーニング専門店かどうか

着物を丸洗いするだけなら、請け負っているクリーニング店はたくさんあります。しかし洋服をメインにしているようなお店だと、着物を扱う知識や技術が足りていないことも。大切な着物をより良い状態で保ちたいなら、やはり着物クリーニング専門店にお願いするのが最も安心です。専門知識や高度なテクニックを持つ職人が、丁寧に対応してくれます。クリーニングに出す前に、ホームページや電話で「着物の洗い方に関する知識を持っているか」「きものアフターケア診断士の資格を持つスタッフがいるか」などを調べておくと良いでしょう。

■きものアフターケア診断士とは
着物を美しく着続けてもらうため、アフターケアの知識と技術を磨いたプロフェッショナル。シミや汚れの本質を見極めて最適なケアを行うほか、着物の保管方法のアドバイスやお手入れ方法について幅広くサポートしています。きものアフターケア診断士が在籍する豊橋市の呉服専門店山正山﨑では、他社では敬遠されがちな高級品のメンテナンスも請け負っています。大切な着物のクリーニングやお直しもお任せして安心です。

店舗型と宅配型、どちらが自分に合っているか

着物を直接持ち込む店舗型のほか、最近では宅配クリーニングを活用する方も増えてきています。店舗型の最大のメリットは、対面でいろいろ相談できたり、その場で仕上がりをチェックできること。お店へ足を運ぶ手間はあるものの、やっぱりこの方法が一番安心という方も多いです。一方、宅配型は宅配便を利用してクリーニングを依頼する方法で、自宅で発送から受け取りまでできるのが大変便利。いつでもネット予約が可能なので、忙しい方も利用しやすいでしょう。

クリーニングの種類は何があるか

基本の丸洗い以外にどんなメニューがあるのかもチェックしておきましょう。よくあるのは、汚れや汗を落とす「シミ抜き・汗抜き」、着物の寸法直しやカビ取りのため着物をほどいて洗う「洗い張り」、水や汚れから着物を守る「撥水加工」などです。丸洗いだけでは対処できなさそうな場合は、メニューが豊富なお店を選ぶようにしてください。

相場はどのくらいか

クリーニング店によって価格はまちまち。事前にある程度見比べてみましょう。ただし、安さに惹かれてお願いしたものの、あとからオプションが追加になって思いのほか高くついてしまった…というケースもあります。事前に見積もりを出してもらうと安心です。

万が一の時ため補償内容もチェック

あまり考えたくはありませんが、クリーニングをしたら着物が色褪せてしまった、縮んでしまった…というトラブルも残念ながらあります。そうした場合に再仕上げは可能なのか、賠償はしてもらえるのかなど、補償内容を把握しておくことも大切です。補償が充実していても、会員にならないと対象外だったり、タグを紛失すると補償が受けられなかったりすることもあるので、しっかり確認しましょう。

まとめ

今回は着物を脱いだ後にやっておくと良いルーティーンと、着物のクリーニングについて解説しました。ちょっとしたお手入れの積み重ねで、着物の状態というのは大きく変わってきます。お気に入りの着物や小物をこれから先もずっと愛用するためには、こまめなお手入れは欠かせません。自宅でできるセルフケアと専門店のクリーニングを上手く使い分けて、大切な着物を長くきれいに着続けましょう。