年々バリエーション豊かになっている和装小物。斬新な色使いに、パールやレースをあしらったものなど、お母様の時代ではあまり見られなかったアイテムが次々登場しています。どの小物を選ぶかによって、同じ振袖でも表情は幾通りにも変化します。細かな部分にも1つ1つこだわって、自分だけのオリジナルコーディネートを完成させましょう。
【目次】
1 振袖のトレンドと小物のコーディネート方法を解説
2 トレンド小物を取り入れて旬の装いを楽しもう
3 トレンドヘア小物もチェック
4 まとめ
振袖のトレンドと小物のコーディネート方法を解説
振袖には時代に左右されない価値があり、親から子、子から孫へと何世代にも渡って受け継いでいけるのが魅力です。近年ではお母様の振袖を自分なりにコーディネートして着直す「ママ振」も流行しています。だからこそ「振袖にトレンドってあるの?」と疑問に思うかもしれませんが、振袖にも洋服と同じように人気の傾向というものはあります。
ここ数年のトレンドはこれ!
令和に入った頃から目立ち始めたのが、くすみカラーの振袖や柄を抑えたシンプルな振袖。これは洋服のトレンドから影響を受けたものです。他にも、ひと昔前までは少数派だった白、青、緑、オレンジを基調とした振袖や、柄が大きくインパクトがある振袖にも人気が集中しています。また、パーソナルカラーが一般化してきたことで、「自分が好きな色」ではなく「自分に似合う色」を重視するお嬢様も増加中です。
振袖の流行はゆっくり移り変わる
このように時代に合わせて変化を続け、成人式の定番として愛されてきた振袖。毎年各ブランドがその年の流行色や柄を反映した新作振袖を発表しており、早い方だと高校3年生の夏休みからリサーチを始めます。1年ごとにトレンドが変化する洋服に対し、振袖の流行は数年単位でゆっくりと移り変わっていくので、早めに振袖を選んだとしても大丈夫。成人式本番でしっかり最旬の着こなしが叶うようになっています。また、ここまで振袖のトレンドについて触れてきましたが、必ずしも最新のスタイルでないといけないわけではありません。古典柄の赤い振袖に金色の帯を締めたような「王道」スタイルは、やっぱり現代の価値観に照らし合わせても魅力的。大切なのは、自分が心から良いと思えるコーディネートを完成させられるかどうかです。
小物の組み合わせ次第でどんなイメージにも
振袖を着た際に外から見える小物には、帯、帯揚げ、帯締め、しごき、半衿、重ね衿、足袋、草履、バッグ、ショール、髪飾りなどがあります。これらの組み合わせを変えることで、正統派のきれいめコーデからモダンな個性派コーデまで、ありとあらゆるイメージを創り出すことができます。小物の選び方は主に2つ。着物メーカーや呉服店が見繕ったセットを利用する方法と、すべて自分でイチから選んでいく方法です。「コーディネートにかける時間がない」「上手く選べるか心配…」という方なら前者が安心ですが、後者でもプロがサポートしてくれるので心配はいりません。成人式は一生に一度です。振袖を選ぶのと同じくらい小物にもこだわって、心から満足できるコーディネートを叶えてください。
小物選びの5つの極意
1. 統一感を出すには、振袖に使われているカラーと同じ色の小物を選ぶと◎。
2.「インパクトを出したい」「個性的に装いたい」場合は、振袖の反対色の小物をセレクト!
3. 流行の同系色コーデにチャレンジする際は、小物の色の濃淡でアクセントをつけましょう。
4. お顔に近い半衿や髪飾りは、パーソナルカラーに添って選ぶのが理想。お顔映りがきれいになります。
5. ママ振など古典柄の振袖を選ぶなら、帯や衿などを最新のものに。「定番」と「流行り」をバランス良く組み合わせることで、古めかしい印象になることを避けられます。
トレンド小物を取り入れて旬の装いを楽しもう
小物にも今どきな感性を加えれば、令和ならではの粋な着こなしに。どんなアイテムが注目を集めているのかチェックしてみましょう。
■ 帯揚げ
帯揚げは帯の結び目を支える柔らかい布のこと。正面から見た時にちょうど帯の上を通るため、コーディネートのポイントにもなります。特に振袖の場合は、思い切り見えるように着付けることが多いため、色や柄にはしっかりこだわりたいもの。流行りのくすみカラーや、トレンドのシンプルコーデのアクセントになるような凝った刺繍を施したものなど、流行を意識した帯揚げが増えてきています。刺繍が入っている場合は、きちんと柄が見えるように着付けてもらうことが大切です。
▲手前:大きく花開いた百合がエレガント。白い百合には「純粋」「清浄」「高貴」といった意味があり、清楚かつ凛としたイメージを与えてくれます。洋風なデザインなので、和モダンに装いたいお嬢様にぴったりです。
奥:人気のくすみラベンダーを基調色とした美しい1枚。全体に散りばめられた小花の刺繍がとても可憐です。
▲赤×黒で表現された花柄が強い印象で、豪華絢爛な振袖に合わせてもバランスが取れます。逆に色無地などすっきり落ち着いた振袖に合わせれば、全体を引き締めるアクセントにもなります。
▲淡い色の繊細な刺繍が黒地に映える帯揚げ。女性らしい優しい雰囲気とクールなイメージがあいまって、大人可愛い印象に。流行のくすみカラーを用いているためトレンド感も充分。
▲こちらもくすみカラーを基調とした控えめな配色が今風。しっとりと落ち着いた雰囲気が楽しめます。数ある花柄の中でも菊は最も格が高く、お嬢様を品良く見せてくれます。成人式という特別な場にふさわしいデザイン。
■ 抱え帯
元々は着物の裾をたくし上げた時に裾を押さえるために使われていた帯のことで、しごき帯と同じような役割があります。近代では花嫁衣装や七五三の着物を着る際に、帯の下部を飾るように締めるのが主流でした。しかし令和に入った頃から、成人式の振袖にも合わせる方が増加中。抱え帯をプラスすると、「帯がさらに華やかになる」「個性を出しやすい」「着物上級者に見える」と人気を集めています。素材や色、結び方にこだわることで、より一層お洒落な着こなしに。
▲透け感のある素材がユニークな抱え帯。柄ではなく織りの技術で美しさを表現しています。カラフルな色合いで、全体を引き締めるアクセントとして活躍。強い存在感を放ちます。
▲同じ素材でもモノトーン調のものは、いっそうレースらしい雰囲気が際立ち、お嬢様をエレガントに見せてくれます。華やかな色柄の振袖や帯の中で、控えめな色使いが逆にアクセントとなり、印象的な着姿となります。
■ 帯締め
帯を彩るアイテムといえば、帯締めも外せません。帯締めは帯揚げと同じく、帯結びが崩れないように締める細い紐のことで、帯の中央を横切るため非常に目立ちます。これまではシンプルに結ぶのが一般的でしたが、最近はアレンジ結びが大人気。お花やリボン、ハート、クローバーなど、ありとあらゆる形を作ることができるほか、ねじるだけでも凝った印象になります。つまみ細工やビジューなど、大きめの飾りが付いたタイプも人気です。
■ 半衿、重ね衿
半衿や重ね衿は見える範囲は少ないものの、上半身の印象を決定づける重要なアイテムです。バストアップ写真は、衿元のコーディネートで雰囲気が変わってくるので、なりたいイメージに合わせて選びましょう。パーソナルカラーに沿って選べば、顔映りを良くすることもできます。近年ではカラフルな柄を施したもの、刺繍入り、ベロア素材、レースやパールをあしらったものなど、洋服に近い感覚で身に着けられるデザインも豊富になっています。
■ リボン、リボンタイ
可愛らしく装いたい方に大人気。振袖の衿の上からリボンタイを付ける、しごき帯をリボン結びにする、帯締めの代わりにリボンを使うなど、いろいろな取り入れ方ができます。リボンの幅が太くツヤのある素材だとポップでガーリーな印象、細めでマットな素材だとクラシカルで大人っぽいイメージになります。
■ 付け袖、グローブ
付け袖はその名の通り、袖口に付ける装飾的な袖のこと。レースやオーガンジーなどガーリーな素材が多く、和洋折衷の大正ロマンコーデにおすすめです。ご友人と記念撮影する時はつけておいて、式典会場では外したいという方にはグローブも◎。手軽にドレスアップできます。
■ 草履、ブーツ
最近の草履は、鼻緒に柔らかい素材を使って履き心地よく改良されています。厚底タイプの草履も登場しており、スタイルアップ効果が期待できると話題。厚みのあるヒールに凝った柄を入れたものも多く、足元も華やかに装えます。また、振袖にあえてブーツを合わせるのもトレンド。振袖と同じような色のブーツを選べば、縦のラインが強調されてスラリとスタイル良く見せられます。草履より歩きやすいのもポイント。
トレンドヘア小物もチェック
ひと昔前までは、まとめ髪に造花のコサージュやかんざしを飾るのが一般的でしたが、近年ではその傾向も大きく変わってきています。振袖の流行に合わせて、ヘア小物も最新版にアップデートしましょう。
■ ドライフラワー
ここ数年、高い人気をキープしているのがドライフラワーです。ドライ加工により生花よりもソフトな色合いとなり、流行りのくすみカラーの振袖にマッチします。優しい雰囲気やナチュラルなイメージを大切にしたいお嬢様におすすめ。
■ 造花
デザインが豊富なためこちらも根強い人気があります。ドライフラワーと比べて壊れにくく、劣化しにくいという利点も。レトロモダンな振袖コーディネートも流行していることから、特に牡丹や椿など大ぶりでインパクトのある造花に注目が集まっています。
■ リボン
トレンドの大正ロマン・昭和ロマンコーデに欠かせないのがリボンです。古典柄の正統派振袖にリボンの髪飾りを合わせれば、一気に旬のレトロモダンコーデが完成します。赤ならキュート、黒ならシックというように、リボンの色によってさまざまなイメージが演出できます。
■ 水引き
ご祝儀袋によく使われている水引き。「ご縁を結ぶ」「魔除け」などの意味があり、おめでたいシーンにぴったりなアイテムです。最近ではこの水引きを使ってヘアアレンジを楽しむ方が急増中。髪に巻きつけたり、形を変形させてコサージュのように飾ったりと、いろいろな使い方ができます。コーディネートの仕上げに、上品な華やかさを添えたい方に◎。
■ 組紐
組紐とは、和小物によく使われている紐のこと。組紐で髪を束ねることで、和の趣が引き立ちます。細いタイプを使うと複雑なアレンジもしやすくなります。
■ 金箔、銀箔
水引、組紐と並ぶ純和風アイテムとして話題なのが金箔や銀箔。髪の表面に貼り付けていくことで、スペシャルな雰囲気が盛り上がります。ポイント使いしやすく、他のヘア小物と組み合わせやすいのも人気の理由。ショートヘアでもロングのまとめ髪でも、髪の長さを問わず取り入れることができます。髪色や振袖に合わせて、金箔と銀箔どちらが良いか検討してください。
■ つまみ細工
200年以上の歴史がある日本の伝統工芸品。振袖に合わせる髪飾りとしては定番で、いつの時代も愛されています。小さな布をつまんで花鳥風月を形作るのが一般的ですが、近年ではモダンなデザインも増えてきています。日本の伝統美の中にもさりげなくトレンドを取り入れたいお嬢様に最適です。
まとめ
時代と共に変化を繰り返してきた振袖コーディネート。洋服と同じように、振袖の着こなしを考える時にもトレンドを意識すると、令和の価値観に合った素敵な着姿となります。しかし毎年新作が発表される振袖に対し、小物類は何が流行っているのか一見分かりにくいもの。成人式で初めて振袖を着るという方にとっては、特に難しく感じるかもしれません。そんな時はぜひ一度呉服店に相談してみてください。お気に入りの小物や、しっくりくる組み合わせがきっと見つかるはずです。