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2023.10.26
コラム

着物お手入れの強い味方、悉皆屋のお仕事

 

 着物好きなら一度は耳にしたことがある悉皆(しっかい)屋という言葉。なんとなく「着物のお手入れをしてくれるところ?」というイメージがあるだけで、クリーニング店との違いや何をしてくれるところなのかきちんと理解している方は案外少ないのではないでしょうか。今回はそんな悉皆屋のお仕事について詳しくご紹介します。

【目次】
1 着物業界を陰で支える悉皆屋
2 悉皆屋3つの特色
3 悉皆屋を利用する時のポイント
4 まとめ

着物業界を陰で支える悉皆屋

悉皆(しっかい)とは読んで字のごとく、「悉く(ことごとく)、みな、すべて」という意味。着物ユーザーの相談窓口のほか、業者の間に入って円滑な取引を遂行する総合プロデューサー的な役割も担っています。着物に関することなら満遍なく請け負う、まさに何でも屋さんです。かつては日本各地で悉皆の看板を掲げるお店が見られましたが、近年は「着物の病院」「着物クリニック」という風に名を変えているところも多くあります。具体的にどんなお仕事をしているのかご紹介します。

着物のお直し全般を請け負う悉皆屋

一般の方がよく目にする悉皆屋は、着物のメンテナンスを主にしたお店です。着物のどこに問題があるのかを聞き取り、専門家の目線で現状を診断・最適なお直し方法を提案します。こう言うと、「クリーニング店と何が違うの?」と疑問に思うかもしれませんが、悉皆屋は丸洗いやシミ抜きだけでなく、お客様の好みに応じて白生地から色を染めたり、体型に合わせて仕立て直したり、古い着物や帯を小物にリメイクしたりと、より多彩な注文に対応しています。お預かりした着物をそのまま悉皆屋がお直しするケースも中にはありますが、どちらかと言えば専門の職人へ業務を委託する仲介業が一般的。例えばシミ抜きなら、上手にシミを落としてくれそうな業者へ、仕立て直しなら腕の良い和裁士に依頼するといった具合です。業者と職人をつなぐのも悉皆屋の大切なお仕事だと言えます。それでは悉皆屋にお願いできる主なメンテナンスをご紹介します。

丸洗い
着物の代表的なお手入れ方法。着物を解かずそのまま洗って汚れを落とします。家庭でのお洗濯とは違い、熟練の職人が着物専用の溶剤を使用し、生地に負担をかけないように洗ってくれるのがポイント。

洗い張り
着物をすべて解いて反物の状態に戻し、それから水洗いします。充分な量の水ですすぎ洗いすることで張り詰めていた絹が緩み、しなやかな風合いを取り戻しながら汚れを落としていけるのが特長。「丸洗いでは落ちない汚れをなんとかしたい」「寸法直しも一緒にしたい」「色褪せが気になる」という方は洗い張りが◎。

シミ抜き
着物のシミ抜きを行う業種のことを「染色補正業」と呼びます。危険な薬品を使用するため国家検定試験の制度があるほど専門性が高い仕事です。さまざまな薬品を用いて染織物を修復・修繕する技術の1つにシミ抜きも含まれます。丸洗いや洗い張りで落としきれなかった頑固なシミ、黄変、変色などに有効です。

染め替え
「色褪せた着物を鮮やかに戻したい」「若い頃にあつらえた着物が歳を取った今だと派手に感じる」「広い範囲に変色や日焼けが見られる」「シミを隠すために染め替えたい」という場合におすすめな加工方法です。無地の着物なら解いて全体を染め直す、小紋や訪問着など柄がある着物なら上から色をかける・柄を糊伏せして地色だけ替えるというように、着物の種類や状態によってさまざまなテクニックが用いられます。

カビ取り
近年ではリサイクル着物を購入する方も増えていますが、どのように保管されていたか分からない古い着物の中には、カビが広がっているものも。「カビはあるけれど表から見えない部分だから」とそのまま着ていると、カビ臭いだけでなくやはり健康面でも良くありません。また、カビの生えた着物をほかの着物と一緒に保管していると、カビが移ってしまうこともあるので要注意。自分では気が付きにくいカビもあるので、古い着物は悉皆屋に見てもらうと安心です。

紋入れ、紋入れ替え
代々大切に受け継がれる家紋。冠婚葬祭用の着物には家紋が入っていますが、時間と共に黄ばんでしまうことがあるので、気になったら修繕しておきましょう。その他、新しい着物へイチから紋入れすることも可能です。

寸法直し
ご自宅に眠っているお母様やおばあ様の着物。明治・大正・昭和の着物には、今の時代にはない独特の趣がありとても素敵ですよね。しかしいざ自分が着直してみると、サイズが小さいことがほとんど。平均身長が伸びていることだけが原因ではなく、仮にもしお母様とご自身が同じサイズだったとしても、昔の着物は生地の幅が狭く、今ほど袖いっぱいに仕立てていないことが多かったからです。着物は着付けである程度サイズ調整できるのが良いところですが、あまりにも寸法が違っていると「着付けがしにくい」「着姿が美しくない」「着崩れやすい」といった問題が起きます。長く愛用し続けるためにもご自身に合った寸法にお直しすることをおすすめします。

かけつぎ、かけはぎ
虫食いの穴や破れを修復する非常に高度な加工です。完全に元通りにすることは難しいと言われていますが、ある程度は目立たなくなります。どうしても残しておきたい思い入れのある着物にぜひ。刺繍糸のほつれ・金彩加工の修繕も一緒にお願いできる悉皆屋もあります。

ガード加工
汚れをつきににくくするガード加工も人気があります。こちらもしておくと、コーヒーや醤油をこぼしても生地に浸透しにくくなり、シミになりません。防虫効果が期待できるものもあります。

リメイク
着物を解いて反物の状態にし、全く別の物に作り変えることもできます。使える生地の大きさにもよりますが、バッグ、扇子、お財布、草履、日傘、洋服、ヘア小物、アクセサリー、インテリア用品など、リメイクできるアイテムは実にさまざま。どんな物に生まれ変わらせられるか相談してみてください。

悉皆屋3つの特色

先にも述べたように、着物づくりの各工程を担う職人たちをつなぎ、コーディネートするのが悉皆屋の基本スタイルです。現在では大きく分けて3つのタイプのお店があります。どのタイプのお店を選んでもOKですが、幅広い知識と経験、確かな技術を持つ悉皆屋にお願いすることが大切です。

最もオーソドックス。仲介業者タイプ
相談窓口としてお客様のお悩みや希望をヒアリングし、注文を受け付けた後、丸洗い、染色、リメイクなど、必要な作業別に専門業者へお直しを委託します。このタイプで1番多いのが、呉服店が兼業するケースです。着物購入後のアフターサービスの一貫として悉皆屋の役割を果たしています。呉服店は職人や問屋とのつながりが強く、着物の知識も豊富なのが良いところ。また、着物以外のアイテムもその場で揃えやすく、全身をコーディネートしやすいというメリットもあります。

相談からメンテナンスまで職人が一貫して行うタイプ
職人が営む悉皆屋もあります。このタイプの強みは、何と言っても職人と顔を合わせて直接相談できるところ。より的確なアドバイスがもらえるほか、レスポンスも早く、安心してお任せできます。洗い張り職人、染色補正技能士、和裁士、染め屋、紋商店、着付師などさまざまな職人が在籍するお店なら、幅広いお直しを具体的に相談でき大変便利です。

忙しい方にぴったりなネット店舗タイプ
店舗を持たずインターネット上で営業している悉皆屋も増えてきています。「見たこともないお店に大切な着物を預けるのは不安…」という方もいるかもしれませんが、全国の呉服店から依頼を請け負っているような実績豊富なお店もあります。ネット店舗はホームページが充実していることが多いので、事前に各社の強みや料金、万が一の時の補償についてチェックし、信頼の置けるお店を見極めることが重要です。気になることがあれば電話やメールで問い合わせてみましょう。24時間好きな時に申し込める、仕上がった着物を自宅まで郵送してもらえるのも、忙しい方にとっては嬉しいポイント。

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悉皆屋を利用する時のポイント

初めて悉皆屋を利用する場合、「いきなりお店へ行っても良いの?」「まずは電話で問い合わせたほうが良いの?」と、少しドキドキするかもしれません。お店によって異なりますが、事前に電話などで予約してから行ったほうが、他のお客さんとバッティングすることなくじっくり相談に乗ってもらいやすいかと思います。また、とりあえず相談だけという場合でも、着物を持参するのがおすすめ。やはり実物があったほうが悉皆屋も状態が把握しやすく、的確なアドバイスや見積もりが提示できるからです。その他にも、納得いく取り引きを成立させるためのポイントがいくつかあるので、事前にチェックしておきましょう。

「どこの」「何を」「どうしたいのか」をはっきり伝える
悉皆屋に相談する上でまず1番大切なのは、自分が必要としているお直しについてはっきり伝えること。例えば「カビで変色したところを直したい」「このシミを取りたい」「ここの丈を伸ばしたい」といった具合です。そうすれば後は悉皆屋が希望を叶えるにはどうすれば良いか考え、最善のお直し方法を提案してくれます。あいまいな言い方をすると、「自分が思っていた仕上がりと違う」「予算をオーバーする大がかりなお直しになってしまった…」など苦い思いをすることもありえます。細かな希望も遠慮なく伝えましょう。

シミの場合は詳細を伝えておくとお直しがスムーズ
時間が経てば経つほど落としにくくなるシミ。汚してしまったら早急にメンテナンスするようにしましょう。また、シミは種類によって落とし方のアプローチが変わってきます。より早く、きれいにお直しするためにも、何のシミなのかをきちんと伝えておくことが大事。汚してから何十年も経過していたり、シミの種類が分からない場合は、原因や対策を探りながらの作業になるので、時間も費用もかさみがちです。

あらかじめ見積もりを取っておくこと
メンテナンスの箇所が多かったり、何人もの職人の手を介するようなお直しだと、最初の段階で最終金額を出すのが難しいこともあります。しかし後になって想像以上の高額請求に悩む事態は避けたいので、きちんと見積もりは取るようにしましょう。予算の範囲内で最善のお直し方法を提案するのも、悉皆屋の腕の見せどころです。

まとめ

いかがでしたか。今回は知っているようで知らない悉皆屋のお仕事について解説しました。着物の丸洗いやシミ抜きをしてくれるクリーニング店だと思っていた方も多いかもしれませんが、悉皆屋の役割はそれだけではありません。着物に関わる全ての人をサポートする、とても重要な存在であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。ぜひこの機会に、大切な着物を安心して託せる悉皆屋を見つけてみてください。

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