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2023.11.09
コラム

サステナブルなママ振の魅力

成人式の振袖といえばこれまでレンタルか購入が一般的でしたが、近年ではママ振を選択する方も増えてきています。なぜ今ママ振が人気なのか。そもそもママ振とは一体どんなものなのか。垢ぬけて見せる小物あわせのポイントや注意点なども詳しくご紹介します。

【目次】
1 ママ振が選ばれる6つの理由
2 ママ振を今風に見せる小物づかいのポイント
3 ママ振を着直す時の注意点
4 まとめ

ママ振が選ばれる6つの理由

ママ振とは名前の通り、お母様が成人式で着た振袖のこと。このママ振を現代的な感性でコーディネートし直し、自身の成人式で着てみたいと考えるお嬢様が増えています。大量生産・大量消費が当たり前だった時代から、サステナブル社会へ移り変わりつつある今、ハタチを迎えるお嬢様の中にも「良い品を大切に長く使いたい」と考える方が増えてきているからかもしれませんね。まずはママ振ならではの魅力を1つ1つ見ていきましょう。

ママ振は唯一無二の装いが楽しめる

振袖は色や柄が豊富な分、洋服よりも人とかぶることは少ないですが、人気の傾向というものはあるので、ご友人と似たようなコーディネートになってしまうことはありえます。その点ママ振なら、現代の振袖とデザインがかぶる心配はほぼありません。気品とオリジナリティを兼ね揃えた印象的なコーディネートが叶います。

ママ振のほうが品質が良いことも

お母様が成人式を迎えた頃はちょうどバブル期。日本が経済的に最も豊かだった時代です。そのため振袖も贅を凝らした逸品が多い傾向にあります。職人が1枚1枚手作業で仕上げた手描き友禅や総絞りなどは、現代のインクジェット式プリンタで作られた新品の振袖より価値が高いことも。良い振袖というのはどれだけ時間が経っても価値が落ちないものです。ご自宅でただ眠らせておくにはもったいないので、一度タンスから出してみることをおすすめします。

ママ振は世代を超えて振袖の思い出がシェアできる

振袖にまつわる思い出をご家族とシェアできるのもママ振ならではの魅力です。特に自身の成人式で身にまとったお母様、その振袖を購入したであろう祖父母様にとっては、ことさら大きな喜びとなるはず。ママ振をきっかけに、「アルバムを開いて昔話に花を咲かせることができた」なんてお話もよく耳にします。本来、着物は大切に保管しておけば世代を超えて受け継いでいけるもの。そういった着物が持つ価値というものを改めて感じられる良い機会にもなるのではないでしょうか。

ママ振は少しでもお支度の費用を抑えたい方におすすめ

費用に関して堅実な考えを持つ方にもママ振はおすすめ。振袖も小物類も一式活用するのであれば、本来かかるはずだった衣装関連のレンタル・購入費用は丸ごと節約でき、あとは着付け代とヘアメイク代を用意するだけで済みます。ただし振袖の状態によってはシミ抜きや寸法直しが必要なケースもあるので、ある程度のメンテナンス代は計算に入れておきましょう。

ママ振で振袖選びが効率的に

成人式のお支度でやはり一番力が入るのが振袖選びです。楽しい時間ではありますが、近年は高校3年生のうちからお支度をスタートするのが主流となってきており、ちょうど受験勉強や就職活動で忙しい時期と重なってしまいます。ママ振を活用できるのであれば、あとは帯や小物類を選ぶだけでOK。忙しい方には時短でスマートにお支度する事ができます。 

ママ振は成人式後も好きな時に何度でも着られる

成人式の後も各種イベントで「振袖が着たい!」という方にもママ振はぴったり。友人・親戚の結婚式、かしこまったパーティや謝恩会に参列する時や、お嬢様ご自身の結納や披露宴のお色直しなど、振袖が着られるシーンは案外たくさんあります。もちろんそのたびに振袖をレンタルするのも色々なデザインが選べて楽しいですが、費用のことを考えるとやはりなかなか手が出しづらいもの。ママ振であれば費用を抑えつつ、小物類だけレンタルしてさまざまなコーディネートを楽しむこともできます。

ママ振を今風に見せる小物づかいのポイント

魅力がいっぱいのママ振。状態さえよければ振袖から小物類まで一式再度活用しても問題はありません。しかし、すべてそのままの状態で着直すと、なんとなく古臭く見えてしまうこともあります。振袖は古典柄に代表されるように、いつの時代も変わらぬ美しさがある一方、ゆっくりとトレンドは移り変わっています。今であればくすみカラーや、柄数を抑えたシンプルコーデ、あえて振袖も帯も同系色でまとめたワントーンコーデなどが流行中。旬のテイストを要所ごとに取り入れることで、同じ振袖でもグッと垢ぬけた印象になるので、小物だけは現代のものに変えるのがポイントです。


振袖に次いで占める割合が大きいのが帯です。特に後ろ姿においては帯こそが“顔”だと言っても良いほど。そのため帯を現代のものに変更するだけで、ガラッと雰囲気が変えられます。逆に振袖と帯がそのままだと、ほかの小物をいくら変えたところで印象はあまり変わりません。流行のワントーンコーデにチャレンジする場合は、振袖と帯の色の濃淡にこだわってメリハリをつけると上手くまとまります。ちょっぴり個性的にまとめたい場合は、振袖の反対色の帯を選ぶと◎。黄色×紫、赤×緑、黒×白といった具合です。また、現代の帯は昔よりも長く、帯芯もしなやかになっています。お母様の時代はふくら雀という結び方が主流だったのに対し、今はさまざまなアレンジ結びが登場していて、なりたいイメージに合わせたセレクトが可能に。おしゃれな帯結びを楽しむためにも、ぜひ帯を新調することをおすすめします。

帯締め
帯締めは、ちょうど帯の中央を横切るため大変目立ち、コーディネートのアクセントにもなります。通常は長さ150cmほどのものを選びますが、成人式の振袖に合わせる時には170cm~190cmの長尺タイプがベスト。蝶々結びやクローバー結びなど、アレンジ結びがしやすく華やかさを出せるためです。また、近年は初めから飾りがついたデザイン性の高い帯締めも人気。パールやビーズ、つまみ細工など、さまざまなタイプが揃っています。

帯揚げ
帯締めと同じく、帯を支えるために使用。帯の上部からチラッと見え、全体を引き締めるアクセントにもなります。特に振袖の際は、帯揚げが思い切り見えるように着付けることが多いので、しっかりこだわって選びたいところ。繊細な刺繍が施されたものや、流行のくすみカラーを取り入れたものが人気です。

半衿
半衿とは長襦袢に縫い付ける衿のこと。汚れが付着するのを防ぐ役割があります。オーソドックスな白色が基本でしたが、現代ではコーディネートのアクセントになるようなカラフルな色柄やエレガントな刺繍入りなど、多彩なデザインが選べるようになっています。

重ね衿
振袖の下に何枚も着物を着ているように見せる、飾り用の衿のこと。重ね衿を加えると一気に豪華な印象となります。ラインストーンやパール、レースの飾りがついたタイプを選んで和洋折衷スタイルを楽しむのも新鮮な感覚。

草履
おしゃれは足元からという言葉もあるように、草履も手が抜けないアイテムです。近年はスタイルアップ効果が期待できる厚底タイプが話題。ヒールの部分に模様が描かれていて、見た目にも華やかさたっぷりです。また、最近の草履は鼻緒が布地になっていて足に負担がかかりにくいタイプも販売されています。草履はサイズが合っていないと靴ずれを起こしやすく、経年劣化も目立ちやすいアイテムなので新調したほうが安心です。

バッグ
和装用のバッグは、よく草履とセットでレンタル・販売されています。どう組み合わせたら良いか分からない方は、セットになったものを選ぶと良いでしょう。別で選ぶ際は、振袖や帯の色に注目して選ぶと失敗しません。例えば「帯がゴールドならバッグも同じ色で揃える」「振袖に施された柄の中で一番メインとなる色と合わせる」といった例が挙げられます。また、古典柄が多いママ振に、現代風の柄のバッグを合わせるとちぐはぐな印象になってしまいます。古典柄には古典柄を合わせて統一感を出すことも大切です。

髪飾り
令和に入った辺りから和風な髪飾りが大人気。髪を束ねる際に水引や組紐を用いる、つまみ細工で飾る、セットの仕上げに金箔や銀箔をあしらうなど、さまざまなテクニックがあります。日本伝統の古典柄が一般的なママ振との相性もばっちりです。その他だと、造花の代わりにドライフラワーを使うのもトレンド。独特のやわらかなスモーキーカラーが、くすみカラーの振袖とマッチします。

ママ振を着直す時の注意点

成人式でママ振を着てみたいと思ったら、早めにタンスから出して状態を確認してみましょう。なぜなら長くしまいっぱなしにしていた着物には、何かしらの問題が発生しているケースが多いからです。ぱっと見きれいでも必ず一度はお直しに出すようにしてください。万が一コンディションが悪ければ、レンタルや購入を検討しなければなりません。ここからはよくある問題点についてまとめていきます。

サイズが合わない
お母様とお嬢様の体格に差がある場合、寸法直しが必要なことがあります。大切な箇所は、身丈(背の高さ)、肩裄(肩から袖の長さ)、身幅(胴の太さ)の主に3つ。着付けでもある程度ならサイズ調整できますが、あまりに差が大きいと着姿が美しくない、着崩れを起こしやすいなどのトラブルが発生しやすくなります。自宅で試着してみてもサイズ感が分からなければ、お近くの呉服店に持ち込んで見てもらうと安心です。

シミやカビ、虫食いがある
時間と共にシミが浮かび上がってきた、カビが広がっていた、ところどころに綻びができていた…というのもよくあるケースです。一見問題ないように見えても、裏側など見えにくい部分にシミやカビが広がっていることもあります。そのまま着ると古着特有の臭いが気になるので、クリーニングに出すようにしましょう。

アイテムが足りない
帯やその他の小物類もお母様のものを使うなら、足りないものがないか早めに確認を。振袖と同様に、生地が痛んでいないかも細かくチェックしましょう。もしダメージが酷くて使えないものがあったり、紛失しているものがあれば、イチから手配しなければなりません。着付けに必要な腰紐や伊達締め、衿芯、帯枕などの準備もお忘れなく。

==振袖の着付けに必要なアイテム一覧==
振袖、袋帯、帯締め、帯揚げ、半衿、重ね衿、草履、足袋、バッグ、髪飾り、ショール、長襦袢、肌襦袢、衿芯、腰紐、伊達締め、帯枕、コーリンベルト、前板、後板、三十紐、裾よけ、補正用品、和装用下着 

まとめ

いかがでしたか。今回は近年シェアを伸ばしているママ振について解説しました。成人式は一生に一度。だからこそ特別な振袖で臨みたいと考える方も多いかと思います。ママ振はご家族の思い出が詰まっているという点で、すでに他に代えがきかない貴重なものです。ぜひお嬢様のお好みに合わせてコーディネートし直して、もう一度振袖に命を吹き込んでみてください。きっと新しい魅力が花開き、ハタチの記念がより印象深いものになるはずです。