今年も卒業シーズンが迫ってきました。みなさんどんな服装で参列するかもうお決まりでしょうか。スーツやワンピースなどさまざまな選択肢がある中で、特に人気なのはやっぱり卒業袴。今回は袴の基本をおさらいするとともに、2024年のトレンドについてもご紹介します。卒業袴を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
卒業袴とは
卒業袴とは名前の通り、高校や専門学校、短大、大学などを卒業する際に、女学生が着用するものです。近年では小学生でも卒業の記念に、袴で前撮りをする子も増えてきています。この章では卒業袴の成り立ち、コーディネートの仕方などを解説していきます。
卒業式に袴を着用する理由
袴の歴史はとても古く、その起源は平安時代にまでさかのぼります。この頃の宮廷の女性たちは十二単の1つとして袴を身に着けており、これが現在の袴の原型であると伝えられています。明治時代の中頃に差し掛かると、学習院女子の前身校において袴が制服として採用され、注目を集めることに。着物に帯を締めたスタイルよりも動きやすい上、礼儀正しく美しいということで、女性の学生服の理想形とされました。現在、学校の制服として袴が用いられることはなくなりましたが、「女性が学ぶ象徴」として卒業式で着用される文化が残されています。
卒業袴に必要な着物は何?
卒業袴は下半身に袴、上半身に振袖というように2つの着物を組み合わせることでコーディネートが完成します。振袖には袖丈が60~85cm程度の小振袖、100cm前後の中振袖、104~120cmの大振袖の3種類がありますが、袴に合わせて良いのは小振袖と中振袖のみ。大振袖は婚礼衣装や舞妓さんの衣装として用いられるのが一般的です。ちなみに成人式で着用する振袖はちょうど中間の中振袖に当たるため、卒業式でもまとうことを見据えて1着あしらえるのもおすすめです。小振袖よりも袖丈が長い分、豪華な雰囲気を演出することができます。一方、小振袖は袖が短く動きやすいのがメリット。学生らしい可愛らしさもあって人気です。卒業袴セットとしてよくレンタルされている振袖は、だいたい小振袖になります。
卒業袴のコーディネートについて
卒業式は人生の節目である厳かな式典です。そのため礼装で参列するという意識があります。スーツやワンピースならブラックフォーマルが基本であるように、袴もどちらかといえば落ち着いた色柄のものが好まれる傾向に。成人式で仕立てた華やかな中振袖を合わせる場合は、袴にシックな色調を選ぶと卒業式らしい雰囲気が引き立ちます。
卒業袴2024年のトレンドをご紹介
洋服と同じく着物にもトレンドがあります。卒業袴の場合、振袖で流行しているデザインと重なることが多いため、その年の成人式の様子をチェックしてみると分かりやすいでしょう。ここからは今年度のトレンドについて詳しく解説していきます。
■色はくすみカラーが大人気
ここ数年、シンプルで落ち着いた雰囲気の洋服が流行している影響で、振袖や卒業袴もくすみカラーを選ぶ方が急増しています。くすみカラーとは、グレーが交じったようなワントーン暗めの淡い色のこと。ビビットカラーよりも控えめで、パステルカラーよりも大人っぽく見え、日本人の肌に馴染みやすいのが特長です。「やわらかなイメージで可憐に装いたい」「より洗練された雰囲気で品よくコーディネートしたい」という方はぜひチェックしてみてください。数あるくすみカラーの中でも、ベージュ、ピンク、パープル、グレー、グリーンがとりわけ人気です。
■ワントーンコーデも近年のトレンド
トーンとは色調のこと。つまり色の「濃い・薄い」「明るい・暗い」といった特徴を揃えたコーディネートのことをワントーンコーデといいます。同じような色味であれば色の種類に縛りはありません。淡く優しげなペールトーン、エネルギッシュなビビッドトーン、明るいイメージのライトトーン、大人っぽいダークトーンなど、さまざまなタイプがあります。どのパターンもトーンさえ合っていれば、違うカラー同士でもまとまり感が出るのがポイント。モダンな雰囲気でコーディネートしたい方におすすめです。
■同系色コーデも話題
ワントーンコーデと同じく、ここ何年か流行し続けているのが袴と振袖を同じような色で揃える同系色コーデです。これまでは上半身が赤色なら下半身は紺色といったように、異なる色でメリハリをつけるのが一般的でした。しかしシンプル志向が強い現代では、色を揃えてコーディネートするのもアリです。同系色コーデを成功させるポイントは主に2つ。1つめは小物に差し色をもってくること。いくら同系色コーデが流行っているからといっても、すべてを同じ色にしてしまうと全体の印象がぼやけてしまうためです。重ね衿や半幅帯に少し違う色を選んでチラリと見せることで、コーディネートを引き締めることができます。2つめは、色の濃淡でアクセントをつけること。白に近い淡いピンクの振袖に、やや濃いめのピンクの袴を合わせるといった例が挙げられます。どちらの方法もメリハリのつけ方がさり気なく、洗練された印象になるのが良い点です。同系色コーデは色の組み合わせが少ないため、初心者でも簡単にトレンドを取り入れやすいというメリットもあります。
■個性的なスタイルがお好みならバイカラーや蛍光カラーも◎
バイカラーコーデは、色数を2色程度に絞ったコーディネートを指します。最も簡単なのは袴と振袖に別々のカラーをもってくる方法。従来の袴スタイルに近いですが、現代的に見せるには柄の数を極力おさえることが大切です。シンプルに見せることでより2つの色が際立ちます。中には色があるのは振袖の柄だけで、振袖の地色と袴はホワイトでまとめるといったような大胆な色使いのコーディネートもあります。「きれいめも良いけれど派手な雰囲気も好き」という方には、アクセントに蛍光カラーを用いたものもおすすめ。ブラックの地色に蛍光イエローの柄をポイント使いしたものなどがこれに当たります。あくまでも「少しだけ」というのがポイント。ほかと差がつくユニークな装いながらも、やりすぎな感じにしないのがセンス良く見せる秘訣です。
■柄はレトロモダンが今どき
昔からあるデザインに、現代的な感性でアレンジを加えたものをレトロモダンと呼びます。例えば、伝統的な矢羽根柄や七宝柄もトレンドカラーで描かれているだけでとても新鮮な印象に。その他だとアンティーク調の洋花柄も大人気。和と洋を組み合わせることで独特の存在感が生まれ、なおかつ洋花特有のエレガントな雰囲気も相まって印象的なコーディネートが叶います。また、レトロモダンとひと言でいっても、柄の描かれ方や色合い、合わせる小物によってイメージはさまざまです。正統派の雰囲気を色濃く残したもの、カラフルな色でポップにまとめたもの、リボンなどの女の子らしいアイテムを加えたガーリースタイルなど、多彩なコーディネートが可能なのでお好みのスタイルを探してみてください。
卒業袴に合わせたいトレンド小物
袴と振袖の組み合わせが決まったら次は小物えらびです。実は小物類にもトレンドがあります。細かな部分までしっかりこだわって、自分らしい最旬スタイルを追求してみましょう。
■リボン付き半衿
ガーリーテイストが好きなお嬢様にはリボン付き半衿がぴったり。半衿の先が2つに分かれていて、胸元でリボン結びにすることができます。その他、半衿に細めのリボンを縫いつけたものなどもありタイプはいろいろ。リボンが太めだとより可愛らしく、細めだとクラシカルな雰囲気になります。洋花柄のアンティークな卒業袴と特に相性◎です。
■レースが施された重ね衿
こちらもガーリーな雰囲気を盛り上げてくれるアイテム。衿元から繊細なレースがチラリとのぞき、この上なくエレガントな雰囲気になります。
■柄が入った半衿
半衿といえば無地の白もしくは刺繍が施されたものが一般的ですが、柄入りタイプもおしゃれでおすすめ。流行のくすみカラーに対比するような色の濃い柄や、同系色のシンプルコーデのアクセントになるようなカラフルな柄など、多彩なデザインが登場しています。半衿は面積でいえば決して大きくはありませんが、お顔に近い部分になるため思いのほか目を引きます。ぜひこだわって選んでみてください。
■きらめきがアクセントになる金襴(きんらん)帯
袴の上からチラッと見える半幅帯でおすすめなのが、金糸や銀糸を用いた金襴帯。派手な印象にならないか心配な方もいるかもしれませんが、たった数センチしか見えないため、ゴージャスなデザインでも奇抜になりません。むしろトレンドのくすみカラーやワントーンコーデを引き締めるアクセントとして活躍します。縁起の良い七宝柄、洋花柄、幾何学模様などデザインも豊富です。
■ファーの帯飾り
最近はファーをあしらった帯飾りも人気が高まっています。ふわふわとしていて温かみがあり、コーディネートに優しい雰囲気を添えてくれます。ベージュやホワイトならくすみカラーとも相性ばっちりです。くすみカラーの振袖にコントラストの強い袴を合わせる場合、ファーの帯飾りを間に置くと互いの色を調和させやすくなります。
■水引や組紐の髪飾り
ここ数年で一気にトレンドアイテムになったのがこちら。水引はご祝儀袋や贈り物を包む際の飾り紐、組紐は着物の帯締めとして古くから日本で愛されてきました。髪飾りとしての使い方は、曲げたりひねったりしてコサージュのようにサイドにあしらう、髪を束ねる時にゴムの代わりに使う、毛束に巻きつけるなどの例が挙げられます。今どきな雰囲気を演出しながら、日本の伝統美をも感じさせる注目のスタイルです。仕上げに金箔や銀箔をあしらうと、いっそう和の趣が引き立つとともに、華やかさもアップします。
■リボンの髪飾り
レトロモダンな卒業袴には、リボンの髪飾りもよく似合います。大正ロマン薫る大和撫子スタイルがお好みなら、大ぶりなリボンがおすすめ。今どきのガーリースタイルを目指すなら、細めのリボンでシンプルに結ぶのも良いでしょう。黒色や紺色のベルベッド生地のリボンであれば、可愛らしさの中にも大人っぽさを演出することができます。
■白色やベージュのブーツ
和洋折衷のレトロモダンコーデの定番であるブーツ。今までは黒色かダークブラウンが基本でしたが、近年は白色やベージュを選ぶ方が急増しています。流行のくすみカラーとマッチするのがその理由です。レースなどを使った可憐なコーディネートにもよく馴染みます。
まとめ
いかがでしたか。今回は卒業袴の成り立ちやコーディネート方法、トレンドの傾向についてまとめました。卒業式はこれまでの頑張りを称え、新たな旅立ちをお祝いする大切な行事です。精一杯のおしゃれをして、ご友人や恩師の方々と思い出に残るひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。山正山﨑でもさまざまな種類の卒業袴をご用意しています。興味がある方はぜひ一度お気軽にお問い合わせください。