志村ふくみ生誕100周年 記念展
志村ふくみは、草木染による紬織を芸術の域までに高めた染織作家であり、重要無形文化財保持者です。裏山文庫では、志村ふくみ生誕100周年を記念して、志村ふくみと娘の洋子の作品を展示いたします。
特別展示として、『別冊 太陽 日本のこころ 316 100歳記念 志村ふくみ(2024年5月19日発行)』にも掲載された帯地「あやとり(2023年 紬織 蘇芳・藍・金糸)」を展示いたします。後日この「あやとり」を分割し、出帛紗(だしふくさ)に加工してお楽しみいただきたいと思います。
なぜ作品として完成した帯を切ってしまうのか? 日本には、古来、巻物や冊子を切り離し、軸や帖(じょう)などに仕立て、身近に置いて鑑賞する文化がありました。現代では、文化財保護の観点から極力手を入れず、もとあった状態で保存しようという考え方が主流となっています。しかし、古の時代のように身近に置き、日々愛用されてこそ本来の魅力を感じることができると裏山文庫は考えます。
今回出帛紗に加工する「あやとり」は、横糸としてさまざまな裂(きれ)を織り込む“裂き織り”という技法で織られた帯です。織り込まれた裂は、志村ふくみがこれまで大切に保管してきたご自身の作品の端切れです。著書『小裂帳(筑摩書房)』の中で、志村ふくみは「裂とは心の断片、どんな小さな裂にも心が宿っています。物語をもっています」と語っています。創作に当たり、志村ふくみが心打たれた生命の輝き、その時々の思いが込められ、織り上げられた一枚です。しっとりとした赤が美しい帯は、横糸として異なる裂を利用しているため、部分により全く異なる表情を見せています。まずは、切断する前の帯を皆さんにご披露し、記憶にとどめていただきたいと思います。分割した時にその部位によりどんな表情を見せてくれるのか、楽しみにご覧ください。
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志村 昌司トークライブ
2024年アトリエシムラの源流である志村ふくみは満100歳を迎えます。それを記念して平凡社より別冊太陽「志村ふくみ100歳記念 色なき色にすべての色がある」が刊行されました。刊行を機に志村ふくみ、そしてアトリエシムラの思想や手仕事について代表の志村昌司氏がお話しいたします。
◇2024年5月11日(土)11:00~12:00
◇先着20名様
◇参加費無料
※11日(土)はトークライブの為、通常展示は13時からオープンとなります。
志村 昌司(しむら しょうじ)
京都市生まれ。紬織の人間国宝・志村ふくみの芸術精神を継承する、染織ブランド・アトリエシムラ代表。芸術学校アルスシムラ特別講師。 京都大学法学研究科博士課程修了。 2018年、2021年の二度にわたって新作能「沖宮」(石牟礼道子原作)プロデュース。 2022年、オリジナル手織機hatariでグッドデザイン賞受賞。 著書に『草木の聲』(京都新聞出版センター)、『夢もまた青し』(河出書房新社)など。
帯屋捨松
手織り帯を中心に創作活動を続ける帯屋捨松は京都西陣で150年を超える歴史を持つ織の老舗です。鮮やかな色合いや大胆な柄の帯はまさに芸術品。色の深みを出すために何色もの糸を紡ぎ合わせたり手にしたときの風合いや締めやすさを追及したり、織の技術は捨松ならではです。美しさだけでない着け心地を追求した捨松の帯を手に取ってお楽しみください。期間中、帯屋捨松8代目木村智也氏来場いたします。ご本人からしか聞けないモノづくりのあれこれを直接お話しいただける貴重な機会です。
創業300年 矢代仁展
享保5年創業以来300年。常に時代の流れを敏感に感じ取り、織・染・繍のトップメーカーとして研鑽を続けています。今回も洗練された西陣御召の新世界をご覧いただけます。御召は「糸が命」。蚕の繭から作られる生糸を精練することで艶や光沢、柔らかな風合いが生まれます。強く撚られた緯糸を使い織り上げられた後で撚りを戻すことで御召独特のシボが生まれます。御召は織の着物の中で最も高級とされ一番格上とされます。本物の御召をお楽しみください。
山葡萄籠工房
長野県大町市の山葡萄籠工房は山葡萄籠を専門に取り扱っています。使い込むほどに味が出て、自分だけのものになっていく山葡萄籠は古くからの歴史を持つたいへん趣のある逸品です。アフターメンテナンスも承っておりますので山葡萄籠のお困りごと、お悩みごとは何でもお気軽にご相談ください。
きものクリニック
一年に一度だけの大人気イベント「きものクリニック」も同時開催です。きもの丸洗いが通常価格の50%OFFです。他店でお買い求めの着物でも、譲り受けた着物でもなんでもOKです。ご相談、お見積りは職人がその場で無料承りしますのでこの機会に大切な着物をお持ちください。