成人式へ向けて振袖を検討しているみなさん、コーディネートはもうお決まりですか。普段着ている洋服とは勝手が違うため、どう選んで良いのか、どうコーディネートすれば良いのかお悩みの方も多いかと思います。そこで今回は、振袖のおおまかな種類やトレンド、帯や小物の上手な組み合わせ方などをピックアップ。理想のコーディネートについて考えるきっかけにしてみてください。
【目次】
1 振袖の種類と昨今のトレンド
2 帯や小物類のコーディネート術
3 山正山﨑いちおし振袖トレンドコーディネート
4 まとめ
振袖の種類と昨今のトレンド
振袖といえば絢爛豪華なイメージが強いかもしれませんが、近年はバリエーションが増えてきて、自由にさまざまな着こなしが楽しめるようになっています。まずはどんな種類の振袖があるのか見てみましょう。
■古典柄
日本に昔からある色柄の振袖を古典と呼びます。松竹梅や桜、牡丹、菊、鶴、花車、蝶など縁起の良い吉祥文様や有職文様が描かれており、晴れの日のお祝いにぴったり。時代に左右されない普遍的な美しさが古典柄にはあります。ご両親や祖父母様世代からのウケも良く、選んでまず間違いはありません。振袖購入派の方たちは、あらゆるシーンで長く振袖を着ることを想定して、古典柄を選ぶ傾向にあります。
■新古典柄
古典柄に今どきなテイストを加えた色柄のこと。伝統的な吉祥文様を現代的な色彩で表現したもの、裾にかけて地色がグラデーションになっているものなどが該当します。古典柄と新古典柄の境界はあいまいで、はっきりと区別するのは難しいかもしれません。ただどちらかというと可愛らしくて親しみやすいデザインが多く、振袖を初めて着るお嬢様も手に取りやすいかと思います。レースやリボンをあしらった半衿など、今どきなアイテムも合わせやすいのが◎。
■レトロモダン柄
ここ数年、人気が高まっているのがレトロモダンな振袖です。レトロとは古い振袖のことではなく、懐古的(=どこか懐かしさを感じさせる)という意味。そこにモダン(=現代的)な感性をかけ合わせることで、「懐かしいけれどどこか新鮮」な振袖が数多く生み出されています。具体的には、明治・大正・昭和の頃に海外の文化の影響を受けて誕生した色柄が主流。洋花やストライプ、チェック、水玉模様など、ちょっぴり個性的なデザインが多く、周囲と差がつくようなコーディネートが楽しめます。
2024年振袖トレンド予想
洋服のように毎年流行が変わったりはしないものの、振袖にもその時代に合ったデザインや着こなしというものがあります。令和に入った頃から振袖は「くすみカラー」「シンプルコーデ」「レトロモダン・アンティーク」なデザインに人気が集中。ここからは2024年の振袖のトレンドを予想していきます。
■すみカラー
くすみカラーはパステルカラーに少しだけグレーを混ぜたような色合いが印象的。洋服やインテリアにも多く採用されているカラーで、着物の世界でも人気を博しています。魅力はなんといっても、女性らしいやわらかさと大人っぽさを同時に演出できるところ。ほど良い抜け感もあってハイセンスなイメージです。また、日本人の肌と調和しやすい色でもあり、無理なく等身大なおしゃれが楽しみやすいともいえます。「派手な色だと着こなしが難しい」「お顔が振袖の存在感に負けてしまいそう…」と心配なお嬢様もくすみカラーなら安心です。
■シンプルコーデ
ここ数年、ナチュラル志向が強まっている影響からか振袖も落ち着いたシンプルコーデが流行しています。コーディネートの主なパターンは「同系色コーデ」と「ワントーンコーデ」の2つ。まず「同系色コーデ」は、振袖と帯の色を同じようなカラーで統一したものです。従来は振袖が赤なら、帯は金や緑など異なる色をもってくるのが基本でしたが、あえて色を揃えることでぐっと上品かつ個性的な雰囲気になります。2つめの「ワントーンコーデ」は、トーン(色調)を合わせたコーディネートのこと。淡い色×淡い色、ダークカラー×ダークカラー、ビビッドカラー×ビビッドカラーなど、明度や彩度が合っていれば色の組み合わせはなんでもOK。トーンを揃えることで全体に統一感が生まれ、洗練された着こなしが叶います。その他、柄数を極力抑えたものや無地など、振袖のデザイン自体がシンプルなものも大変人気です。お母様やおばあ様からすると少し地味に感じるかもしれませんが、美意識は時代とともに変わるもの。親子で振袖選びをする際は、お嬢様の意見を大切に令和ならではのコーディネートを楽しむことをおすすめします。
■レトロモダンやアンティーク
先にも述べたように、レトロモダンまたはアンティークな雰囲気の振袖も現代のトレンドです。特に大柄な洋花を大胆にあしらったデザインに注目が集まっています。大人の女性らしいエレガントさと、成人式らしい華やかさが一度に演出できて素敵です。
帯や小物類のコーディネート術
振袖が決まったら次は帯や小物類です。どんなアイテムを合わせるかで同じ振袖でもイメージはがらりと変わります。「可愛らしくまとめたい」「スタイリッシュに装いたい」「トレンド感にこだわりたい」など、まずは大切にしたいポイントを明確にしましょう。イメージが固まったら帯や小物を選んでいくわけですが、ここでも上手くコーディネートするためのコツがいくつかあります。基本をしっかり押さえて理想の振袖スタイルを叶えましょう。
帯の合わせ方は主に4つ
帯は面積が大きい分、全体のイメージを決定づけるとても重要なアイテムです。下記を参考に帯もこだわって選びましょう。
1.振袖と同系色の帯にする
近ごろ増えてきているのが、振袖と帯を同系色で揃えるコーディネートです。全体的にすっきりとまとまり、調和のとれたコーディネートになります。帯の存在感が控えめなため、振袖の柄がひときわ引き立つというメリットも。さりげなくインパクトを残したいというお嬢様にもおすすめです。こちらのコーディネートで一つ注意したいのが、振袖も帯も小物もすべて同じカラーにしてしまうと、メリハリがなく印象が薄くなってしまうことです。同系色コーデをする際は、色の濃淡でニュアンスをつけることが大切です。振袖がくすみピンクなら帯はやや濃いピンクにする、もしくは帯締めや半衿に少し違う系統の差し色を入れるなど、どこかにアクセントをつけると引き締まって見えます。
2.振袖の柄に使われているカラーの帯にする
こちらも間違いがないテクニックの1つです。振袖の地色ではなく、柄に多く使われている色を帯に取り入れることで自然と統一感が生まれます。色のトーンまでぴったり揃えるとより調和するのに加えて、柄が3Dのように浮き上がって立体感のあるコーディネートにもなります。このテクニックは帯だけでなく、帯揚げや半衿、髪飾りを選ぶ時にも使えて大変便利です。
3.振袖の補色の帯にする
補色とは、色相環で反対に位置する色のこと。赤×緑、黄色×紫、オレンジ×水色などの例が挙げられます。補色を組み合わせることで互いの色が引き立ちあい、強いインパクトが生まれるため、個性的な着こなしを楽しみたいお嬢様にぴったりです。補色を取り入れる場合は、色の強さを合わせるようにするとセンス良くまとまります。
4.迷ったら金色の帯にするのも◎
成人式の振袖に合わせる帯の定番といえばやっぱり金色。一生に一度にふさわしいお祝いムードたっぷりの絢爛豪華なイメージになります。また、振袖にはだいたい金糸が多用されているため、帯に金色を持ってくると統一感も出すことができます。その他、銀色や黒色の帯も王道で、あらゆる振袖と調和させやすいので迷ったら試してみてください。
小物の合わせ方について
帯に比べると面積は小さいですが、帯締めや半衿などの小物類も雰囲気を左右するアイテムです。こちらも厳選してコーディネートを完璧に仕上げましょう。
■帯締め、帯揚げ
どちらも帯の形を美しく保つために用いられます。帯締めは帯のちょうど中央を、帯揚げは帯の上部を横切るため、装飾としても非常に目立ちます。こちらもさまざまな色がありますが、アクセントカラーになるようなものを選ぶとコーディネートが引き締まって素敵です。振袖の補色か柄に使われている色を取り入れるとまとまった雰囲気にもなります。結び方もいろいろあるので、呉服店スタッフや着付け師に相談してみてください。
■半衿、重ね衿
振袖の衿元からチラリと見えるのが半衿や重ね衿です。半衿は衿まわりに汚れがつくのを防ぐためのもので長襦袢に縫いつけます。重ね衿は着物を何枚も重ね着しているように見せるためのもので、華やかさをアップさせてくれます。どちらもお顔に近いアイテムなため、見える面積は小さくても与える影響は大。お嬢様のパーソナルカラーに合ったものを選ぶとお顔映りがよくなります。差し色になるようなカラーを選ぶのもおすすめです。バストアップの記念写真は衿まわりのコーディネートで印象がかなり変わるため、ご自身に似合うものをしっかり選んでください。
山正山﨑いちおし振袖トレンドコーディネート
ここからは山正山﨑が提案する振袖コーディネートの一例をご紹介します。着こなしの参考にしてみてください。
▲くすみがかったオフホワイトや色味を押さえた花柄が今どきな印象。深紅の帯揚げがドラマチックな雰囲気で、全体を引き締めるアクセントにもなっています。
▲大人の女性ならではの優雅さと落ち着きを感じさせる1着。白×紫を基調に花々が映えます。ところどころに配された絞りも贅沢なイメージ。
▲凛とした美しさを感じさせるシンプルな濃地の振袖。写実的に描かれた大輪の花がくっきりと浮かび上がり目を惹きつけます。白の帯と半衿も鮮烈な印象です。
▲モノトーン調の色使いがこの上なくスタイリッシュ。カラフルな振袖が多い中でひときわ目立ちます。青色の帯揚げとパープルの重ね衿のアクセントの付け方がハイセンス。
▲こっくりと深いグリーンが気品に満ち溢れ、お嬢様を大人のレディに見せてくれます。淡く可憐な花柄と、オレンジの帯揚げが調和して統一感のあるコーディネートに。
▲淡いピンクと水色の組み合わせがとびきりキュート。優しく控えめなカラーがトレンド感たっぷりです。オレンジの花柄を散りばめた半衿で、ハタチの女の子らしい若々しさも表現しています。
▲深緑にアンティークカラーの花柄をあしらったシックな振袖。そこに水玉模様の赤い帯揚げを合わせることで、大人可愛いコーディネートに仕上げました。
▲松竹梅の古典柄と令和のトレンドカラーが絶妙にマッチ。今どきな雰囲気の中にもしっかりと伝統美が感じられる、成人式にも新鮮なデザインです。
▲落ち着いたダークパープルが気高い印象。肩から裾にかけて柄がふんだんにあしらわれているため華やかさも充分です。ピンクの梅柄の半衿で可愛らしさも添えて。
▲季節の花々が咲き誇り、豪華絢爛なイメージ。地色は紅白になっていてお祝いムードに満ち溢れています。柄と調和するようなゴールドの帯と帯揚げが、華やかかつ洗練された雰囲気を引き立ててくれます。
まとめ
いかがでしたか。今回は振袖をコーディネートする時のポイントをくわしくご紹介しました。振袖は日本の伝統衣装であるとともに、その時代の美意識を写す鏡のようなものでもあります。まずはあまり難しく考えずに、お嬢様が素直に「良い! 」と感じるコーディネートを追求してみましょう。成人式にふさわしい品の保ち方や華やかさの出し方については、ぜひ呉服店スタッフに相談してみてください。