「来年、再来年が成人式。振袖はどうしよう?」
この時期、そんな悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。少し前までは、成人式の振袖といえばレンタルか購入の二択でした。しかし、ここ数年は、お母さまが成人式で着た振袖「ママ振」をチョイスする人が増加傾向にあります。
今回は、ママ振を選ぶ理由から、なぜママ振が人気なのかなどをご紹介。その他、2025年トレンドの振袖をご紹介します。
「ママ振」とは?
「ママ振」とは、お母さまが成人式で着用した振袖のことを言います。お嬢さまは「お母さんの振袖?! デザインが古いのでは?」と不安に思うこともあるのではないかと思います。しかし、そもそも着物は長く着用できるもの。もちろん、お母さまから受け継いだ振袖を着用することもできます。特に最近では、サステナブルな意識も高く、ハタチを迎えるお嬢さまの中にも「良い品を大切に長く使いたい」と考える方も。「ママ振」を現代的なコーディネートにすることで、“今っぽさ”を魅せることができます。それでは「ママ振り」のメリットをご紹介します。
ママ振のメリット
メリット1:振袖を購入したり、レンタルする費用がかからない
帯や草履、バッグなどを含めた振袖のレンタルは5万〜20万程度かかり、購入すると30万以上が目安と言われています。「ママ振」をチョイスすると、その金額が大幅に削減できます。
メリット2:クラシックで可愛い!
ここ数年、レトロ・クラシックがトレンドになっています。ファッションはもちろん、暮らし全体でこのキーワードを取り入れる若者が増えてきました。まさに成人式の振袖でも“レトロ”や“クラシック”という言葉はトレンドにもなっており、「ママ振=レトロ・クラシックな色や柄=おしゃれ」と考えるお嬢さまが増えているようです。振袖は色や柄が豊富な分、洋服よりも人とデザインがかぶることは少ないですが、トレンドの振袖を選ぶと、ご友人と似たようなコーディネートになってしまうことも。その点、「ママ振」であれば、新作の振袖にはないレトロ・クラシック感がプラスされるので、デザインがかぶる心配もなし。オリジナリティあふれる着こなしを演出することができます。
メリット3:成人式以外でも着用できる
「ママ振」は成人式だけの着物ではありません。成人式後の、さまざまな行事やお祝い事でも着用できます。例えば、ご友人や親戚の結婚式などへの列席で、お嬢さまご自身の結納や披露宴のお色直しなど、振袖を着用する機会は、意外にもたくさんあるのです。その度に振袖をレンタルするのは、費用面はもちろんのこと、時間も取られて大変です。「ママ振」であれば、費用を抑えながら、小物類だけレンタルすることで、シーンごとに合わせてコーディネートを楽しむことができます。
メリット4:思いを受け継ぎ、親子で体験の共有を
最近は、コストカットのため、インクジェット式プリンタで作られた振袖も少なくありません。その点、昔の振袖は、職人が手作業で仕上げた逸品が多く、価値も高い傾向にあります。トレンドの振袖で装った友人と並んでも決して見劣りはしません。着用には、ぜひ呉服専門店へご相談ください。今のトレンドを意識しながら、あなただけの「ママ振」コーディネートを実現できますよ。
お嬢さまが「ママ振」を着用することで、振袖を購入したお祖母さま、ハタチの時に着用したお母さま、その振袖を今ご着用になるお嬢さま、母子3代にわたる思いを共有することができます。そうして迎えた成人式は、心温まる特別な日になること間違いありません。
「ママ振」にはメリットがたくさん! 金額を抑えられるのはもちろん、レトロで可愛く、デザイン性にも富んでいます。そして、最大の魅力は代々受け継ぐものだからこそ、ご家族が喜んでくれること。振袖にはさまざまな思い出が詰まっています。ご家族とシェアできるのも「ママ振」の魅力です。ご自身の成人式で身にまとったお母さまや、振袖を購入したであろう祖父母さまにとっては、より嬉しい気持ちにもなります。「私の着物を着てくれてすごく嬉しかった」とお母さまから嬉しい声や「娘が着てくれたおかげで、おじいちゃん、おばあちゃんも喜んでいる」と言った声なども多くいただいています。着物は世代を超えて愛され、受け継がれていきます。「ママ振」を通して、着物の魅力を体感してみてはいかがでしょうか。
注意すべきママ振について
魅力がいっぱいのママ振ですが、すべてそのままの状態で着ると、なんとなく古臭く見えてしまうことも。振袖は変わらない美しさがある一方、トレンドも移り変わっています。そして、タンスに入れっぱなしだった振袖は事前にメンテナンスする必要もあります。こちらでは、「ママ振」を選択する際に注意すべきことをご紹介します。
サイズが合わない
お母さまとお嬢さまの体格に差がある場合、寸法直しが必要となります。振袖は、身丈(背の高さ)、肩裄(肩から袖の長さ)、身幅(胴の太さ)でサイズが決まります。ある程度なら着付けでもサイズ調整が可能ですが、寸法が大きく違っていると、着姿が美しくない、着崩れを起こしやすいなどのトラブルもありますので、注意しましょう。
汚れがひどい場合はメンテナンスが必要
「ママ振」はお母さまの振袖なので、長期間にわたり、タンスにしまったままだったという方が多いと思います。しまったままだと、当時はなかった汗のシミなどが時間の経過とともに表に出てくることがあります。また、湿気等でタンスの保管環境が悪化し、着物全体にカビが発生して変色してしまうことも。このような状態になると、カビ取りや染み抜きが必須となります。頑固な汚れは落とせないこともあります。汚れの具合にもよりますが、メンテナンス費用が高額になることもあるので、振袖をチェックしながら呉服専門店で見てもらうことが大切です。
アイテムが足りない
帯やその他の小物類もお母さまのものを使いたいなら、足りないものがないか早めに確認をする必要があります。振袖と同様に、痛んでいないかも細かくチェックしましょう。もしダメージが酷くて使えないものがあったり、紛失しているものがあれば、手配する必要があります。着付けに必要な腰紐や伊達締め、衿芯、帯枕などの準備も忘れないようにしましょう。
振袖の着付けに必要なアイテム
☑︎振袖
☑︎袋帯
☑︎長襦袢
☑︎帯締め
☑︎帯揚げ
☑︎半衿
☑︎重ね衿
☑︎草履
☑︎足袋
☑︎バッグ
☑︎髪飾り
☑︎ショール
☑︎肌襦袢
☑︎衿芯
☑︎腰紐
☑︎伊達締め
☑︎帯枕
☑︎コーリンベルト
☑︎前板
☑︎後板
☑︎三重紐
☑︎裾よけ
☑︎補正用品
☑︎和装用下着
小物は現代のトレンドに合わせてコーディネートしよう
「ママ振」は小物コーディネートも重要。今のトレンドは、「くすみカラー」や「色の数を抑えたシンプルなコーディネート」、同系色でまとめた「ワントーンコーデ」が流行しています。旬のテイストを要所ごとに取り入れることで、同じ振袖でも、ぐっと垢ぬけた印象になるので、小物だけは現代のものに変えるのがポイントです。たとえば帯。帯は、振袖に次いで占める割合が大きいので、ワントーンコーディネートにするためには、振袖と帯の色の濃淡にこだわってチョイスするとトレンドを意識したコーディネートになります。逆に、個性的にまとめたい場合は振袖の反対色の帯を選ぶと良いでしょう。また、現代の帯は昔よりも長く、帯芯もしなやかになっています。さまざまなアレンジ結びが登場しており、おしゃれな帯結びを楽しみたいというお嬢さまも多いと思います。このような場合は帯を新調することをおすすめします。
お嬢様との好みが違う場合は?
「ママ振」はお母さまの好みやその当時のトレンドを意識して購入されたもの。お嬢さまとの好みが違う場合もあります。お母さまの振袖が価値あるものだとしても、好みや似合う色が違えば着用が難しい場合もあります。そのような場合は、上記のように帯を変えることで、全く違う印象になったり、飾りがついたデザイン性の高い帯締めを取り入れたり、コーディネートのアクセントになるようなカラフルな色柄やエレガントな刺繍入りなどの半衿、ラインストーンやパールやレースがついた重ね衿、スタイルアップが期待できる厚底タイプの草履や着物全体に合わせた現代風のバッグなど、小物使いで変わることも。「ママ振」で悩んでいるお嬢さま、お母さまはぜひ着物のプロコーディネーターが在籍する呉服店へ行くことをおすすめします。いろんなコーディネートを提案してくれるので、安心して任せすることができますよ。
2025年トレンドのママ振
次に、2025年トレンドのママ振コーディネートをご紹介します!
王道の赤色系鉄板コーディネート。帯のゴールドがアクセントになっています。可愛らしいの花の刺繍入りの半衿と、同じく絞りの技法で花を描いた帯揚げでキュートさをプラス。トレンドを意識したコーディネートです。
濃い緑に大胆に配置された花が印象的な振袖。紫色の帯締めがアクセントになり、全体を引き締めています。そして、印象的なのがヘア。大ぶりな赤いレースを取り入れ、振袖に負けないくらい「個性的」な印象を演出することができます。
こちらも王道の赤色の振袖。あえて同色系の帯を取り入れることで、ワントーンコーディネートが実現できます。帯締めは黒色にすることで、シックな印象に。そして、重ね襟には個性的な柄をチョイス! 色を抑えた刺繍の白い半衿とグレーの帯揚げを合わせ、抜け感を演出しています。
「ママ振」は小物のコーディネート次第で、今のトレンドに合わせた振袖を演出することができます。ヘアスタイルも今っぽくおしゃれに着こなすポイント! トレンドのヘアスタイルを取り入れることで、振袖全体の雰囲気が変わりますよ。流行のオニオンヘアやルーズなまとめ髪など、今人気の髪型をチョイスするとおしゃれな雰囲気になりますよ。
また、最近ではママ振りをあえて反物に戻して、生まれ変わらせる方法を選ぶ方もいらっしゃいます。反物に戻すことで、長年の保管中についたにおいや汚れなどをすっきりときれいに落とすことができます。また、お母さまとお嬢さまのサイズが違う場合には、反物に戻すことで、お嬢さまのサイズに仕立て直すこともできます。まずは呉服店にご相談ください。
まとめ
いかがでしたか。今回は、今大注目の「ママ振」について解説いたしました。成人式は一生に一度だからこそ、特別で思い出に残る振袖で出席したいという方も多いと思います。特に「ママ振」には、ご家族の思い出が詰まっており、お嬢さまに改めて袖を通していただければ、思い出も2倍になること間違いなし。「ママ振」はメリットもたくさんあるので、ぜひお嬢様のお好みに合わせてコーディネートをし直しながら、今にぴったりのトレンドを意識した「ママ振」を着用してみてはいかがでしょうか。山正山﨑では、「ママ振」を応援します! ぜひお母さまの振袖をお持ちいただき、その想いをお聞かせください。私たちが、お嬢さまに合わせた振袖へと生まれ変わらせます。