2025年の「二十歳の集い」に参加されたみなさま、節目となる一生に一度の式典はいかがでしたか? 懐かしいご友人たちとの再会もあり、心温まる時間を過ごされた方は少なくないと思います。
さて、成人式が終わった後、着用した振袖はどうしていますか? そのままタンスに入れてしまった、という方は危険です! 振袖を着用後はお手入れが必須となります。特に、ご自身の振袖やお母さまの振袖を着用していた方にはお手入れをおすすめします。今回は、成人式後の振袖のお手入れについてお伝えします。
【目次】
1 安心! 成人式後の振袖お手入れ3ステップ
2 振袖のお手入れに関する間違い
3 振袖の正しい保管方法
4 和装小物の正しいお手入れと保管方法
5 まとめ
安心! 成人式後の振袖お手入れ3ステップ
成人式で着用した振袖。「1回しか着ていないから」「汚していないから」と、着用後そのままタンスにしまっている方は大間違い! 1回でも着用した振袖は、必ず汚れが付着しています。成人式は真冬の寒い時期ですが、振袖や長襦袢には思いのほか汗が染み込んでいたり、汗の成分が振袖や長襦袢に染み込み、後々シミになって浮き出てくることもあります。また、生地に含まれる湿気によってカビが発生することもあり、さまざまな問題が起きてきます。振袖は、成人式以外にも、卒業式やご友人やご家族の結婚式などに着用することもできます。大事な振袖だからこそ、長く綺麗に保管するためには振袖の着用後は基本的なお手入れが必須となります。お手入れの3ステップをご紹介します。
ステップ1)振袖をハンガーにかけて干す
振袖の素材としてよく使用される正絹(しょうけん/100%天然の絹)は、湿気に弱い素材です。振袖を着用後はハンガーにかけて、直射日光が当たらず、風通しの良い室内で1〜2日(最低でも2時間以上)陰干しするようにしましょう。ハンガーにかけることで、寄れた布目も元に戻ります。ハンガーは通常のハンガーとは違い、「着物ハンガー」と呼ばれる、袖もきちんと広げて干せるハンガーがおすすめです。中にはしっかり干さなければと1週間以上ハンガーに吊るしっぱなしにする方もいますが、そうすると今度は生地のたるみを起こす原因にもなります。また、振袖だけではなく、長襦袢と帯も忘れずに干すことで、着用時の湿気を飛ばすことができます。
ステップ2)振袖や長襦袢の汚れがないかチェック
ハンガーに振袖を広げてかけると、着ている時には見落としていた汚れにも気が付きやすくなります。ハンガーで干した後は、振袖や長襦袢に汚れやシミがないかチェックしましょう。ご自身で汚したつもりがなくても、振袖を着用していると、さまざまな汚れが付着していることがあります。特に汚れやすいのは、衿・袖・裾の3ヶ所です。振袖の襟元はファンデーションや皮脂の汚れが特につきやすい箇所です。顔を動かすとどうしても汚れてしまうので、チェックする必要があります。また、袖口も腕の汗や皮脂汚れが付きやすい箇所です。シミは時間が経つほど落ちにくくなるため、もし見つけたら早急にクリーニングに出してください。
ステップ3)専門業者でメンテナンスをしよう
シミやほつれを見つけたら、着物専用のクリーニングなどの専門業者でメンテナンスしてもらうのがおすすめです。汗は付着した直後は目立ちませんが、時間の経過と共に変色して黄ばみが浮かび上がってくることがあるので、成人式後はクリーニングに出すのが良いでしょう。振袖をしばらく着る予定がない、汗をかいてしまった、成人式当日に雨や雪で濡れてしまった場合などはクリーニングに出すのがベスト。クリーニングには3ヶ月ほど時間がかかるので、3ヶ月〜半年以内に振袖を着る機会がない場合はクリーニングに出しましょう。成人式後は、なるべく早めに出すのがおすすめです。
私たち山正山﨑では、成人式後の振袖クリーニングのサポートも行っています。プロが在籍していますので、成人式後にクリーニングを検討している方はぜひお問い合わせください!
成人式後の振袖はきちんとしたチェックやメンテナンスが必要となります。また、よくある質問の中に「前撮りで着た振袖も成人式までにお手入れした方が良いか?」とお悩みの方もいらっしゃいます。もし汗をたくさんかいてしまうと、振袖にシワが残る場合があるので、前撮りで着用した振袖のお手入れは、振袖の状態によっては必要な場合もあります。
振袖のお手入れに関する間違い
成人式後の振袖のお手入れについて間違った認識をしている方もいらっしゃるので、以下にまとめました。振袖お手入れ前に参考にしてみてください
NGその1)振袖や長襦袢を適当にたたむ
振袖や長襦袢をきちんとたたまないと、保管中、振袖の目立つ場所にシワが入る可能性があります。特に、着物に馴染みのない方の場合、たたみ方がわからない人もいらっしゃるのでは? 振袖は袖が長い分、たたみ方は難しく、間違ったたたみ方をしてしまう場合も。お手入れを呉服店に出せば振袖や長襦袢を綺麗に畳んでくれるので、心配なようなら呉服店でたたんでもらいましょう。
NGその2)市販の防虫剤を入れて保管してしまう
振袖をタンスにしまった際は市販の防虫剤を入れない方が良いでしょう。防虫剤は化学薬品なので、他の防虫剤との組み合わせで化学反応が起こったり、振袖の色やけの原因になってしまうことも。また振袖は湿気がNG。防虫剤をたくさん使うよりも、着物専用の乾燥剤を呉服店で購入するのがおすすめです。
NGその3)ダンボールや紙製の衣装箱に入れて保管してしまう
振袖一式をダンボールや紙製の衣装箱に長期間保管してしまうのはNGです。特にダンボールや紙は湿気を多く含みます。着物にとっては湿気はNG!! 振袖に湿気がうつり、カビやシミの原因にもなります。振袖を保管する際はタンスに収納しましょう。着物を保管するには桐タンスなどの最適なものがあるので、こちらも呉服店に相談するのが良いでしょう。
振袖の正しい保管方法
一式お手入れが済んだら、次は保管です。保管方法を誤ると、カビなどのトラブルを招くことがあります。しかし、きちんと保管することで、長い期間、美しい状態で振袖を使い続けることができるのが魅力でもあります。この機会に正しい知識を身に着けて、振袖を大切に保管しましょう。
・清潔な「たとう紙」を用意する
振袖の保管に不可欠なたとう紙。そもそも「たとう紙」とは、古くからモノを包むための紙として活用されてきました。「たとう紙」は、振袖を購入した際のものをそのまま使ってもいいでしょう。「たとう紙」は湿気を吸ってカビの発生を抑制する効果があったり、チリやホコリを避けたり、きものに余計なシワが寄るのを防止するのにも役立ちます。ただし、何年も使っていると吸収した湿気で黄ばんできたり、最悪、たとう紙そのものにカビが生えてくることもありえます。「たとう紙」には寿命があり、一般的には1〜2年ほどと言われています。状態をこまめにチェックして、期限が来たら新しいものに交換をするといいでしょう。綺麗な「たとう紙」を使うことで、お手入れした振袖を長く着用することができます。
・定期的に虫干しをする
虫干しとは、着物をタンスから出して湿気を飛ばすお手入れのこと。定期的に行うことでカビや虫を寄せ付けにくくすることができます。やり方は、振袖をハンガーにかけて広げておくだけでOK。虫干しのタイミングは年に3回が目安とされています。8月、11月、2月がおすすめと言われていますが、空気が乾燥した春や秋のよく晴れた日を選び、正午をはさんで4時間程度干しておくのがおすすめです。ついでにシミやほころびなどがないかもチェックしておきましょう。直射日光には絶対に当てず、干したまま何日も放置しないことがおすすめです。
和装小物の正しいお手入れと保管方法
振袖に合わせて使用した和装小物のお手入れも、お忘れなく。正しいお手入れや保管方法は以下の通りです。
・帯や帯締め、帯揚げ、草履は日陰で干し湿気を飛ばす
帯や帯締め、帯揚げは通常のハンガーで干しましょう。半日〜1日程度目安に干すと湿気を飛ばすことができます。草履は裏側の汚れを払って裏側にした状態で日陰に干して湿気を飛ばします。その後、乾いた布で全体を拭いて保管しましょう。
・長襦袢はクリーニングに出す
長襦袢は振袖と同様に、着用するたびにクリーニングに出すのが望ましいでしょう。そのまま放置してしまうと、黄ばみやシミ、カビの原因にもなります。最近では自宅の洗濯機で洗える長襦袢もあるので、そちらを使用するのもおすすめです。着用後はそのまま洗濯機に入れて洗濯できるので、常に清潔さときれいさを保つことができます。ただし洗濯機を使用する場合は洗濯ネットに入れておくと生地を痛めることがないのでおすすめです。
・肌に触れる小物は着用するたびに洗濯する
肌に触れる小物(肌着スリップや足袋)は、着用するたびに洗濯をするのが良いでしょう。ただし、足袋は型崩れしやすいので手洗いでの洗濯が推奨されていることも多いのですが、洗濯機を使用してもOKな場合も多いため、購入する際に確認するのがいいでしょう。
まとめ
今回は振袖を着た後のお手入れについてまとめました。振袖はメンテナンスを重ねて大切に保管していれば、何十年も着続けられる美しい着物です。着用ごとに状態を確認するのは少し手間かもしれませんが、ダメージが軽いうちに早めに対処していくことで、結果的にメンテナンス費用を抑えることもできます。今年の成人式で振袖を着て、まだお手入れがお済みでない方は、さっそく確認をしてみてください。山正山﨑では、振袖や小物一式をお持ちいただければプロの目で確認しながら、どのようにメンテナンスするのが一番ベストかをわかりやすくお伝えしますので、まずはお気軽にお問い合わせくださいね!