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2025.02.13
コラム

卒業式は着物で列席しよう

お子様がこの春卒業を迎える方は、卒業式当日、どのような装いで式に臨むか迷っている方も多いと思います。晴れの日だからこそ、卒業式は着物で列席してみるのがいいでしょう。卒業式に相応しい着物から色、柄などの着こなしや着物着用時のマナーなどをご紹介します。

【目次】
1 卒業式に相応しい着物とは?
2 着物の柄が持つ意味合い
3 着物を着ている時の立ち居振る舞いやマナー
4 まとめ

卒業式に相応しい着物とは?

お子様の卒業式に参列するためのお母様の着物は、その場に合わせたものを選ぶ必要があります。その際、着用は訪問着・付け下げ・色無地が良いでしょう。洋服で言えば普段着にあたる小紋は式典には相応しくないので注意が必要です。次に、訪問着・付け下げ・色無地について紹介します。

・卒業式で最も人気なのが「訪問着」
入学式や卒業式に着て行く着物の中で一番人気なのが訪問着です。結婚式に呼ばれた時や、お子様のお宮参り、七五三などでも着用することができます。訪問着は年齢や既婚・未婚関係なく着用できる準礼装の着物です。訪問着を着用することで、周りも華やかになります。訪問着の特徴は、背中や袖、足元や襟などに、模様が続くよう華やかにデザインされていることです。
訪問着の特徴でもある、流れるような美しい絵柄は「絵羽柄(えばがら)」と呼ばれています。絵柄を染めるときに縫い合わせの部分で模様の食い違いがないよう真っ白の生地を着物のかたちに仮に仕立てます。その後、染色や刺繍のデザインを縫い目をまたぐように決めて、細部にまでこだわって仕立てていきます。手間ひまかかる作業ですが、これらを丁寧に行うことで、華やかな訪問着が完成します。卒業式には少し落ち着いたデザインを、入学式には少し華やかな訪問着を着用したり、使い分けができるとさらによいでしょう。また、最近は紋なしの訪問着を選ぶ方が多いと言われています。レンタルをする方も多く、紋がない方がいろんな場面で着用することができます。

・入学式にも役にたつ「付け下げ」
入学式と卒業式両方に使えるのが付け下げです。訪問着に次ぐ略礼装の着物となっています。もともと訪問着の豪華さを抑えた着物として作られのたが「付け下げ」です。反物の状態で紋様付けをしているので、訪問着のような「絵羽柄」ではなく、胸や肩、袖と裾の部分に同じ柄が入っているのが特徴です。訪問着のような華やかはありませんが、品の良い美しさがあり、入学式や卒業式など、少し控えめに装いたいとお考えの方には「付け下げ」がおすすめです。合わせる帯を格の高いものにすれば、フォーマルな場所にも対応できる点も魅力! 一般的に、訪問着と比べて価格が控えめなものが多め。なるべくリーズナブルに済ませたい方は要チェックです。

・卒業式でも活躍する「色無地」
色無地とは、黒以外の1色で染め上げられた、柄のまったく入っていない着物のことを言います。礼装として五つ紋を付ける場合もありますが、略礼装としてお茶会や食事会などに着用することができます。紋をいくつ入れるかで格付けが変わります。紋を1つ入れて略礼装にすれば、卒業式にふさわしい装いにもなります。色無地の1番の魅力はシンプルで落ち着いた印象を与えてくれることです。訪問着や付け下げのように絵柄の選択に迷わなくてもよいのが魅力的。お子様より目立つこともなく、周囲から浮くこともないので、卒業式に相応しい着物としても知られています。帯や小物の合わせ方次第でいろんなイメージも演出しやすく、コーディネートのしがいがある着物でもあります。
卒業式には控えめな色合いが好まれています。紺やグレー、水色などの落ち着いた色を選択する方も多く、柄の数を少なくして品の良い着物を選ぶと良いでしょう。逆に相応しくない色は赤色やピンクなど派手な色味や柄のボリュームが多いものです。お子様よりも目立つことがないよう、色や柄をチョイスすると良いでしょう。また、卒業式の帯は袋帯で二重太鼓を結ぶのが基本とされています。カジュアルなおしゃれ帯は避けて、金や銀が施されている帯を着用しましょう。

着物の柄が持つ意味合い

着物にはさまざまな柄が登場します。見た目のデザインや色柄で決めるのはもちろんですが、柄に込めた意味を選んで着用するのも素敵でしょう。

・桜
毎年たくさんの花を吹かせ、春の訪れを告げてくれる桜。日本を代表する花ということで、古くからとても人気があります。桜の名前には、稲の神様「さ」が宿る「くら(蔵)」に由来するという説があり、そこから転じて桜柄には五穀豊穣を願い、新しい門出を祝うという意味があります。縁起がよいのが特徴です。

・菊
菊は皇室の御紋にもなっているほど高貴な花です。元は中国から薬草として日本に伝わり、邪気を払う花、長寿のシンボルとして多くの人に愛されてきました。丸い形の万寿菊、華やかに大胆な柄として描かれる乱菊など表現の幅も広く、デザイン性に富んでいます。

・梅
冬の寒さに負けず、いち早く花を咲かせることから、逆境に耐える強さや気高さの象徴とされています。現在、日本の花といえば桜を連想する人が多いかもしれませんが、奈良時代の頃は「花といえば梅」というほど広く愛されており、日本人にとって馴染み深い花のひとつです。

・牡丹(ぼたん)
牡丹は大きく花開く様子が美しく、「百花の王」と呼ばれています。昔から、唐草文様にも使われており、柄としての歴史は非常に古い花です。力強くも可憐な咲き姿から、高貴さや富貴、幸福、豪華絢爛のシンボルともなっています。

・藤
平安時代に活躍した貴族・藤原氏の繫栄とともに、高貴な花として知られるようになりました。音の響きが同じ「不死」にかけて、長寿や子孫繁栄を願う柄として親しまれています。下へ流れるように咲く様子を、天と地を結ぶものとして見立てて敬うこともあります。

・吉祥文様
日本古来から存在するおめでたい柄のことを吉祥文様といいます。縁起がよいとされる動植物や物品を図案化したもので、慶事に最適だとされています。

・橘
橘はみかんの仲間で、果実や花が文様化されています。日本由来の数少ない文様の1つとしても有名です。古事記の中で不老不死の理想郷に自生する植物として描かれており、古くから長寿や子孫繁栄などの吉祥の意味を持ちます。着物のほかにも、家紋にもよく用いられています。

・扇
扇はその広がった様子から、末広がりに運気が良くなると考えられ、明るい将来、繁栄などを表します。また、あおいで風を起こすことから、悪いものを吹き飛ばし、福を招くという意味もあり、金運アップの柄とも言われています。振袖の場合は、花柄と組み合わせた「花扇」が用いられることが多いです。

・御所車(ごしょぐるま)、花車(はなぐるま)
御所車は、貴族が出かける際に使っていた牛車のこと。これを花で飾って絢爛豪華に仕上げたものを花車と呼び、幸せがあふれるといった意味を持ちます。貴族が愛した道具を図案化した王朝文様の1つでもあり、まとう人に高貴で優雅なイメージを与えてくれます。古典柄の代表格です。

・松竹梅
真冬でも深緑の葉を繁らせる松、天に向かってまっすぐ成長して1年中青い葉をつける竹、寒さの中で真っ先に咲いて春を告げる梅。この3つの縁起物を組み合わせた伝統的な柄として人気の柄のひとつとなっています。

着物を着ている時の立ち居振る舞いやマナー

普段着物を着用する機会がないと、着物は着るだけで大変、と思っている方も多いのでは? 次に紹介するのは着物を着用したときの立ち居振る舞いやマナーについて。まず、普段よりゆっくりと丁寧に動くことが基本です。さらに、上品さや落ち着きを演出するにはどうしたらよいかをお伝えします。

・立ち方
まずは基本の立ち方です。着物を着ている時は、肩の力を抜いて背筋をまっすぐ伸ばして立ちます。時折、猫背になっていないか、左右どちらかに重心が偏っていないかを確認してください。足元は、つま先が八の字になるようくっつけると良いでしょう。

・歩き方
立っている時と同じく、背筋をピンと伸ばしたまま歩き出しましょう。歩幅はいつもの半分程度を意識して、小さくゆっくり動くのがポイントです。両足の膝小僧が振れたままで内股気味に歩くと、自然と動きがコンパクトになります。草履は指で引っかけるように浅く履き、かかとが少しはみ出るくらいが正しい履き方とされています。

・階段の上がり方
階段は裾を踏まないよう気を付けることが重要です。右手でほんの少しだけ裾を持ち上げると動きやすくなります。体をやや前に傾けると足元が見やすく、姿勢もきれいに見えます。

・イスの座り方
式典会場では、イスに腰かけるタイミングは多くあります。洋服の時と同じような感覚で深く座ってしまうと、帯がつぶれてしまうこともあるので、浅く腰かけるよう心がけてください。背もたれと体の間にこぶし1つ分のスペースが開くくらいがちょうどよいでしょう。バッグはこのすき間に置きます。長時間座りっぱなしでいるとつい膝が開きがちですが、そうすると着崩れの原因にもなるので注意が必要です。

・車の乗り降り
洋服の時のように足を大きく開いて乗り降りしたくなりますが、着崩れの原因になるため、大股で乗り降りするのNG。車に乗り込む際は、体の前で袖を合わせ、座席に背中を向けて立ち、裾が乱れないようお尻からゆっくりシートに座ります。乗車中はしっかりつかまり、帯がつぶれないよう浅く腰かけた状態をキープしましょう。車を降りる時は、上前を片手で押さえ、つま先を揃えて外へ出し、慎重に立ち上がります。

まとめ

いかがでしたか。着物で卒業式に参列する際のポイントをいくつかまとめました。着物というとどうしてもハードルが高くなってしまう、当日大変そうというイメージが先行してしまうかもしれません。しかし、お子様にとってもご家族にとっても卒業式は人生の節目でもあり、特別な日です。着物を着用することで特別な一日を演出することもできますし、式典後の写真撮影でも、華やかな装いが後々まで残ることになり、おすすめです。大切なお子様の卒業式、ぜひ着物に袖を通してみませんか?