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お知らせCOLUMN

2025.05.15
コラム

日本着物デザイナー池田重子氏の歴史とアンティーク着物の魅力

アンティーク着物の蒐集家として知られている池田重子氏は国内外で高い評価を受けています。池田重子氏の生い立ちやアンティーク着物の魅力などをご紹介します。

【目次】
1 池田重子氏の生い立ちと活動
2 アンティーク着物とは
3 アンティーク着物を着る場面について
4 山正山﨑での池田重子氏のコレクション展について
5 まとめ

池田重子氏の生い立ちと活動

池田重子(いけだ しげこ)氏は、1925年12月21日に誕生(2015年10月13日没)。日本のアンティーク着物収集家、着物デザイナー、コーディネーターとして活動をしていました。明治・大正・昭和初期の和装品を中心に、帯、帯留、半衿、髪飾りなどを含む約5万点に及ぶコレクションを築き上げ、これらは国内外で高く評価されています。

幼少期は神奈川県横浜市の裕福な家庭に生まれ、美術工芸品や芸能に親しみ、1947年に文化服装学院を卒業しました。
1976年、東京・目黒にあるアンティーク着物店「時代布と時代衣裳 池田」を開店。明治以降の和装品の収集と販売をスタートしました。このお店は、池田重子氏の審美眼によって選ばれた和装品を通じて、日本の伝統美や当時の女性たちの暮らしぶりを伝えており、全国の着物愛好家から高い評価を受けました。
その後1993年には、松屋銀座にて自身のコレクションを展示する「日本のおしゃれ展」を開催。池田重子氏が長年かけて集めたアンティーク着物、帯留、髪飾り、袋物など約5万点の中から、テーマ別に厳選された和装品を展示しました。コーディネート展示では「日本の女性の美意識」を表現。帯留や半衿など細部の美にも焦点を当て、全体の調和を重視しました。その後、アンティーク着物ブームの火付け役となり、全国各地の百貨店・美術館などで巡回展が開催するようになりました。
そして、着物ブランド「夢工房」やデザインを手がけます。池田重子氏が監修・協力したブランドとして、現代向けの着物や帯、小物類を展開しています。コンセプトは、「アンティーク着物の美しさを現代の技術と感性で再現」。日常の中でも楽しめる和装スタイルを提案しています。着物ビギナーから愛好家まで幅広く支持を集めています。

池田重子氏はデザインを手掛けながらも、たくさんの書籍を執筆しています。どれもアンティーク着物や和装小物の美しさを紹介しながら、日本の伝統的な美意識を現代に伝える内容が多く、着物愛好家・研究者・デザイナーから高く評価されています。

1.池田重子コレクション THE BEST(大和書房)
明治、大正、昭和。日本の女性を美しく彩ったきもの・帯・羽織、髪飾り・半衿などの小物。日本一のコレクター秘蔵の一品を一挙公開。2010年に発刊され、以後絶版となっていた本書を生誕100周年を記念して復刻。
一般販売はありません。「生誕100周年記念 池田重子特別展(豊橋市 呉服の山正山﨑会場 5/16~5/19開催)」会場で限定販売いたします。

2.池田重子流コーディネート(実業之日本社)
春・夏・秋・冬、季節ごとのコーディネートを紹介しています。写真が美しく、アンティーク着物の魅力を伝える本です。

3.美の遍歴(大和書房) 
著者のコレクションの着物、帯、小物などの美しい写真と共に、著者の含蓄のある人生訓、エッセイ、著者の生い立ち、歩んできた人生が記されています。

3.遅く咲くのは枯れぬ花(講談社)
離婚慰謝料のほぼ全額を投じて手に入れた運命の帯留との出会い、人との縁、商売の機微。90歳になっても、とびきりおしゃれで美しい人が言葉で導く、50歳からの「運命を変える生き方」をご一読ください。

池田重子氏の本は、眺めて美しく、読んで深く、知って豊かになる「和の美意識の教科書」とも言えます。

アンティーク着物とは

池田重子氏がこよなく愛する「アンティーク着物」。「アンティーク着物」とは、そもそも、主に大正〜昭和初期(おおよそ1910年代〜1950年代)に作られた着物で、当時のデザインや染織技術、素材の美しさが特徴の古い和装衣料です。一般的に戦前のものを「アンティーク」、戦後のものを「ヴィンテージ」と区別することもあります。

アンティーク着物の特徴としては、大胆でモダンなデザイン、幾何学模様、洋風モチーフ(バラ・蝶など)など、斬新で華やかなデザインが魅力です。また、色彩の豊かさも特徴。現代の着物よりも色彩が多様で鮮やかで、赤・緑・紫などの原色が多用されています。その他、手仕事の美として、手描き友禅、絞り、刺繍など、職人技が光る一点ものが多いのも魅力です。アンティーク着物はサイズが小さめで、昔の日本人女性の体型に合わせて作られており、裄(袖丈)や丈が短めです。素材としては絹が中心。羽二重、縮緬(ちりめん)、紬(つむぎ)など多種多様です。
現代にはない個性的で美しいデザインと一点ものという希少性。池田重子氏ならではの観点のアンティーク着物は、帯や帯留、小物も芸術的というのも特徴です。装いはもちろんのことコレクションやインテリアにも通ずる部分があります。

アンティーク着物は“過去の美意識”の結晶とも言われています。明治・大正・昭和初期の着物には、その時代の日本人が大切にしてきた「美意識」「価値観」「暮らし」が凝縮されています。例えば、四季を表現する柄(桜・紅葉・雪輪など)、職人による手仕事(手描き友禅、絞り、刺繍など)、女性らしさや慎ましさを表す色・形、時代背景を反映したデザイン(大正ロマン、昭和モダン)など。単なる衣料ではなく、日本人の「美の哲学」や「暮らしの美意識」が形になったものなのです。

アンティーク着物を着る場面について

アンティーク着物は、華やかさと個性から、特別なシーンやおしゃれを楽しむ場面でよく着用されます。

1)季節の行事やイベント
お花見(春):桜と着物のコントラストが映え、写真映えも抜群です。
夏祭り・花火大会:アンティークの浴衣や単衣の着物で、風情ある装いになります。
紅葉狩り(秋):深い色合いの着物が自然と調和します。

2)和文化イベント・舞台観劇
歌舞伎、能、落語鑑賞:会場でも注目されることでしょう。
茶会や華道展:日本文化との相性がよく、格式も感じさせます。
着物パーティーや撮影会:個性を出したいときに最適です。

3)人生の節目や記念日
成人式・卒業式(アンティーク振袖):周囲と差をつける独自のスタイルが目を惹きます。
結婚式のお呼ばれ:訪問着や付け下げなど、上品な柄がおすすめです。
七五三・家族写真:母親や祖母の装いとしても品格があります。

4)日常のおしゃれ着として
カフェ巡りや美術館散策:洋小物(帽子・バッグ)とのミックスコーデも◎。アンティーク着物×ブーツなど、大正ロマン風のスタイルで街歩き。
インスタやSNS用撮影:独特の柄や色使いが映えます!

注意点としては、アンティーク着物は動きやすさや汚れへの配慮が必要です。派手すぎない柄選びや、小雨対策のコートなどが役立ちます。またアンティークは柄が大胆なことが多いため、フォーマルな場面では控えめな柄を選ぶのが良いでしょう。

山正山﨑での池田重子氏のコレクション展について

5月16日(金)から19日(月)まで、豊橋市にある呉服の山正山﨑は、「生誕100周年記念 池田重子特別展」を開催します。
2010年に発刊され、その後絶版となった『池田重子コレクション THE BEST』に掲載されたアンティーク着物の展示ほか、池田重子流コーディネートをお楽しみいただける着物や帯、小物類を多数ご覧いただくことができます。また、池田重子氏の次女で、「時代布と時代衣装 池田」店主・池田由紀子氏がご自身で蒐集した帯留の貴重なコレクションの一部を展示・販売いたします。
古き良き時代の伝統美を知悉する池田重子流コーディネートの妙をぜひお楽しみください。

<池田重子氏コレクション展 特別販売>
池田由紀子氏コレクションより アンティークの帯留販売
池田重子氏の次女で、「時代布と時代衣装 池田」現店主・池田由紀子氏がご自身で蒐集した帯留の貴重なコレクションの一部を展示・販売いたします。池田重子氏同様、研ぎ澄まされた感性で蒐集された帯留めは、逸品ぞろいです。

復刻版『池田重子コレクション THE BEST』(大和書房) ¥6,380
2010年に発刊され、その後絶版となっていましたが、池田重子氏生誕100周年を記念して復刻されました。
池田重子氏ご自身が「自らの集大成」と語った本書は、写真が美しく、読み応えも十分。一般販売はしておりません。会期中に限り、ご来場いただいた方へ冊数限定で販売いたします。

まとめ

いかがでしたか。華やかな見た目と芸術性の高いアンティーク着物。国内外より評価されている池田重子氏の作品展が愛知県豊橋市の山正山﨑で行われます! 着物好きの方から美術や芸術が好きな方、ぜひ一度足を運んではいかがでしょうか。