みなさんは成人式の振袖というと、どんなイメージをお持ちですか。時代劇に出てくるような絢爛豪華な着物?大正ロマンあふれるキュートな着物?どれも正解です。振袖は柄や色、合わせる小物次第で、あらゆるイメージを演出できる多様性に富んだ衣装です。今回は振袖の種類や山正山﨑おすすめのコーディネートなどをご紹介していきます。振袖選びの参考にしてみてください。
【目次】
1 振袖3タイプの魅力
2 山正山﨑おすすめのコーディネート
3 振袖選びのスケジュールをおさらい
4 まとめ
振袖3タイプの魅力
振袖とは、訪問着や留袖よりも袖を長く仕立てた「振り」が特徴的な着物のこと。昔は若い女性たちが自分の恋愛感情を伝える際、振袖を利用していたといわれています。「振り」を左右に振ると「好き」、前後に振ると「嫌い」という意味だったそうで、今でも恋愛シーンにおいて「相手を振る」「振られる」という言葉に名残を感じます。
このように古くから結婚前の若い女性たちに愛されてきた振袖。伝統を重んじた古典柄のほかにも、明治・大正・昭和に流行したレトロモダンなデザイン、令和に入った頃から増えつつあるシンプル振袖など、種類は実にさまざま。ここでは主となる3つの振袖スタイルとコーディネートのポイントを解説していきます。
伝統美に彩られる古典
何百年も前から脈々と受け継がれてきた伝統的なデザインのことを古典と呼びます。魅力はなんといっても時代に左右されないオーソドックスさ。縁起の良い吉祥文様、四季折々の風景を図案化した柄など、日本人が大切にしてきた事柄が一定のルールに則ってきらびやかに描かれています。普段着ている洋服と違い、柄が全身に散りばめられていたり、色も派手なものが多いため、コーディネートに迷う方もいるかもしれません。そんな時は、着物に使われている柄と同じ色の小物を選ぶのが一番。例えば、赤い着物に緑を基調とした柄が描かれているなら、帯揚げや髪飾りにも緑色を持ってくるといった具合です。着物の地色ではなく柄の色と合わせることで、差し色=ほど良いアクセントとなり、統一感も生まれます。昔は帯締め・帯揚げ・重ね衿の3つは色を揃えるのが基本でしたが、現在はそこまでこだわらなくてもOK。古典だからとあまり難しく考えずに、お好みに合わせて品良くコーディネートするのがおすすめです。またメイクは、和風な雰囲気にしっかり調和させるのがポイント。お肌やリップは日本人形のようなマットな質感に。
アイシャドーは華やかな振袖に合わせてパール入りのものを選びたくなるかもしれませんが、振袖とぶつかって派手になりすぎることもあるのでご注意を。こちらもマットタイプを選ぶほうが、上品な雰囲気が引き立ちます。
レトロモダンはお洒落さんに大人気
レトロは「懐古的」、モダンは「現代の」という意味で、これを合体させたのがレトロモダンという単語です。一見、相反する言葉のようにも思えますが、分かりやすく言えば「どこか懐かしい雰囲気が逆に新鮮で、現代でも十分お洒落に見える」ということです。一般的にレトロモダンと呼ばれる柄は、明治・大正・昭和に登場したもの。特にアール・ヌーヴォーやアールデコなど、海外文化の影響を色濃く受けた様式は「大正ロマン」と呼ばれ、今でも根強い人気を誇っています。古典柄の華やかさとはまたひと味違う、ポップで可愛らしい色使いや、洋花や水玉などそれまでなかった斬新な柄が印象的で、遊び心あふれるコーディネートとも相性◎。前撮りであれば、足元を草履からブーツに変えてみるのも良いでしょう。全体のコーディネートを考える上で気をつけたいのが、レトロとモダンのバランス。レトロが強いとやや古臭くなり、モダン過ぎるとモード系になりがちです。振袖がかなりレトロな感じであればヘアスタイルはモダンにまとめる、振袖がモダン寄りならば髪型はおかっぱボブやかんざしを差したお団子といったレトロスタイルにするなど、うまくバランスを取ると良いでしょう。レトロモダンコーデは、周りとかぶりにくいというメリットもあります。個性も大切にしたいお洒落なお嬢様におすすめです。
最新トレンドのキーワードはシンプルとくすみカラー
あまり共通点はなさそうな着物と洋服ですが、実はトレンド面では大きく影響を受けています。ここ数年、飾り過ぎない自然体なファッションが流行していることもあり、いま振袖業界でもシンプルなデザインに人気が集中。例えば、柄がいっさい配されていない色無地やワンポイント的に1、2個柄をあしらったデザインなど。その他、使うカラーを2色程度にしぼったバイカラー、振袖から帯まで同系色でまとめたワントーンコーデなどです。色合いでいえば、断然くすみカラーが人気。明るく若々しい印象のピンクやグリーン、ナチュラルテイストのベージュ、深みのある色合いのダスティ系など、さまざまなタイプのくすみカラーが存在します。儚く柔らかい印象にしたい場合は、すべてのアイテムを同系色でまとめてメリハリは色の濃淡でつけるのがおすすめ。髪型も編み込みやシニヨンなど、ゆるふわスタイルがよく似合います。また、すっきりとした中にもインパクトを持たせたい際は、ちょっぴり個性的なデザインの帯や小物を合わせるのも手です。振袖がシンプルな分、どんなアイテムを合わせてもしっくりきます。レースの半衿やパールをあしらった帯締めなど、現代的な小物も自然と調和します。
山正山﨑おすすめのコーディネート
ここからは実際に山正山﨑が手がけた振袖コーディネートをご紹介します。創業より確かな目利きと時代に合わせた感性で、お嬢様の魅力が際立つコーディネートを提案し続けています。ぜひチェックしてみてください。
黒い振袖
凛として落ち着いた黒地に、色とりどりの花々が美しく映える1着です。松竹梅や打出の小槌などおめでたい吉祥文様も散りばめられており、お嬢様の幸せを願う気持ちが心に染み渡ります。柄に合わせたゴールドの帯がこの上なくエレガント。目が醒めるようなエメラルドグリーンの半衿と、気品あふれる紫の帯締めも全体を引き締めるアクセントになっています。髪型は、流行りのインナーカラーを入れたロングヘアを品よくシニヨンに。組紐とお花のつまみ細工を添えることで、しっとりとした和の趣を引き立たせています。
青い振袖
鮮やかなブルーと流麗な波文様がどこまでも広がる大海原を思わせ、まるで無限の可能性を表しているよう。桜や梅といった日本を代表する花々が全身を彩り、寒色系の振袖でありながらとても明るいイメージです。振袖が絢爛豪華な分、帯は控えめなデザインをセレクト。振袖の反対色である黄色の帯揚げと赤色の帯締めが、ほど良い差し色になっています。蝶々結びを2段に重ねたような可憐な帯結びで、後ろ姿も印象的に。くすみカラーの髪飾りもトレンド感たっぷりです。
赤い振袖
成人式の王道、真っ赤な振袖。晴れの日にふさわしい華やかなイメージは、お母様やお祖母様世代にも好印象。百花繚乱の春を彷彿とさせるデザインが、ハタチのお嬢様らしい可愛らしさと若々しさを際立たせてくれます。帯、帯揚げ、帯締めも同系色でまとめ、今どきな振袖美人へアップデート。帯はふんわり結んで、女性らしい優しい雰囲気も大切にしています。抜け感のあるゆるふわカールのダウンヘアに、くすみカラーのドライフラワーも近年流行しているスタイルです。
白い振袖
白×淡いピンクのやわらかな色使いが、主張し過ぎない令和の価値観にマッチ。ころんと愛らしい花柄もあいまって、女の子らしさたっぷりです。そこに少し大人っぽい帯を締めることで、落ち着つきと気品も加わり、キュートなだけでない奥深いコーディネートとなっています。フレッシュなイメージの振袖に合わせて、髪は高い位置でふんわりアップ。髪飾りには振袖の花柄と同じピンクやオレンジを選んで、統一感もばっちり。
振袖選びのスケジュールをおさらい
思いのほか動き出しが早い振袖選び。まだ本番は先だから…とのんびりしていると、お好みの振袖が在庫切れになってしまったり、希望の日時に前撮りやヘアメイクをお願いできないこともあります。ここ何年かは高校3年生のうちから下見を始めるのが主流です。時間に余裕を持って妥協なくコーディネートを考えましょう。
■高校3年生の7~9月(成人式の2年半前)
毎年、夏休みに合わせて新作振袖が発表されます。そのため下見をスタートさせるにはちょうど良いタイミング。気になるお店のホームページやSNSをのぞいてみたり、カタログを取り寄せてみたり、受験勉強に差し支えない範囲で下調べを進めるのがおすすめです。息抜きをかねて直接お店に足を運んでみるのもOK。決して早すぎることはありません。無理せず進路が決定した後でお支度を始める方もいます。
■高校3年生の1~3月(成人式の2年前)
その年の成人式のためにレンタルされていた振袖が、メンテナンスを終えて店頭に戻ってくるのが1~3月です。また、新しい振袖を自分サイズに仕立てて借りられるオーダーレンタルも解禁されるほか、専門店が翌年の成人式用にカタログを制作する時期でもあるので、新作と旧作の両方が市場にあふれます。最も種類が充実している時なだけあって、お店は混雑しがち。受験や卒業式が重なり忙しいタイミングですが、夏から下見を始めていた方や新作振袖を狙っている方は、ここで予約を済ませるケースが多いです。とはいえ時間的にはまだ余裕はあるので、学業で手いっぱいな場合は無理せず卒業後の春休みを活用しましょう。前撮りや成人式当日のヘアメイク・着付けの予約枠にも十分空きがあります。「会場近くの美容室を利用したい」「良い時間帯を押さえたい」という方は、まとめて予約を入れておくのがおすすめ。
■大学1年生の7~9月(成人式の1年半前)
振袖選びの2度目のハイシーズン。昨年の夏に発表された新作振袖は早くも予約の最終段階へ。人気のデザインはほとんど押さえられている状況です。「高校卒業後の春休みは、進学準備などで振袖選びまでできなかった」という方は、夏休み中に予約を済ませておくのが良いでしょう。前撮り・着付け・ヘアメイクも、好条件な枠は徐々に埋まりつつあります。まだ比較的希望は通りやすいものの、このタイミングを逃すと予約が取りづらくなってくるのでご注意ください。
■大学1年生の1~3月(成人式の1年前)
早割の予約特典もそろそろ締め切りの時期。少しでもお得に振袖をゲットしたい方は急ぎましょう。成人式までまだ1年ありますが、人気の新作振袖は在庫切れも目立ってきます。ただし新作にこだわらなければ、選べる振袖はいろいろあるのでご安心を。ぜひお店で実際に振袖を見て、どんなコーディネートが似合いそうか理想を膨らませてください。1月はバーゲンもあり、良い品をお値打ちに押さえられます。前撮りを予定している方は、こちらもこの辺りで予約を確定させておいたほうが安心です。春や秋などの気候が穏やかな時期、土日祝日はすでに空き枠が限られている可能性があります。着付けやヘアメイクもかなり予約が埋まってきているため早めに手配を。
■大学2年生の7~9月(成人式の半年前)
トレンドのデザインや、人気の色柄の振袖はほとんど予約でいっぱいです。残っているものの中からお気に入りを探すことになります。お誂えをお考えの方も仕立ての時間を逆算すると、この辺りで最終決定しておきたいところ。振袖が決まった後は、帯や小物類のコーディネート、ヘアメイクやネイルをどうするかも考えなければなりません。ラストスパートをかける気持ちでお支度を進めてください。前撮りも人気の日時はキャンセル待ちになる可能性大。ヘアメイク・着付けも、会場から遠いお店でないと空いていなかったり、早朝や式ギリギリの時間帯でないとお願いできないかもしれません。早急に予約を済ませましょう。
まとめ
とても奥深い振袖コーディネート。古典・レトロモダンなどに加えて、近年はシンプル振袖という新しい選択肢も増え、ますます振袖選びが楽しくなりました。普段、着物を着る機会がない方にとって振袖のコーディネートは、ややハードルが高く感じるかもしれませんが、専門スタッフが手助けしてくれるから大丈夫。スケジュールにゆとりがあれば、小物1つ1つのセレクトにもしっかりと時間をかけられます。どんな振袖姿で成人式を迎えたいのかじっくり検討してください。