愛知県豊橋市で振袖や学生服・学校用品、着物、七五三衣装を取り扱う(株)山正山﨑「お知らせ」ページです。

お知らせCOLUMN

2023.06.01
コラム

単衣に衣替えしよう

6月に入り、間もなく夏本番。着物もそろそろ衣替えの時期です。いまの季節に着る着物といえば昔から単衣(ひとえ)と決まっていますが、みなさんどんなものなのかきちんと理解していますか。今回はいまさら聞けない単衣の基本をはじめ、昨今の衣替え事情、単衣に合わせるのにぴったりな小物などをご紹介します。

【目次】
1 単衣ってどんな着物
2 単衣を着るのに適した時期はいつ
3 単衣に合わせたい夏のアイテムをご紹介
4 まとめ

単衣ってどんな着物

単衣(ひとえ)とは、1枚の生地で仕立てられた着物のことで、春と夏、夏と秋の境目の時期に着用します。表と裏2枚の生地からなる袷(あわせ)に対し、単衣は裏地がない分、涼しく着られるという利点があります。単衣なのか袷なのか分からない際は、袖口に注目してみましょう。
単衣の袖口は生地を内側に折りたたんで縫われており、袷は表地と裏地が縫い合わされているため簡単に見分けられます。また、暑い季節の着物といえば薄物(うすもの)も一般的です。こちらも単衣の1種ですが、より生地が薄く透けて見える着物のことを指し、着用時期は盛夏のみ。単衣とひと言でいっても生地によって着用に適したシーズンが異なるので、衣替えをする時に改めてチェックしてみましょう。

▲単衣(ひとえ)

▲袷(あわせ)

生地とぴったりな着用シーズン

■木綿
ほど良い厚さで幅広い季節に着用可能。

■絽(ろ)
目のすき間が規則的に空いている生地。薄物。真夏に最適。

紗(しゃ)
絽よりもさらに通気性に優れ、透け感あり。カジュアルからセミフォーマルまで対応できる薄物。

麻(あさ)
植物の麻から作られる軽やかな生地。カジュアル向けの薄物。肌触りがサラッとしており、高温多湿な日本の夏でも快適。

ウール
とても暖かい素材なので夏には不向き。春・秋にちょうど良い。

単衣ならではのお洒落、両面染め

単衣は裏地が付いていないため、裏側がどういう状態になっているのか気になる方も多いかと思います。片面染めの生地だと裏側は白く見える場合もありますが、両面染めの生地であれば表と裏の両方に色柄が施されていてとても優美。裾というのは歩いたり座ったりするたびに案外翻るもの。そんな時、ちらりと見えた裏側まで美しければとてもお洒落です。細かな部分までしっかりこだわりたい方は、両面染めの単衣を選ぶと良いでしょう。その他、仕立て替えの際に表と裏を反して楽しめるというメリットもあります。

敷居当ては付けるべきなのか

1枚の生地で仕立てられている単衣は、袷と比べて縫い目が脆弱だったり、生地が傷みやすい傾向にあります。そのため生地を保護・補強する目的で、敷居当てという布を縫いつけることがあります。場所は単衣の後ろ身頃全体もしくは臀部のみが基本。敷居当てを付けることで着物へのダメージを減らせるほか、足や下着が透けるのを防ぐ、足さばきが良くなるという副次的な効果もあります。その一方で、生地が2枚重ねになる=袷と近い状態になるため、暑く感じやすいというデメリットも。また単衣や薄物の場合は、透け感のある生地を生かして下に着る長襦袢の色柄をあえて透過させて見せることがありますが、敷居当てを付けるとそういったコーディネートは難しくなります。単衣と敷居当ての生地が違うと、伸縮率の違いなどからお手入れが大変という声も聞かれます。不安な方は、プロに相談の上で縫い付けるところまでお願いすると安心です。

単衣を着るのに適した時期はいつ

古くから着物は種類によって着られる季節が決まっています。単衣(ひとえ)は暑すぎず寒すぎない6月と9月、薄物(うすもの)は7月~8月の盛夏、袷(あわせ)は10月~翌年5月までというのがスタンダードです。しかし温暖化の影響により、昔と比較すると暑い期間が長くなっており、平均気温も3℃から5℃高くなっているため、現代の日本では従来の区切り方では無理があります。よって少しでも暑いなと感じたら4月頃には単衣を出し、10月中旬ごろまで着用していても全く問題ありません。時期を問わず、その時々の体感温度や環境に合わせて選ぶことをおすすめします。ただし、フォーマルな場やお稽古などでは、本来とは違う季節に単衣を着ていると失礼に当たることも。格やドレスコードを重視するようなシーンでは、昔ながらのルールを優先しましょう。以上をふまえた上で、日常生活においては季節感を意識して、自分らしく単衣コーデを楽しんでください。

いまの季節にぴったりな柄

■紫陽花(あじさい)
6月の花といえばやっぱり紫陽花。柄は実際の季節よりも先取りするのが粋なので、あじさいが単体で描かれているものなら梅雨の前に着るのがベストです。しかし他の柄と描かれている場合は期間にもう少し幅を持たせてもOK。また生地の厚みによっても着用時期が異なります。透け感のない生地なら5月~6月いっぱい、透け感のある生地なら6月中旬~7月中旬までが着用の目安です。

朝顔
ラッパ状の花や細く長いつるが印象的です。朝に咲いて夕方にはしぼんでしまうというのが儚くも美しく、古くから人気があります。浴衣に用いられることが多い柄ですが、夏の着物や帯でもよく見られます。

睡蓮(すいれん)
7月の上旬に見頃を迎える睡蓮。水と共に描かれることが多く、涼しげな雰囲気が初夏にぴったりです。

鉄線(てっせん)
初夏に紫や白い花を咲かせる落葉蔓草。針金のような固いをつるを持つことからこの名が付いたと言われています。つるは唐草のようにデザイン化されて描かれることも。鉄線のみが単独で描かれている時は初夏に、他の季節の花と描かれている場合は通年着ても差し支えありません。

百合
どこか西洋的なイメージがある百合ですが、実は室内で飾られた記録の残る日本最初の花です。大正末期から昭和初期にかけて着物の柄として流行しました。着る人にエレガントかつ清楚な印象を与えてくれます。


柳の葉が風になびく様子が清涼感たっぷり。特に水と一緒に描かれている柄は、夏の象徴としてこの時期活躍します。また、柳は挿し木で増えるほど生命力が強いことから、おめでたいイメージもあります。


海を連想させる貝柄も夏にお似合いです。色や形が多彩なので、さまざまなデザインが楽しめます。貝が単独で写実的に描かれているものは3月3日頃~夏まで着用可能。デザイン化された貝が総柄になっている着物は通年着られます。

単衣に合わせたい夏のアイテムをご紹介

せっかく着物を単衣(ひとえ)に衣替えしたなら、帯や小物類も季節に合ったものに変えてみましょう。素材や色を涼しげなものに変えることで、夏らしいさがぐっとアップします。ぜひこの季節ならではのコーディネートを楽しんでみてください。
夏の帯には絽(ろ)や紗(しゃ)、麻など、軽やかで透け感のある生地の帯が重宝します。単衣との相性が良く、清涼感重視のコーディネートに欠かせません。また帯は種類によって使えるシーンが異なるため、TPOに合ったものをきちんと選ぶことも大切です。

半幅帯
紬や小紋などのカジュアルな単衣には、半幅帯を合わせます。半幅帯というのは、袋帯や名古屋帯の半分の幅で仕立てられた帯のこと。最近ではリバーシブルになっているものも多く、帯を折ったりねじったりして多彩なアレンジが楽しめます。街歩きや観劇などへ締めていくのに最適です。

名古屋帯
ちょっとしたお呼ばれや食事会など、セミフォーマルな場にふさわしいのが名古屋帯です。一重のお太鼓結びをするのにちょうど良い長さとデザインになっています。

単衣帯
単衣の着物と同様に1枚の生地で仕立てられた帯のこと。綴織(つづれおり)や博多織が有名です。経糸の密度が高く、一度締めたら緩みにくいのがポイント。長さがあり、綴れ帯は格調高い二重太鼓結びと同じ格になるもできるため、お呼ばれの場にも締めていけます。

夏帯
織りが荒くて透け感のある夏用の帯。身に着けた時の体感だけでなく、見た目もとても涼しげです。単衣か薄物に合わせて締めます。格式の高いものから日常使い用までさまざまな種類が揃うので、用途に合わせて選びましょう。

袋帯
結婚式などのフォーマルな場所では、格が高い袋帯を締めます。単衣の訪問着や留袖を着る際には袋帯を合わせてください。

帯締め
夏といえばレースの帯締めが人気です。どことなく涼しげな雰囲気で単衣とマッチします。ただしレースの帯締めは強度が弱いものもあるので、取り扱いは慎重に。その他だと、平田組の帯締めもおすすめです。目が荒く清涼感がありながら、生地が分厚くて丈夫というのが魅力的。ガラスの帯留めなどを加えると、より夏らしさがアップします。冬の帯締めを活用したい場合は、淡いブルーやグリーンなど涼しげなカラーを選ぶのがおすすめです。

帯揚げ
普段着用の単衣に合わせるなら絽ちりめんや紗、フォーマルシーンに身に着けるなら絽がベスト。こちらも清涼感のある水色や薄緑色を選ぶと粋です。

半衿
半衿も夏らしい生地がおすすめ。主に4つの種類があり、それぞれ着用期間の目安が決まっています。
絽 6月上旬~9月下旬
・絽縮緬(ろちりめん) 6月上旬~9月下旬
・麻絽(あさろ) 7月上旬~8月下旬
・楊柳(ようりゅう) 5月上旬~下旬、9月中旬~下旬
略装ならどんなデザインでもOKですが、フォーマルな単衣には白地に金・銀、白糸の刺繍が入ったものを合わせてください。

バッグ&草履
カジュアルシーンであれば、竹などの天然素材で編んだバッグや草履も◎。素材や編み方によって風合いが異なるので、いくつか持っておくとコーディネートの幅が広がります。麻でできたバッグ、アジアンテイストの布バッグ、巾着なども相性抜群です。礼装の場合は、クラッチバッグ、ビーズバッグ、利休バッグのいずれかを合わせるようにしましょう。

長襦袢
単衣の着物には、長襦袢も単衣のものを合わせるのが基本です。正絹やポリエステルなど色々な素材がありますが、夏は汗をかきやすいので自宅で洗濯できるものだと便利。7月~8月の真夏には、麻や絽、紗などより薄手の長襦袢が快適です。

肌着
暑い日は重ねる衣服を省略したいと思うかもしれませんが、着物に汗が付くのを防ぐために肌着は必ず身につけましょう。素材はポリエステルよりもコットンかキュプラがおすすめ。通気性と発汗性に優れていて、夏にぴったりです。

夏と秋で異なる単衣のコーディネート

コーディネートを考える時に1つ頭に入れておきたいのが、夏単衣・秋単衣という考え方。これは盛夏の前に着る単衣=夏単衣は夏帯で涼しげに装い、9月以降の秋単衣には冬物を合わせて季節を先取りするというものです。昔と今では衣替えのタイミングもズレてきているので必ずしもルールを守らないといけないわけではありませんが、少し意識してみるといっそう粋なコーディネートになるのでぜひ覚えておいてください。

夏単衣
透け感のある夏帯を締めます。帯揚げや帯締めは、清涼感たっぷりのシャーベットカラーが素敵です。

秋単衣
芯が入っていない冬物の帯(八寸名古屋帯など)を合わせます。小物は実りの秋を思わせるような深みのあるカラーが◎。カーキ、マスタード、ワインレッドなどの秋冬カラーをいち早く取り入れると、お洒落上級者に見えます。

まとめ

いかがでしたか。今回は単衣の着物について解説しました。季節に合わせて洋服を衣替えするように、着物もその時期に合った仕立てのものを選ぶことが重要です。さらに、素材やカラーにもこだわって小物1つ1つをコーディネートすることで、夏の着物ライフがいっそう楽しいものになるはず。暑さに負けずにこの夏も、ぜひお気に入りの単衣でたくさんお出かけしましょう。