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2022.09.15
コラム

着物の収納!桐たんすの魅力

桐たんすといえば、古くから嫁入り道具の1つとして愛されてきた家具。着物をはじめ、デリケートな衣類を保管するのに重宝されてきました。今では昔ほど目にする機会は多くないかもしれません。しかし衣類を守るさまざまな特性があり、時代が変わっても決して損なわれることのない不変的な価値があります。そこで今回は、着物の保管や収納に最適な「桐たんす」の歴史、優れた性能や種類、使い方のポイントなどをご紹介。長年愛され続ける理由をお伝えします。


【目次】
1 桐たんすとは
2 着物の収納は桐たんすがベスト! その驚くべき性能
3 桐たんすを使う時の注意点、お手入れについて 
4 まとめ

桐たんすとは

着物が好きな人にとって桐たんすは、一度は憧れたことがある特別な家具ではないでしょうか。それは単なる収納ではなく、熟練の職人が一棹一棹手作りする伝統工芸品だから。たんすとして組み立てる前段階、製材・乾燥・アク抜きにかける時間だけでまず約3年。下準備が整ったら、木目や色に気を配りながら同質の木材を選別し、伝統的な技法で本体を頑丈かつ隙間なく組み立てていきます。そして次に、表面を丹念に磨いて木目を際立たせ、天然の塗料と砥の粉(とのこ)を混ぜたものを刷毛塗り。乾燥させたのち、上から蝋を均一に塗り、仕上げに金具を取り付けてようやく完成です。全工程にいくつもの職人技が駆使され、量産型の家具とは一線を画す質感があります。


桐たんすの歴史

日本で最初に桐たんすが作られたのは江戸時代初期。江戸大火の際、いっせいに持ち出された車長持ち(収納箱に車輪を付けたもの)が道をふさぎ、大惨事を招いたことがありました。これをきっかけに車長持ちの製造が禁止され、代わりに普及したのがたんすです。特に桐たんすは軽くて持ち運びやすい上、火事にあっても燃えにくく、湿度調整にも優れていたため広く発展。当初は主に富裕層が使用する高級品でしたが、幕末から明治時代にかけて庶民の生活にも余裕が生まれ、手持ちの衣装や物が増えたこともあって、どんどん普及していきました。一部の地域では女の子が生まれると庭に桐の木を植え、嫁入りする際にその木で桐たんすを制作していたそう。現代では嫁入り道具の風習はほとんど残っていませんが、有名産地の桐たんすは着物を収納するための家具として変わらず人気です。さまざまな種類があるので、用途に合ったものを選んでください。


桐たんすの種類

・和たんす
着物の枚数が多い人におすすめ。上台の観音開きには衣装盆が数段備え付けられており、着物がシワにならないよう収納できます。下台の引き出しには、着物だけでなく普段着もたっぷりしまえて便利です。
・整理たんす
観音開きがない代わりに引き出しが多め。引き出しは密閉性が高いため、長期の保管にも適しています。着物は持っているけれど特別な日にしか着ないという人にぴったり。
・小袖たんす
整理たんすよりもコンパクト。それほど背が高くないので、お部屋においても圧迫感がないのが嬉しいところです。着物の枚数が少ない人向き。
・洋服たんす
観音開きの中にパイプが通っており、洋服をハンガーに掛けて収納できます。高価な毛皮のコートなどの保管にも最適。扉の内側には、ネクタイ掛けと鏡がついています。
・帯たんす
長い帯を出し入れしやすいように、機能的な作りになっています。着物と同様に大切な帯も、湿気やカビ、害虫を避けて収納可能。


着物の収納は桐たんすがベスト! その驚くべき性能

桐は原産地である中国をはじめ、アメリカ、カナダ、台湾、ブラジル、オーストラリア、フランスなど、世界中で自生・植林が進んでいます。日本でも北海道から鹿児島まで広く分布しており、中でも「会津桐(福島県)」「津南桐(新潟県)」「秋田桐(秋田県)」「南部桐(岩手県)」などが有名です。寒冷地では樹木の生育が遅く、木目がつまった美しい桐になるといわれています。落葉広葉樹である桐ですが、「木」と「同じ」と書くように、実はひと昔前まで木ではなく草の仲間に分類されていました。それは草の茎のように中が空洞になっているから。その特殊な構造もあり、ほかの木にはないさまざまな特性があります。桐材がたんすに向いている理由、そして着物の収納に適している所以をくわしく紹介していきましょう。


・とても軽い
日本の木材の中で最軽量、世界中にある10万種もの木材の中でも2番目に軽いといわれています。ちなみに1番はバルサですが、耐久性に欠けるため家具には不向き。軽量でありながら強度もあるという点で、桐の右に出るものはありません。持ち運びが楽だと古くから重宝されています。
・美しい
木目がまっすぐで美しく、気品と温もりがあります。国内桐は木目が繊細で、冬目(冬の間に刻まれる年輪。線が濃く細い部分)はややグレー系に感じることも。北米桐の冬目ははっきりとした茶色系でワイルドな印象、中国桐はほかと比べると黄みが強いなど、産地によって雰囲気が異なるのも面白いところです。

・腐りにくく、虫や菌を寄せつけない
腐敗を防ぐタンニンが豊富なほか、セサミン、パウロニン、グリメノールなど虫や菌を寄せつけない天然成分も多く含んでいます。防腐・防虫・抗菌という収納に欠かせない3つの効果が揃い、デリケートな着物の保管も安心。
・調湿性に優れる
桐は空気中の水分を素早く吸収できる調湿性に優れた木材です。大気中の水分量に応じて膨張・収縮し、たんすの中の湿度を一定に保ってくれます。そのためカビが発生しにくく、乾燥による生地の傷みも起こりにくいといわれています。
・燃えにくく、吸水性が良い
発火点が高くて熱伝導率が低く、熱せられても割れにくい桐。もし火がついたとしても表面が炭化するだけで、内部まではなかなか延焼しません。また燃焼した桐は多くの水分を取り込むことができ、消火活動によって水がかかると瞬時に耐火性に。火を寄せつけないのと同時に、膨張して隙間をふさぎ、中の衣類を守ってくれます。「火事になったら桐たんすに水をかけろ」と言われるのはこのため。
・水害に強い
「豪雨や津波に遭ったが、桐たんすの中の衣類は無事だった」という話を聞いたことはありませんか。これは桐が多くの空気を内包した構造をしており、水がかかっても浸透するのは表面までで、深部に到達するまで時間がかかるから。特殊な構造が、火と水どちらにも強いという奇跡の性質を生み出します。
・成長が早い
成木になるまでに50〜100年かかる広葉樹が多い中、桐は15〜25年もあれば成長しきります。成長スピードが早いということは、循環性に優れ資源活用がしやすいうこと。森林資源・温暖化問題の面からも環境にやさしいエコな木材です。
・再生力がある
ほかの堅木と違い、桐は汚れても削れば元の木肌を取り戻します。桐たんすは2・3回は再生できるので、親から子、そして孫へと長く受け継ぐことが可能です。
・控えめな香り
桐にはヒノキやスギのような豊かな香りはありません。しかしその分、好みに左右されずに誰にでも受け入れやすく、住環境に馴染みやすいという利点があります。空気を多く含む構造により、においを吸着する効果も。
・狂いが少ない
湿度が高い梅雨と、乾燥する冬とで環境の差が大きい日本の気候。木材は環境の変化に合わせて伸縮を繰り返しますが、そうするうちに劣化が進んで縮んでいきます。桐は比重が小さく含水率が低いため、何度伸縮しても安定的。数十年単位で見ても狂いが少ないといわれています。

桐たんすを使う時の注意点、お手入れについて

多くのメリットがある桐たんす。しかし、火に強いといっても燃えないわけではありませんし、絶対にカビや虫を寄せつけないわけでもありません。着物と同様にデリケートな素材でもあるので、正しい使い方をして定期的にお手入れする必要があります。


正しい使い方

・水平に置く
桐たんすは気密性を高めるため、細工が精巧になされています。置き狂いがあるまま使用していると歪みが生じて、扉の開閉や引き出しの出し入れがスムーズにできなくなることも。最悪の場合、壊れてしまったり、ケガの原因にもなるので要注意です。家屋の床は完全に水平とは限りません。まずは置き場所の状態を確認し必ず水平を保つように設置しましょう。和室に置く時は畳の縁にかからないようチェック。
・上に物を置かない
重いものを載せることも歪みの原因に。また地震などの天災の際、物が落ちてきてケガをする恐れもあります。特に水の入った花瓶を置くのはNG。危ないだけでなく、落下の時に水がかかるとシミになります。
・湿度がこもらないよう工夫
ほかの木材と比べて吸湿性に優れている桐たんすですが、環境が悪いとカビや傷みが発生します。設置の際は壁から5cmほど離して、裏側にも空気が流れるようにしましょう。長期間閉め切った部屋は空気が循環せず湿気がたまりやすいので、特に喚起を心がけてください。また着物を着用した後は、ハンガーにかけて汗を乾燥させてからしまうことも重要です。
・熱やエアコンの風を避ける
砥の粉(とのこ)と蝋引きで仕上げてある桐たんすは、高温になると蝋が溶けて変色してしまうことがあります。石油ストーブやファンヒーターは近くで使わないようにしましょう。直射日光も日焼けの原因となるので避けるのが吉。エアコンの風も割れや変形、カビの原因になるので、直接当たらないよう気を付けましょう。
・水や油は大敵!
桐たんすの表面に使われているのは、一言でいうと粘土状の土を水で溶いた水性塗料。これは桐材の呼吸を妨げないための工夫です。ですから水と油は厳禁。汚れたからといって濡れ雑巾で拭くと塗料が落ち、さらに酷い状態になることがあります。とはいってもうっかり濡れた手で触ったり、気づかないうちに皮脂がついてしまうことはあるので、普段は油単(たんすカバー)をかけておくのがおすすめ。日光による色あせやキズの外的要因も防いでくれます。

桐たんすのアフターメンテナンス

・自分でできる日常のお手入れ
ホコリはカビやシミの原因となるため、こまめに取り除きましょう。柔らかく乾いた布でやさしく拭いてください。濡れ雑巾や化学雑巾は絶対に使用しないこと。水や油がついてしまった時はゴシゴシこすらず、柔らかい紙を当てて水気を吸い取り、砥の粉(とのこ)を振って乾かします。
・リペアはプロにお任せ
桐は柔らかくキズつきやすいのが難点。しかし、洗い直しをすることで新品同様によみがえらせることも可能です。表面の汚れを洗い落として削り直すと、きれいな木肌が出てきます。さらに塗装や締め直し、金具の交換も行えば、見違えるほど美しくになります。半世紀に一度ほどのペースで、専門の業者にリペアをお願いしましょう。きちんと手をかけてあげれば、100年以上も良い状態で使い続けることができます。


その他の注意点

・安価な桐たんす
少しでも購入費用を抑えようと、安易にリーズナブルな桐たんすに手を出すのはおすすめしません。それはやはり素材の質や作りが格段に劣るから。本来の魅力である調湿性や防虫性が低かったり、壊れやすかったりするので注意してください。
・中古やアンティーク品
有名ブランドの桐たんすが、お値打ち価格で手に入れられるのはやはり魅力です。その一方で、品質がピンキリだという問題点も。中古やアンティーク品は、キズ、変色、歪み、隙間などが生じているのが一般的。例えリペアされていたとしても、気密性という点では新品には及びません。またリペアの質も店舗によってさまざまなので、しっかり見極める必要があります。

まとめ

質の良い桐たんすは、車が1台買えるほど高価なものもあります。だからこそメリットやデメリットをきちんと理解した上で、本当に自分に合った一棹を選んでほしいもの。着物を愛するのと同様に、収納にもこだわってみませんか。