すっかり秋も深まり、お出かけが気持ちいい季節になりました。そこで今回は、着物でお出かけする時の注意点やあると便利な持ち物、着物の時の防寒対策をご紹介します。着物で行くと何倍も気分が上がる秋のお出かけスポットも一緒にピックアップ!着物が似合う素敵な場所ばかりのなので、ぜひチェックしてみてください。
着物でお出かけする時の注意点
着物を着てお出かけする時は、ある程度の準備が必要です。特に着物を着慣れていない人は、しておくべきことや持ち物をきちんと確認しておくと安心。着物で楽しい思い出をたくさん作るため、あらかじめポイントを押さえておきましょう。
着物でお出かけする前に
◆ まずは一度、着物をハンガーにかける
着物に防虫剤のにおいが染みついていることがあります。独特な香りを飛ばすため、お出かけの前に和装ハンガーにかけて空気にさらしておきましょう。この時に畳みシワを伸ばしておいたり、長襦袢と着物のサイズが合うかどうかも確かめておくと、当日の準備がスムーズです。
◆ 長襦袢に半襟がついているか確認
最近は半襟をつけたまま出せるクリーニング店も増えてきているので、半襟がついた状態で長襦袢を保管しているケースも多いかと思います。しかし自宅で洗う派だと、半襟を外してそのまま…ということも。長襦袢に半襟をつけ忘れていないかきちんとチェックしてください。
着物でお出かけした後は
◆ 湿気を飛ばすため着物をハンガーにかける
1日着用した着物は、それなりの量の汗を吸収しています。着用後すぐ箪笥にしまってしまうと、湿気がこもって生地が傷む原因に。必ず和装ハンガーに干して湿気を飛ばしてから収納しましょう。
◆ 汚れがついていないかチェック
着物でお出かけすると、食べ物のシミや泥ハネが付着してしまっている場合があります。特に衿周りや袖口は汚れやすいので要注意。もし汚れが見つかったらホームクリーニングするか、専門の業者でメンテナンスを。
◆ 肌着や足袋を洗濯
できるだけ早めに肌着や足袋は洗濯しておきましょう。生地が正絹じゃなければ、手洗いもしくは洗濯機でホームクリーニングしても問題ありません。正絹ならクリーニング店できれいにしてもらって。
お出かけの時に持っていくと便利なアイテム
いざという際にあると助かる持ち物をご紹介します。お出かけしない時でも普段から着物バッグの中に忍ばせて保管しておくと、うっかり忘れてしまうことがありません。
◆ 着物エプロン
ナプキンがないお店で食事をする時に大活躍。撥水加工が施されているものが多く、食べこぼしからしっかり着物を守ってくれます。使わない時は小さく折り畳んでバッグの中に入れておけるのも便利です。
◆ 大きめのハンカチや手ぬぐい
お茶や食事の際に着物が汚れないよう膝の上に広げておきます。着物エプロンがない人はこれで代用してもOK。
◆ 安全ピン
着崩れをさっと直せるお役立ちアイテムです。袖から襦袢が飛び出してしまった時など、着物の裏の目立たない部分に留めて応急処置を。
◆ クリップ
手を洗う時に袖をクリップで留めておくと、濡らさずにすみます。
◆ 扇子
肌着、襦袢、着物と重ね着していると、暑く感じることがあります。そんな時に扇子があれば上品に涼が得られておすすめ。あおがずに帯に挟んでおくだけでもこなれた雰囲気が出せるので、一本は持っておきたいアイテムです。
◆ 風呂敷
お買い物をして持ち物が増えたけれど、小さな着物バッグには入りきらない。そんな時に風呂敷で包んであげると、持ち運びしやすい上にとても風流です。ごちゃつく荷物にかけて目隠しにしたり、ナプキンの代わりにしたり、さまざまに活用できます。
◆ 足袋カバー、替えの足袋
お座敷へあがる際に足袋が汚れていると失礼に当たります。あらかじめ足袋カバーをつけておくか、替えの足袋を用意しておくと安心。
◆ 絆創膏
慣れない草履で長時間歩いていると、靴擦れを起こしてしまうことがあります。念のため常備しておきましょう。
◆ ヘアピン
着物にあわせてせっかくセットしたヘアスタイルが乱れてしまっては大変です。ヘアピンがあればササっと直せるので数本持ち歩いておくのがベター。
着物の防寒対策
11月ともなると肌寒い日が徐々に増えてきます。木枯らしに吹かれて体を冷やさないよう、防寒アイテムのお支度もそろそろ進めておきましょう。着物とのコーディネートを考えるのもこれからの季節の楽しみです。
着物に合わせる上着の種類
◆ 羽織
洋服でいうところのカーディガンやジャケットにあたる上着です。普段着用の着物に紋付羽織を重ねると略礼装になったり、色無地の着物に小紋羽織をまとうとお洒落な装いになったり、種類によって着物の格や雰囲気を変えることができます。基本的に室内でもそのまま着用していて問題ありませんが、茶室では必ず脱ぐこと。
◆ 道中着(どうちゅうぎ)
洋服に例えるとコートのようなアイテム。衿周りが着物のようになっているのが特徴です。羽織るともう1枚着物をまとったような雰囲気になります。あくまでも外出用なので、室内では脱ぐのがマナー。
◆ 道行(みちゆき)
こちらもコートにあたる外出用の上着です。道中着との違いは、「道行衿」という四角くかたどられた襟ぐりのデザイン。道中着よりもややかしこまった装いになり、フォーマルからカジュアルまで幅広く使えて重宝します。室内に上がる時は玄関先で脱ぎましょう。
便利な着物防寒アイテム
◆ 雨コート
着物用のレインコートのこと。着物はぬれると雨染みになってしまうので、雨や雪の日は必須です。汚れを防ぎながら防寒もしてくれます。
◆ 着物用ケープ
厚手の生地でできていて1枚羽織るだけでも温かくなります。見た目的にもやわらかい雰囲気なので、かわいらしくコーディネートしたい時やカジュアルシーンにぴったり。
◆ ショール、ストール
洋服のものをそのまま着物で使っても大丈夫。肩にかけるだけなので防寒性では着物コートに劣りますが、頻繁に脱ぎ着する時はこちらのほうが便利。寒さをしっかり防ぎたい日は、毛皮やカシミヤでできたものを選んでください。
◆ 雨草履
靴と違って草履は足袋がむき出しなので、足元から底冷えしてきます。外に長くいるような場合は、つま先にビニールフードをつけた雨草履を履いておくと風が当たらず冷え防止になります。
着物でお出かけスポット東海エリア14選
住み慣れた街並みの中にも、着物が似合う場所はいろいろあります。今の時期なら紅葉も楽しみ。せっかく着物を着てお洒落したなら、愛知県外まで少し足を伸ばしてみるのもおすすめです。
豊橋公園(愛知県豊橋市)
豊橋市民のシンボル的な公園。広々とした敷地内には吉田城をはじめ、お抹茶をいただける三の丸会館など和のスポットが点在。豊橋市美術博物館で芸術の秋も満喫できます。道すがら紅葉も楽しめる魅力満載の公園です。
■ 豊橋公園について
二川宿本陣資料館(愛知県豊橋市)
東海道五十三次33番目の宿場、二川宿と近世の交通にまつわる資料を公開しています。資料館の隣には、江戸時代に本陣を勤めた馬場家のお屋敷、旅籠屋、商屋の遺構も。当時の姿が残されていて、雰囲気ある和の空間を見学できます。季節ごとにイベントも行われているので、ホームページで最新情報をチェックしてみてください。
■ 二川宿本陣資料館について
豊橋市公会堂(愛知県豊橋市)
大通りからもひときわ目を引く豊橋市公会堂。鉄筋コンクリート造りにおける近代的建築物の発祥ともいわれており、風格ある佇まいや優美な意匠が高く評価されています。ロマネスク様式に彩られた建物は、どこを背にしても絵になる場所ばかり。和と洋が織り成すレトロモダンな趣を楽しんで。
■ 豊橋市公会堂について
豊川稲荷(愛知県豊川市)
日本三大稲荷の1つ。商売繁盛のご利益を求めて全国から年間500万人もの参拝客が訪れます。風格ある本殿はもちろん、狐像が所狭しと並ぶ霊狐塚も圧巻。毎年11月の第3土・日曜日には秋季大祭も開催されます。参拝の後は、周辺の門前町を散策することもお忘れなく。豊川いなり寿司などのご当地グルメを扱う飲食店やみやげもの店が100店以上並び、見ごたえありです。
■ 豊川稲荷について
鳳来寺山(愛知県新城市)
山全体が国の名勝・天然記念物に指定されており、秋は紅葉が絶景です。ふもとから山の中腹にある古刹・鳳来寺までは1425段もの石段で結ばれています。長い参道の途中には、日本一の高さを誇る傘杉など奥三河の自然がいっぱい。2022年11月12日~11月27日まで鳳来寺山もみじまつりも開催予定。
■ 鳳来寺山について
岡崎公園(愛知県岡崎市)
徳川家康生誕の地、岡崎城を中心とした歴史公園。岡崎城は東海道きっての名城として知られ、白亜の天守閣が壮麗です。秋はなんといっても、お城と紅葉の雅なコラボレーションが見逃せません。その他にも神社や料亭、歴史資料館など見どころが多く、1日たっぷり楽しめます。
■ 岡﨑公園について
やきもの散歩道(愛知県常滑市)
焼き物のまち、常滑市にある話題の観光モデルコース。レンガ造りの煙突や窯、黒塀の工場、陶器の廃材を利用した坂道など、趣ある風景を眺めながらのまち歩きが人気。常滑市陶磁器会館から徒歩19分で辿り着くINAXライブミュージアムでは、タイルアートなどさまざまな体験もできます。
■ やきもの散歩道について
ノリタケの森(愛知県名古屋市)
世界に名を馳せる日本発の洋食器ブランド、ノリタケ。その魅力を存分に味わえる陶磁器の複合施設がノリタケの森です。赤レンガ建築やトンネル窯煙突の跡といった、近代化産業遺産群が大切に保存・利用されており、絵になる風景が広がります。クラフトセンター2階には、お皿やマグカップに絵付けができるコーナーも。ノリタケの食器でもてなしてくれるカフェやレストラン、ショップもあり、洋食器好きにはたまらないスポットです。
■ ノリタケの森について
犬山城下町(愛知県犬山市)
愛知県が誇る国宝、犬山城。室町時代に建てられ、天守は日本で現存する最古のものです。周辺に今も残る城下町の古い街並みは、着物でのロケーションフォトと相性◎。伝統を守り続ける老舗や、古民家を改装したカフェなどがすらりと軒を連ねています。食べ歩きはもちろん、トンボ玉づくりやレザークラフトといった各種体験も要チェック。市内を流れる木曽川では遊覧船観光も。屋形船から眺める犬山城も風流です。
■ 犬山城下町について
博物館 明治村(愛知県犬山市)
本物の明治建築を保存・展示している野外博物館。門をくぐった瞬間、明治時代にタイムスリップしたかのような懐かしい空気に包まれます。和スウィーツや日本酒などのグルメ、SLや京都市電の乗車体験もおすすめ。フォトジェニックなロケーションが広がり、あちこちで記念撮影したくなることまちがいなし。
■ 博物館明治村について
日本大正村(岐阜県恵那市)
大正時代の街並みがまるごと保存されており、重厚な造りの村役場や土蔵造りの資料館など、敷地内のいたるところで大正文化に出会えます。四季折々の自然が楽しめる明智の森では、紅葉のほかにもサザンカ、フジバカマ、パンジーなど秋の植物が見ごろを迎えます。
■ 日本大正村について
浜松城公園(静岡県浜松市)
徳川家康が17年間在城した浜松城は、江戸幕府300年の原点となった出世城。お城の中は徳川家康にまつわる収蔵品を展示した資料館になっています。また街中にありながら非常に緑が豊かな公園であるのもポイント。浜松城の景観にマッチした日本庭園、芝生広場などもあり、秋はお城と紅葉の取り合わせも楽しめます。その他、園内には浜松市美術館も。常設展以外にも企画展が活発に行われているので、ぜひ立ち寄ってみてください。
■ 浜松城公園について
浜松市秋野不矩美術館(静岡県浜松市)
女流日本画家、秋野不矩の作品を収集・展示しています。場所は彼女の出生地である浜松市天竜区の緑あふれる丘の上。自然素材をふんだんに用いた建物自体が、他に類を見ない独特な趣にあふれ、訪れる人を魅了します。秋野不矩の作品の汚れのなさに土足は似合わないという考えから、履物を脱いで鑑賞することになっているのも面白いところです。
■ 浜松市秋野不矩美術館について
関宿の古い街並み(三重県亀山市)
東海道五十三次47番目の宿場町として栄えた関宿は、現在も街道沿いに町屋が200棟以上も連なり、江戸後期から明治時代にかけての風情がたっぷり。当時の旅籠屋を見学したり、古民家カフェやレストランでグルメを楽しんだり、ノスタルジックなひとときに浸ることができます。
■ 関宿の古い街並みについて
まとめ
いかがでしたか。お気に入りの着物や帯を揃えたら、次はやっぱりお出かけしてみたくなりますよね。気候が穏やかな今の季節は、1年のうちでも着物でお出かけするには絶好のタイミング。着物初心者は近場から、上級者なら思い切って県外までぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。洋服で行くのとはひと味違う、ちょっぴり背筋が伸びるような素敵な気分で散策が楽しめるはず。おひとり様でのんびりと、女子旅やデート、家族旅行でわいわいにぎやかに、さまざまなシチュエーションで着物をまとってみてください。