愛知県豊橋市で振袖や学生服・学校用品、着物、七五三衣装を取り扱う(株)山正山﨑「お知らせ」ページです。

お知らせCOLUMN

2023.12.08
着物

温故風流(おんこふりゅう)展のご案内

-温故風流とは-

常に最先端であった都の文化を現代に再生する

「温故」とは、文字通り古きを温めること。先人たちの手仕事に真摯に向き合い、そこに宿る技や心を紐解くことで現代に甦らせ活かすべきものを手繰り寄せる。「風流」(ふりゅう)とは、「雅」とも言い換えられる言葉で、宮中において育まれてきた美的概念を指す。かつてすべての流行を作り出す発信地であった都、「御所」を中心とした都の文化は品格がありながらも常に新しいものを生み出す勢いを有していた。

こうした都風を「みやこぶる」から「みやび」と呼び、「風流」と呼んだ。

「温故風流」とは、”古い歴史を参照としつつ現代に通じる品格のある雅な文化を京都から発信する”という意味を込めたものである。

-有職文様とは-

宮中の儀式の中で定まってきた文様の格式

有職とは、宮中や武家の行事や儀式、官職などに関する歴史や知識を指す。このことから「有職文様」とは一般に公家の装束や調度などに使われてきた伝統的文様を意味する。大陸から伝わってきた文様、自然の事物を抽象化した文様などが儀式の中で使われていく中で、次第に格式や様式が定まっていたと考えられる。代表的な文様としては、「唐草文」「菱文」「襷文」「亀甲文」「雲鶴文」などの複雑なバリエーションがありいずれも格調高く優美な特徴を持っている。

-かさねの色目とは-

平安の御所文化の中で生まれた高貴な色彩感覚

宮中の装束で用いられる色には、季節や儀式によってその使い方が決められているものもあった。その中には色の合わせ方、重ね方によって季節や植物などの名称がつけられている例があり、これを「襲(かさね)の色目」と呼ぶ。

例えば萌黄色と紫を重ねると「紫苑」。表に白、裏に紅を重ねると「一重梅」となる。また几帳などの調度類では経糸を染め分けることで色を変化させる技法を使いグラデーションを表現している例もある。同じ「襲の色目」でも着用する人の年齢によって濃淡を変化させるなど色を使って様々な事柄を表現しているのも特徴である。

12/15(金)~12/18(月)温故風流展のみどころ

王朝文化の美意識にならい、その雅な心を現代に問うという「温故風流」。その名付け親であり文化的背景の監修をご担当頂いたのは山科言親氏です。今回の展示では今までの「温故風流」に加え、新たに王朝時代の色彩感覚を取り入れた新作を取り揃えてご覧いただけます。山科氏よりのメッセージとして

「平安時代は自然美への繊細な感性のもと、染色技術を発展させ衣服に開花させた時代と言えます。紫式部が記した世界最古の長編小説『源氏物語』と日記『紫式部日記』には千年以上前の『重ね色目』が登場し、往時の人々の装いへのこだわりを現代においても奇跡的に垣間見ることが出来ます。紫式部が目にした色への憧憬、絶え間なく色と向き合ってきた先人たちの思いは我々の古代染色伝承への探求心を掻き立ててやまないのです」

という言葉を頂きました。この貴重な機会に皆様のお越しを心よりお待ちしております。