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お知らせCOLUMN

2024.01.11
コラム

成人式後の振袖のお手入れ

2024年成人の日をお迎えになりました皆さま誠におめでとうございます!また、ご家族様におかれましては、この日を無事にお迎えになられましたことを心よりお喜び申し上げます。晴れの日を無事に迎えられて、ほっとひと息ついているお嬢様も多いかと思います。ところで成人式に着た振袖ですが、お手入れはもうお済みですか。レンタル品であればお店がメンテナンスしてくれるため問題ありませんが、自前の振袖だとご自身でお手入れしなければなりません。大切な振袖を長く美しく保つためにも、きちんとお手入れしてから収納するようにしましょう。

【目次】
1 脱いだ後、すぐに行う振袖のお手入れ
2 帯や小物類のお手入れ
3 振袖の正しい保管方法
4 まとめ

脱いだ後、すぐに行う振袖のお手入れ

すでに成人式を終えられた方はもちろん、来年、再来年以降に成人式を迎えられる方にも気を付けていただきたいのが、振袖のお手入れです。1度着用した振袖には、必ずどこかに汚れが付着しているもの。真冬でも振袖や長襦袢には思いのほか汗が染み込んでいますし、皮脂も付いています。「数時間しか着ていないから」「特に目立った汚れもないから」と、そのまま何もせずにタンスにしまい込んでしまうと、生地に含まれる湿気によってカビが発生したり、汗や皮脂が後々シミになってしまったりと、さまざまな問題が起きてきます。何年か後に振袖を着ようと思ったら、ダメージが酷くてショック…着られなかった…なんてことにならないよう、基本的なお手入れだけはきちんとしておきましょう。

振袖を干して湿気を飛ばす

振袖によく使われている正絹は湿気に弱く、虫食いも生じやすいデリケートな素材。そのためまずはよく乾かすことが大切です。振袖をハンガーにかけ、直射日光が当たらず風通しの良い室内で一晩程度1~2日(最低でも2時間以上)陰干しするようにしましょう。この時に使うハンガーは、袖もきちんと広げて干せる和装用ハンガーだとベスト。色ヤケを防ぐため、蛍光灯などの室内の電気はなるべく消しておくと安心です。また、中にはしっかり干さなければと1週間以上ハンガーに吊るしっぱなしにする方もいますが、そうすると今度は生地のたるみや色ヤケを起こす原因に。干す期間と場所には充分注意しましょう。

振袖に汚れやほつれがないかチェック

ハンガーに振袖を広げてかけると、着ている時には見落としていた汚れも気が付きやすくなります。特に汚れやすいのは、衿・袖・裾の3ヶ所。シミは時間が経つほど落ちにくくなるため、もし付着していたら早急にクリーニングに出しましょう。

衿の汚れ
ファンデーションのほか、食べ物や飲み物のシミが付きやすいのが衿まわりです。お顔に近い箇所なだけに、万が一シミが残ると大変目立ってしまいます。

袖の汚れ
手首が直に触れるため、袖口は皮脂が付着しやすい部分。そのまま放っておくと黒ずんだシミが残ってしまいます。表側だけでなく裏側もしっかり確認してください。また、袖底(袖の一番下の部分)も汚れやすいところです。階段を昇り降りした時や車の乗り降りの際に長い袖が地面に付き、汚してしまっている可能性があります。こちらのチェックもお忘れなく。

裾の汚れ
雨や雪の中での成人式だった場合、裾には泥や水がハネています。広範囲に飛び散っていることも珍しくないため、見落とさないようご注意ください。晴れの日でもホコリで汚れていることがあるので確認するようにしましょう。

 その他、着物を着慣れていないお嬢様は、知らず知らずのうちに振袖に負荷をかけがちです。脇がほつれていたり、長襦袢のお尻が裂けていることもあるので、汚れと一緒にくまなくチェックしておきましょう。

振袖をクリーニングに出す

シミやほつれを見つけたら、ただちに専門業者でメンテナンスしてもらうのがおすすめ。汗は付着した直後は目立ちませんが、時間の経過と共に変色して黄ばみが浮かび上がってくることがあるので、一見きれいでも一度はクリーニングに出しておいたほうが安心です。ただし、成人式直後はクリーニング店が大変混み合い、返却までに1ヶ月以上の時間を要することもあります。成人式のすぐ後に短大や専門学校の卒業式を控えていて、袴に振袖を合わせたい場合、返却が間に合わなかったら大変です。目立ったシミやほつれがなければ、卒業式の後にまとめてクリーニングに出しても良いかもしれません。呉服店によっては、購入特典としてクリーニングをサービスしているところもあるので確認してみましょう。

帯や小物類のお手入れ

振袖姿を完成させるためには、帯や長襦袢、帯締め、草履など、たくさんのアイテムを使用します。これらの品々もしっかりお手入れしてから収納することが重要です。振袖以外のアイテムのメンテナンス方法も1つ1つご紹介します。

長襦袢
振袖以上に汗を吸っているのが長襦袢。その上、正絹でできていることが多いため取り扱いには注意が必要です。着用後は振袖と同じようにハンガーにかけて陰干しし、充分に湿気を飛ばしてからクリーニングに出すようにしましょう。半衿を付けたままでOKなクリーニング店もあります。出す前に確認してみてください。


こちらもまずはハンガーにかけてよく乾かし、シミやほつれがないかチェックします。じっくり見てきれいな状態であれば、毎回クリーニングに出す必要はありません。雨に濡れてしまったり、酷いシミやシワがある際はクリーニングに出してください。振袖用の帯は、複雑な「変わり結び」をすることが多いため、表面の糸がほつれていることがよくあります。糸がかなり出てしまっていたら、プロにお直ししてもらいましょう。

肌着、足袋、裾よけ
肌に直接触れるものは、着用するたびにお洗濯するのが基本です。綿やポリエステル素材のものであれば、ネットに入れて家庭用の洗濯機で洗うことができます。刺繍などが傷まないか心配な方は、おしゃれ着用洗剤を用いてやさしく手洗いすると安心です。しかし、素材が正絹の場合、水に濡れると一気に縮んでしまうことがあります。お洗濯する時は必ずタグの素材や洗濯表示を確認の上、行うようにしてください。

腰紐、伊達締め
洗濯機で洗うと縮んでしまう可能性があります。陰干し後、シワにならないよう丁寧に畳んで収納を。

帯締め、帯揚げ
ハンガーを用いて陰干しし、特に汚れていなければ整理して収納します。帯締めはそのまましまうと房がバサバサに広がってしまったり、変なクセがついて曲がってしまうことがあるため、房止めを使うと◎。きれいにまとまった状態で保管することができます。帯揚げは手で軽くシワをのばしてきちんと畳んでから収納します。シワが気になるからといってアイロンを使うと、生地が傷んだり絞りがなくなってしまうことがあるので気を付けてください。シミやほつれが目立つようならクリーニングへ。

ショール
ハンガーにかけて陰干しします。タバコなどの匂いがなかなか取れない場合は、少し長めに1週間程度干してみましょう。汚れや匂いが気にならなければ、通気性の良い大きめの箱に収納します。何か問題があればクリーニングに出してください。

草履
汚れをそのままにしておくと、そこからカビが広がってしまうことがあります。草履の素材は水に弱いことが多いため、汚れは乾いた布でやさしく拭き上げましょう。それだけでは落としきれない時は、固く絞った濡れ雑巾で拭いてください。また草履は台が厚く、中に湿気が溜まりやすい構造になっています。成人式が雨だった場合はもちろん、晴れていたとしても、よく乾かすことが大切です。直射日光が当たらない風通しの良い場所で、壁に立てかけ、底に空気を通すように陰干しします。以上のことができたら、鼻緒の形を元の状態に整えて、箱にしまって収納しましょう。箱に小さく穴を開けておくと、空気が循環して湿気が溜まりにくくなります。

バッグ
やわらかく乾いた布で汚れを落とします。バッグの中に出し忘れているものがないか確認してから収納を。草履をしまう時と同様に、箱に空気穴を開けておくと良いでしょう。バッグと草履はセットになっていることが多いですが、どちらもビニールには入れずに通気性の良い箱に入れて保管するのがおすすめです。

振袖の正しい保管方法

ひと通りのお手入れが済んだら、次は収納です。保管方法を誤ると、カビや虫食いなどのトラブルを招くことがあります。逆に正しく保管が出来ていれば、ご自身の子へ、さらに孫へと美しい状態で受け継いでいくこともできるのが振袖の魅力です。ぜひこの機会に正しい知識を身に着けて、思い出の振袖を大切に保管しましょう。

振袖は清潔なたとう紙に包む

振袖の保管に不可欠なたとう紙。振袖を購入した際についてきたものをそのまま使っている方もいるかと思います。たとう紙は湿気を吸ってカビの発生を抑制する効果があるほか、チリやホコリを避けて虫食いを防止するのにも役立ちます。ただし、何年も使っていると吸収した湿気で黄ばんできたり、最悪カビが生えてくることもありえます。せっかくお手入れした振袖を、不潔なたとう紙で包んでしまっては元も子もありません。変色してきたら取り換えの目安だと思ってください。

振袖はシワにならないよう丁寧に畳む

慣れていないと難しそうな振袖の畳み方。しかし一度覚えてしまえばそう難しい作業ではありません。今回は基本の「本畳み」の手順をご紹介します。振袖以外の着物を畳む時にも使えるので覚えておきましょう。

1.まずは振袖をゆったり広げられるスペースを確保します。ホコリなどが付かないよう、あらかじめきちんとお掃除しておきましょう。充分なスペースが用意できたらたとう紙を広げ、その上で振袖を畳みます。
2.左手側に衿、右手側に裾がくるよう、振袖を横向きに置きます。手前側の下前を脇縫い線に合わせて内側に折り畳みます。
3.下前の衽(おくみ)を、衽線に沿うようにして手前側に折り返します。この時に首の後ろ側の衿を内側に折り畳んでおくとスムーズです。
4.2で折り返した下前に重ねるように、上前の衽を畳みます。この時、裾の下前と上前の褄先(つまさき)、衽がズレなくきれいに重なっているか確認しましょう。衿や肩の周辺の縫い目にシワが寄っていないかもチェック。
5.背縫い線に沿って上前を手前に折り畳みます。下前の仮縫い線と揃えると美しいです。両袖もぴったり重なるように整えます。
6.上前側の袖を袖付け線で折り返し、身頃の上に重ねます。
7.6と同じやり方で下前側の袖も身頃の下に折り込みます。やりにくければ裏返して行っても構いません。その場合、これまで畳んだ振袖が崩れないよう注意してください。
8.裾を持って身頃を2つに折り畳みます。下前側の袖の袂(たもと)も一緒に折り返しましょう。仕上げにシワをしっかり伸ばせば完了です。そのままたとう紙で包みます。

振袖をタンスにしまう

振袖を畳んでたとう紙に包んだら、そのまま平らの状態で保管します。振袖は正絹という大変デリケートな素材でできているため、洋服のように吊るして保管していると、振袖自体の重さで徐々に生地が傷んできてしまいます。本畳みにしたものをハンガーなどにかけて保管するのはやめましょう。保管場所は、直射日光が当たらず風通しの良い部屋であることが重要です。なおかつ調湿性や防虫性に優れた桐タンスであればベストですが、高価なものなので用意するのが難しいご家庭も多いかと思います。その場合は桐以外の木製タンスで、後述の虫干しの回数を増やして保管するのも良いでしょう。プラスチック製の収納は通気性が悪く湿気が溜まりやすいため、避けたほうが無難です。

振袖は半年~1年に1回は虫干しをする

虫干しとは、着物をタンスから出して湿気を飛ばすお手入れのこと。定期的に行うことでカビや虫を寄せ付けにくくすることができます。やり方は、振袖をハンガーにかけて広げておくだけでOK。空気が乾燥した春や秋のよく晴れた日を選び、正午をはさんで4時間程度干しておくのがおすすめです。ついでにシミやほころびなどがないかもチェックしておきましょう。

まとめ

いかがでしたか。今回は振袖を着た後のお手入れについてまとめました。振袖はメンテナンスを重ねて大切に保管していけば、何十年も着続けられる息の長い衣装です。着用ごとに状態を確認するのは少し手間かもしれませんが、ダメージが軽いうちに早めに対処していくことで、結果的にメンテナンス費用を抑えることもできます。今年の成人式で振袖を着てまだお手入れがお済みでない方はさっそく取り掛かってみましょう。