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お知らせCOLUMN

2024.04.25
コラム

着物の正しいお手入れ

みなさん着物を着た後のお手入れはどのようにされていますか。きちんとポイントを押さえてできていれば問題ありませんが、なんとなくの自己流で済ませている、または全く何もせずに収納している、そんな方は後々トラブルに見舞われることも…。そこで今回は、脱いだ後すぐにすべきお手入れと、定期的にやると良いお手入れについて解説します。この機会に正しいやり方をマスターしましょう。

【目次】
1 着物のお手入れ~脱いだ後すぐにすべきこと
2 すぐにやるべきその他アイテムのお手入れ
3 着物のお手入れ~定期的にすべきこと
4 まとめ

着物のお手入れ~脱いだ後すぐにすべきこと

着物は正絹という非常にデリケートな素材でできています。そのため何もケアせずすぐにタンスにしまい込んでしまうと、さまざまなトラブルが起きがちです。「汚れを放置してしまい頑固なシミになってしまった」「カビや黄ばみが広がってしまった」などのトラブル例がよく挙げられます。着たいと思って久しぶりに着物を広げてみたら、ダメージがひどくて着られなかった…なんて悲しい事態を避けるためにも、脱いだ後は必ず以下のお手入れをしましょう。

着物を和装ハンガーにかけて干す
まずは手をきれいに洗い、着物を脱ぎます。この後すぐに畳んでしまってしまうと、着物に付いた汗のせいでカビや黄ばみが広がってしまうことがあります。1日お出かけしたら、夏はもちろん冬でも着物は想像以上の汗を吸収しています。この汗をしっかり乾かすために、脱いだ着物は和装ハンガーにかけて干しましょう。しっかり乾かそうと思って日当たりの良い場所に干してしまうと生地が日焼けしてしまうため、風通しの良い日陰を選ぶことも大切です。干す時間は数時間から一晩くらいでOK。こうすることでシワもある程度取れます。何日も吊るしっぱなしにしていると今度は着物自体の重みで生地が傷んでしまうため、放置するのはやめましょう。※和装ハンガー:着物の長い袖もしっかり広げて干せる専用ハンガーのこと

汚れが付着していないかくまなくチェック
着ている時には気づかなかった汚れも、和装ハンガーにかけて見ると発見しやすくなります。見つけたら分かりやすいよう一旦糸で印をつけておくのがおすすめ。また、シミは汚れによって落とし方のアプローチが変わってくるので、分かるようなら何のシミなのかメモしておきましょう。汗ジミ程度であれば、水で濡らしたタオルでやさしくふき取る、もしくは霧吹きで部分的に水を含ませてタオルで叩き、そのまま風を通して乾かせば大丈夫。頑固そうな汚れは無理に自分で対処せずに、プロの手でクリーニングしてもらったほうが安心です。シミはなるべく早めにお手入れしたほうがきれいに落ちやすく、メンテナンスにかかる費用も安く抑えられます。

■裾まわりを中心にホコリを落とす
目立った汚れはなかったとしても、ホコリは多かれ少なかれ付着しています。特に裾まわりはホコリが付きやすい箇所なので念入りにお手入れしましょう。やり方は乾いたきれいなタオルで払い落すだけです。箔や刺繍がある箇所は傷みやすいので擦るのはNG。とりわけ優しく扱ってください。

■きれいに畳んでたとう紙で包む
お手入れが終わったら、着物をきれいに畳みます。畳む時は着物に汚れが付かないよう作業スペースをお掃除し、たとう紙を広げてその上でシワにならないよう畳んでいきます。刺繍や箔がある場合は、その箇所に和紙や白布を当てて畳むと、変色や箔落ちを防ぐことができます。きちんと畳めたら着物をたとう紙で包み収納を。たとう紙に着物の写真を貼っておくと、開かなくても中身がどんな着物か分かって便利です。また、たとう紙にもいろいろな種類がありますが、パルプ製よりも和紙製のものが◎。湿気を上手く逃がし、カビの発生を抑えてくれます。しかし質の良いたとう紙でも何十年も同じものを使っていると汚れてきたり、カビてくることもあります。せっかく着物をきれいにお手入れしても、不潔なたとう紙で包んでしまっては台無しです。黄ばんできたら取り換えの目安と覚えておきましょう。

調湿性に優れたタンスにしまう
最後に収納です。着物の収納に最も適しているのは桐タンス。調湿性に優れている上、防虫性も高いのがその理由です。機能が優れている分お値段は高めですが、大切に使えば親から子へ、子から孫へと受け継いでいくこともできます。とはいえやっぱりそこまでの予算はないという方は、桐以外の木材で作られた衣装箱でも問題ありません。通気性が悪く湿気がたまりやすいプラスチックケースに入れるのは避けましょう。収納する時は、底に白木綿を敷き、たがい違いになるよう着物を入れていきます。5枚以上重ねると、型崩れやシワの原因になるのでご注意ください。

乾燥剤や防虫剤の使用は1種類が原則
湿気や虫を避けるため、薬剤を使いたい方もいるかと思います。乾燥剤や防虫剤は、生地に適したものを1種類だけ使うのが基本です。いろいろな種類のものを一緒にしてしまうと化学反応が起きて、シミや変色を招く危険があります。中でも金糸や銀糸を織り込んだものは影響を受けやすいので要注意。着物専用のものも売っているのでチェックしてみてください。タンスに入れる時は、着物に直接触れないように四隅に置くこと。

着物以外のアイテムのお手入れ

身なりを整えてお出かけするには、着物のほかにも帯や長襦袢、半衿、帯揚げ、帯締め、足袋、草履、バッグなど、たくさんのアイテムを使用します。着物と同様に、これらもきちんとお手入れしてから収納しなければなりません。アイテムごとにお手入れ方法が異なるので、しっかり把握しておきましょう。

長襦袢
着物と同じように、まずは和装ハンガーにかけて湿気を飛ばします。長襦袢は正絹でできていることが多いので、自宅で洗濯機にかけると色落ちしたり縮んでしまう可能性大。気になる汚れがあれば無理せず専門店でクリーニングしてもらってください。

肌襦袢・裾避け
肌に直接触れるものなので、着用後はすぐにお手入れを。正絹以外の素材であれば、自宅の洗濯機で洗うことができます。必ず洗濯ネットに入れて、手洗い・ドライ対応・おしゃれ着洗いコースなどを選択しましょう。


解いてすぐの温もりが残るうちに、軽くたたいてシワを伸ばします。その後、ハンガーに吊るして湿気をしっかり飛ばします。合わせてシミや刺繍のほつれなどがないかチェック。ダメージを見つけたら専門店でメンテナンスしてもらいましょう。

帯締め
こちらも陰干ししてから収納します。収納の際は房止めをしておくと、毛先が変に折れ曲がったり抜けたりするのを防ぐことができます。もしすでに毛先がバサバサになってしまっていたら、軽く蒸気を当てるときれいにまとまるので試してみてください。

帯揚げ
帯締めと一緒に半日ほど陰干します。正絹でできたものであれば干しておくだけで自然とシワが伸びてくるので、アイロンはかけなくてOK。しかしながら何度も使用しているとシワが定着してしまい、吊るすだけでは取り切れないこともあります。そんな時は、アイロンを中温または正絹に適した温度設定にして、あて布(糊がついていない薄めの木綿が◎)の上から軽くアイロンがけしてください。

半衿
正絹ならおしゃれ着用洗剤で軽く手洗い。木綿やポリエステルならネットに入れて洗濯機の優しいコースで洗うことも可能。洗えたらタオルにはさんで水気を取ります。ある程度水気が取れたら半衿を裏返し、あて布をして濡れたままアイロンをかけます。

バッグ
乾いたタオルで軽くほこりを落としてからしまいます。収納箱に穴をあけておくと空気が通ってカビにくいです。中身の出し忘れにもご注意を。

草履
最も汚れるのが草履です。スニーカー感覚でこれといったメンテナンスもせずに放っておくと、頑固なシミやカビに悩まされることも。履いた後はやわらかい布で土汚れやホコリを丁寧に拭き取りましょう。布で拭いただけでは落としきれない汚れは、かたく絞った濡れ雑巾で優しく拭いてみてください。力を入れて擦るのはキズの原因になるのでNGです。きれいに拭けたら、底に風が通るよう壁に立てかけて乾かします。草履は底の中に湿気が溜まりやすい構造になっているため、しっかり干すことが大切です。

足袋
こちらも汚れやすいため入念なお手入れが欠かせません。足袋の裏側が泥で汚れている場合は、まずは乾いた状態でパンパンとはたいて、できるだけ土を落とします。次におしゃれ着用洗剤を直接塗布し、水で予洗いします。先に水で洗ってしまうと、汚れが繊維の奥に入り込んでしまうため、必ず洗剤→水の順に予洗いしましょう。仕上げに洗濯ネットに入れて、洗濯機のやさしいコースで洗います。

着物のお手入れ~定期的にすべきこと

着物を良い状態で着続けるには、脱いですぐのお手入れだけでなく、定期的なお手入れも必要です。ここからは「虫干し」と呼ばれる着物のお手入れ方法をご紹介します。

虫干しとは
虫を寄せ付けないようタンスの中から着物を出し、和装ハンガーにかけて湿気を飛ばすこと。日本に昔からある生活の知恵で、着物だけでなく本などのお手入れにも用いられます。

虫干しのメリット
その名の通り、虫の発生を抑制することができます。着物は正絹やウールなど動物性繊維で作られていることが多め。実はこれらの素材は、一部の虫にとっては最高のごちそうです。湿気が多く温かい環境にあると、虫がどんどん寄ってきて着物が食べられてしまう、卵を生みつけられてしまうことがあります。このような虫の害を予防するのに虫干しは役立ちます。その他、着物のトラブルに多いカビも湿気がたまることが発生の原因です。定期的に風を通すことでカビが広がるのを防ぐことができます。また、虫干しは着物の状態を定期点検する絶好のチャンスでもあります。見落としていたシミや、時間の経過とともに浮かび上がってきた黄ばみは、この機会にメンテナンスしておくと安心です。

虫干しのタイミング
年に2・3回、空気が乾燥している時期に行うのがベストです。秋晴れが続く頃や、湿度が低い冬だとしっかり乾かすことができます。また、高温多湿の真夏を迎える前に一度行っておくのもおすすめ。梅雨明け後のお天気の良い日を見計らって行ってください。虫干しをする時間帯は、空気が乾燥しやすく気温も高い午前10時から午後3時頃がちょうど良いでしょう。

虫干しが難しい場合
年に数回とはいえ着物を全部出して乾かすのは大変…という方もいるかと思います。そんな場合は、気づいた時にタンスを少し開けるだけでもOK。こもっていた湿気を逃がすことができます。また、普段からタンスを風通しの良い部屋に設置しておくことも大切です。タンスは壁から数センチ離して置くと湿気が溜りにくくなります。

まとめ

いかがでしたか。今回はすぐにやったほうが良い着物のお手入れと、定期的に行ったほうが良い虫干しについて解説しました。お気に入りの着物を長く着続けるためには、こまめなメンテナンスが不可欠です。自宅でのお手入れ+プロのクリーニングを賢く活用しながら美しい状態を保ちましょう。山正山﨑には着物アフターケア診断士が在籍しており、着物のお直しやクリーニングも受け付けております。お困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。