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お知らせCOLUMN

2022.12.21
コラム

着物の真冬防寒対策

12月に入りいよいよ冬本番。朝晩だけでなく日中もコートが手放せなくなりました。そうなるとやっぱり気になるのは着物の防寒対策です。着物は袖丈が長いため通常のコートを着るわけにはいきません。着物を着ている時は、専用のアウターや小物類を合わせるのがおすすめ。洋服と同じくらい温かくて、しかも粋なアイテムがいろいろ販売されています。ぜひコーディネートに加えて、初詣など冬のお出かけを満喫しましょう。

【目次】
1 着物用アウターで防寒&冬のお洒落を楽しもう
2 3つの首を温める便利な防寒グッズ
3 インナーも工夫しよう
4 まとめ

着物用アウターで防寒&冬のお洒落を楽しもう

着物は下に肌襦袢&裾よけ、長襦袢を重ねているので比較的風を通しにくいですが、さすがに12月ともなると上着なしでは肌寒く感じます。そんな時におすすめなのが着物用のアウターです。洋服と同様にフォーマルなものからカジュアルなものまでさまざまなデザインが揃っています。冬でもお出かけを楽しみたい人は、用途に合わせていくつか持っておくと安心です。ものによっては洋服用のアイテムをそのまま活用することもできます。着物とアウターの取り合わせを考えるのも、この季節ならではの醍醐味ですよ。

道行(みちゆき)

着物の上にさっと羽織れる外出用のコートです。衿ぐりが四角く開いたデザインになっているのが特徴。フォーマルからカジュアルまで幅広く使えます。道行(みちゆき)には布が2重になっている袷(あわせ)と、1枚でできている単衣(ひとえ)がありますが、真冬は袷がおすすめ。あくまでもコートの位置づけなので、室内では脱ぐのがマナーと心得ておきましょう。

道中着(どうちゅうぎ)

衿あわせが着物と同じ形になっている羽織もの。こちらも洋服でいうところのコートにあたるものです。前に付いている紐を結んで、はだけないようにします。道行よりもややカジュアル向けながら、上品な小紋柄、無地やぼかしなら少しあらたまった場に着て行ってもOK。室内に上がるときには玄関先で脱ぐこと。

外套(がいとう)

着物向けのアウターの中で最も温かいのが外套(がいとう)です。ウールやメルトンなど防寒性の高い素材で作られています。袖周りや背中側もゆったりとしているので、着付けや帯結びを崩さずに着脱できて便利。さまざまな種類がありますが、着物に合わせるなら角袖コートもしくはマント型のインバネスコートが一般的です。外套は道行や道中着よりもさらに真冬用。洋服でいうところのダウンコートやロングコートにあたるので、建物内では必ず脱ぎましょう。厚みがあるため室内で持ち歩く時は、大きめのサブバッグに入れるとスマートです。

ショールやストール

それほど寒くないおだやかな冬晴れの日なら、ショールやストールもおすすめ。なるべく大きめサイズか、ウールのものを選ぶと温かいです。素材と柄が合っているのなら、お手持ちの洋服用を使っても大丈夫。肩に軽くかけるだけなので防寒性では着物コートには及びません。しかし頻繁に脱ぎ着するような場合にはこちらのほうが便利です。基本的にはカジュアル向けですが、無地でシンプルなデザインかつカシミヤなど素材が上質なものであれば、訪問着に合わせることもできます。

羽織(はおり)

カジュアルシーンにぴったりなアウターです。洋服で例えるとカーディガンのようなものなので、室内でも着たままで問題ありません。ただし茶室では脱ぐのが礼儀。冬はウールの羽織(はおり)が温かくておすすめです。洋服だと柄に柄を合わせると奇抜になりがちですが、羽織×着物の場合は双方が柄でもお洒落に見えるのが面白いところ。また紋付羽織をまとうと普段着用の着物も略礼装になるなど、デザインによって自在に雰囲気や格を変えられます。

ケープやポンチョ

袖がなくゆったりとしたデザインなので、気楽に羽織ることができます。防寒性では外套や道行に劣るものの、着脱のしやすさではケープやポンチョのほうが良いでしょう良いでしょう。わざわざ着物用を買い足さなくても、洋服用のものを合わせやすいのも魅力です。ただし完全にカジュアル向けなため、振袖、訪問着、留袖といったフォーマルな着物には合わせられません。普段着用だということを頭に入れておきましょう。

雨コート

雨や雪の日に着物が濡れないように着用するレインコートのようなもの。繻子(しゅす)で作られているものが多いですが、防水加工を施したものもあります。着物は水が付くとシミになってしまうため悪天候の際は必須です。水滴や汚れだけでなく寒さも防いでくれます。

3つの首を温める便利な防寒グッズ

古くから冷え予防に温めるべしと言われている「首・手首・足首」。この3つの首もしっかり防寒すれば、真冬のお出かけ対策は完璧です。特に初詣は人気の寺社だと長時間並ぶこともあるので、アウターを羽織るだけでなく3つの首を温めることもお忘れなく。

着物はうなじをきれいに見せるため後ろの衿を少し抜いて着付けます。そのため首元が冷たい空気にさらされがち。そこで活躍するのが大判のショールやストールです。肩にかけるだけでなく首にまいてもOK。少しゆるめにふんわり巻くと、着物とバランスが取りやすいです。ファーマフラーも温かいのはもちろん、見た目でも温もりが感じられて冬にぴったりです。ただしファーは動物の毛=殺生を思い起こさせることから、結婚式などおめでたい席にはNG。日常使いに止めておきましょう。普段洋服に合わせているマフラーが着物に合いそうなら活用しても問題ありません。上級者向けにはなりますが、着物の下にあえてハイネックの洋服を着るのもあり。今どきな和洋折衷スタイルが楽しめます。

手首

通常の手袋でも良いですが、おすすめはロング手袋。袖口が広く開いている着物は中まで冷気が入ってきやすいため、手元だけでなく腕までカバーできると尚良しです。ウールならしっかり温かく、レザーならセレブのようなお洒落な雰囲気が楽しめるなど、素材によって機能やイメージが変化します。最近は指なしタイプも人気です。手袋をはめたままスマホを操作したい人や運転する人は、こういったタイプを選ぶのも良いでしょう。もしアームウォーマーをお持ちなら、わざわざロング手袋を買い足さなくても、ショート手袋+アームウォーマを重ねづけしても◎。

足首

近ごろでは足袋も冬仕様が充実。通常の足袋は、こはぜが4枚で動きやすくなっていますが、厚手の足袋だとこはぜが5枚になっているのに加えて、足首までしっかり覆ってくれるものまであります。裏側の生地が保温力のあるネル地だと、履いた時に優しい温かさに包まれてほっこり。防寒用の足袋1枚だけでは足りないようなら、普通の足袋の上に重ね履きするのも有効です。また着物の前部分は、布地が重なっているだけで完全に閉じているわけではありません。すき間から冷気が流れ込んできたり、風が強く吹いて着物がはだけてしまうこともあります。対策として、和装用のストッキングやタイツ、ひざ下丈のインナー足袋を着用するのも良いでしょう。
ベージュなら例え脚が見えてしまったとしても目立ちません。持っていなければお手持ちのスパッツ等で代用しても大丈夫です。その他、草履のつま先に風よけカバーが付いた商品もあります。北風が当たらないだけでも随分寒さが和らぐので、気になる人は「雨用草履」「雪用草履」「冬用草履」などもチェックしてみてください。草履ではなくブーツを合わせるのも、温かい&モダンなコーディネートになって印象的です。

頭の防寒

人の体温は頭からも逃げていくという説があります。確かに帽子をかぶると温かく感じますよね。帽子は着物とも調和させやすいアイテムなので、冬のおでかけに取り入れてみるのも素敵です。ベレー帽、ニット帽、ハット、ハンチングなどデザインも実に多彩。冬は北風でヘアスタイルが乱れがちですが、帽子をかぶっていれば気になりにくいのも嬉しいところ。その他、イヤーマフも手軽に暖が取れるアイテムとして近年身に着ける人が増えてきています。

インナーも工夫しよう

着物には脇に身八つ口(みやつぐち)という縫い合わせていない部分が存在します。どうしてもそこから冷たい空気が入ってきてしまうので、防寒対策にはインナー選びも重要です。基本的には保温力の高いものを選べばOKですが、着物ならではの注意点がいくつかあります。

インナーは首元が広く開いたものを選ぼう

着物の衿は前よりも後ろのほうが広く開いています。そこからインナーがみえてしまうと、せっかくの着物特有の艶やかさが半減してしまいます。そうならないためにも極力首元が大きく開いているものを選ぶようにしましょう。お出かけ前にインナーが見えそうかどうか試着して確かめておくと安心です。衿元から見えさえしなければ、どんな色や柄を選んでも差し支えありません。わざわざ買い足さなくても、いつも洋服の下に着ている冬用のインナーをそのまま使えます。

 モコモコした素材は避ける

洋服とは違って着物を着付ける時は、なるべく体の凹凸を強調しないようにします。そのため、モコモコしている生地や厚手のインナーだと美しく着付けられません。インナーはなるべく薄手のものにしましょう。近年では薄手でも温かい高性能なインナーがたくさん販売されています。寒がりな人や長時間外にいるような場合なら、薄手のあったかインナーを2枚重ねにするのも手です。その日の気温に応じて調整してみてください。

カイロは貼らないタイプに

冬のお出かけの防寒アイテムにカイロを愛用している人も多いかと思います。貼るタイプのカイロは一度貼ってしまえば失くすこともなく便利ですが、着物を着用する際は避けたほうが無難。着物は着付けによって衣がぴったりと肌に接するので、インナーにカイロを貼り付けてしまうと低温やけどのリスクが高まります。また、熱いと感じても洋服の時のように簡単に剥がすことができません。どうしてもカイロを使いたい場合は、貼るタイプではなく手持ちタイプにしておきましょう。

礼装時にはきちんとした和装用インナーを

普段着用のインナーを利用していいのはカジュアルシーンのみです。見えない部分ではありますが、結婚式などの正式な場に臨む時は和装用のインナー(肌着、下履き、裾よけ、肌襦袢)を使用しましょう。和装用のインナーも素材などが進化して、従来品よりもはるかに温かく快適に着られるものが増えてきました。「フォーマルな場所にはせっかくなら着物を着ていきたい!」という人は、一式揃えておくと長く使えて便利です。

まとめ

今回は着物の防寒対策をご紹介しました。着物は全身にすき間が多く、足袋もむき出しな分、洋服よりも寒そうなイメージがあるかもしれません。しかし近年では、着物用の防寒アイテムにも使いやすいものがたくさん登場しているほか、お手持ちのグッズをうまく活かすことで冬でも温かく外出できます。初詣やお正月の集まりなど、年末年始は着物が似合うシチュエーションがいっぱいです。しっかりと冬支度を整えて、着物でのお出かけを楽しんでみてください。